私立中高進学通信
2018年7月号
The Voice 校長インタビュー
城西大学附属城西中学校
『何にでも打ち込める』環境で個性を尊重する教育を

斉藤 栄 (さいとう・さかえ)校長先生
1951年生まれ、埼玉県出身。県立川越高等学校を卒業後、早稲田大学教育学部(理学部数学専修)に進学。高校・大学時代は野球部に所属。卒業後は城西川越中学校・城西大学付属川越高等学校に奉職。数学の教壇に立ち、20年間、同校野球部の監督として活動。2007年より2012年3月まで同校校長を務め、2018年4月より城西大学附属城西中学・高等学校の校長に就任。
教員陣の厚い協力を得て“新たなこと”に臨む

城西学園は2018年度に創立100周年を迎えました。その大きな節目の年に本校の校長という重職を任されたことに、運命的なものを感じています。
2012年まで5年間、兄弟校である城西川越(埼玉県・男子校)の校長職を務めてきたとはいえ、責任の重さを痛感するとともに、「新たな一歩を踏み出すチャンス」と意欲に燃えているというのが現在の心境です。
大学卒業後に奉職した城西川越では、数学を教えるかたわら20年間、野球部の監督を務め、「埼玉県高等学校野球連盟」の役員としても活動していました。
部活動における私の指導は、かなり厳しかったと思います。「学力が伴わなければ野球には勝てない」が持論で、野球と学業を両立させることに注力しました。ミーティングの場で学習に取り組ませたり、成績が振るわない部員には部活動時にバックネット裏に机を設置して補習に取り組ませたり……。
部員たちは不満を抱いていたでしょうが、そうした取り組みの成果もあり、当時の野球部の大学合格実績は飛躍的に伸びたのです。
前述のとおり、重責とともに本校の校長職に就いた私ですが、時が経つにつれプレッシャーは軽減されてきました。なぜなら、本校の教員たちが非常に協力的だからです。周囲にしっかりと支えられているという意識が高まり、「これなら今後、自分が考える新たなことにスムーズに取り組める」と意を強くしています。
最大の魅力は明るさとアクティブさ
本校の一番の魅力、それは “明るさとアクティブさ”だと考えます。部活動や学校行事、生徒会活動など、さまざまな活動に生徒たちが明るく積極的に取り組んでいます。それが前任校の城西川越から異動し、私がまず抱いた印象でした。
この魅力ある校風が形成された要因は、本校が「共学校」であることに加えて、「自分がやりたいことに思いきり専念する」という教育方針がもたらしたものだと思われます。部活動への加入率も高く、多くの生徒が何らかの部活動に参加しています。学校説明会などをボランティアで手伝う生徒の姿も多く目にします。今年、東京大学合格を果たした生徒は、放送部に所属し、体育祭や音楽祭など司会アナウンスが必要な場面があると、仲間と一緒に積極的に参加していました。
各種スポーツや芸能活動など、大学進学以外に確固とした自己の夢を抱き、それを実現したいという意欲を持つ生徒を応援する体制もあり、クラシックバレエや陸上などさまざまな分野で国際的に活躍している卒業生もいます。
このように恵まれた環境にあるため、部活動は自然な形で活性化していきます。とくに活躍が目覚ましいのは、運動系ではすでに国際的レベルにある陸上部をはじめ、サッカー部、剣道部、柔道部。文化系では吹奏楽部などが挙げられます。そうしたなか、かつて2度も甲子園出場を果たした硬式野球部は近年、少々不振気味のようです。私が長らく関わってきたスポーツなので、何とか過去の栄光を取り戻してもらいたいですね。
自らの才能を伸ばしそれぞれの道で生きていく
城西大学附属城西が掲げる建学の精神
- 天分の伸長──夢を育み、生徒の自己実現に向けて徹底的にサポート
- 個性の尊重──互いの個性を認め合い、思いやり、尊重し合う人類愛を育成
- 自発活動の尊重──主体的な行動力と、社会の変化に柔軟に対応できる能力を培う
もちろん本校にも、改善すべき点は存在します。生徒や保護者が私学に求めることは、やはり大学進学へ向けた取り組みでしょう。実際のところ、自己の目標に応じた進学が実現できなければ、将来の可能性は狭まってしまいます。「法曹の道に進みたいのに法学部へ進めない」「医師になりたいのに医学部へ入れない」というのでは、その段階で自らの夢を諦めなければなりません。
本校の場合、大学進学面の対応やシステムにさらなる改良を加える必要があると私は考えており、教員たちとコンセンサスをとりつつ、今後よりよい指導体制を作り上げていく予定です。
実は以前から本校にはその “スピリット”が息づいていました。意欲ある教員たちで構成された『J-SAT(城西スタディ・アシスト・ティーチャー)』の存在が、それを如実に証明しています。これは大学入試問題に精通した教員を核とした受験指導チームで、放課後講習(16時~20時)や自学自習(放課後~20時)での質問対応などを不定期で実践する、という活動を数年前から続けてきたものです。
こうした教員たちの受験指導へのスピリットを高め、さらにシステム面の改良を行うことで、本校の大学合格実績は着実に伸びていくと確信しています。
「個性を尊重しつつ、大学進学を含め生徒一人ひとりの夢や希望をかなえたい」というのが本校の切なる願いです。学習面だけでなく、 “何にでも打ち込める”本校で学園生活を送るなか、自らの才能を可能な限り伸ばす。そして卒業後はそれぞれの道で元気にたくましく生きていってほしいと思います。

[沿革]
1918年、中島久方吉先生により城西実務学校として創設される。初代・新井博次先生に続き1925年、日本の教育における『新教育活動』の先駆者、野口援太郎先生が第二代校長に就任。1973年、城西大学附属城西高等学校と改称し1991年に中学校を再開。この間の1974年と1979年には硬式野球部が夏の甲子園大会に出場を果たす(1979年大会ではベスト8進出)。2005年の新校舎完成を経て2018年、創立100周年を迎えるとともに斉藤栄先生が第十一代校長に就任。
(この記事は『私立中高進学通信2018年7月号』に掲載しました。)
城西大学附属城西中学校
〒171-0044 東京都豊島区千早1-10-26
TEL:03-3973-6331
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