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私立中高進学通信

2018年7月号

実践報告 私学の授業

横浜女学院中学校

解決策を真剣に考えることで生まれる力
『ESD』『CLIL』で協働する力と実践的な英語力を育てる

英語の授業では、中1からペアワークを積極的に取り入れ、1対1で英語を話すことに慣れていきます。この取り組みが、やがてCLILや海外研修でのプレゼンテーションに活かされていきます。

英語の授業では、中1からペアワークを積極的に取り入れ、1対1で英語を話すことに慣れていきます。
この取り組みが、やがてCLILや海外研修でのプレゼンテーションに活かされていきます。

地球規模の問題を考える探究型の学び

 キリスト教の精神に基づく人間教育を行っている同校。グローバル化する社会のなかで、国際的な社会問題への知識と、解決策を探究する力、世界の人々と協働できる力を育成する教育を行っています。

 その代表的な取り組みが、『ESDイーエスディー』と『CLILクリル』です。ESDは、地球規模で起こっている社会問題について、自分にできることを考えていく探究型の学びです。中1から、『ESD Time』という授業を設定し、自分たちで情報収集をして、問題に対する解決策を考え、発表して人に伝えるところまでを行います。

 同校ならではのESDのコンセプトは、机上の空論で終わらせないこと。それぞれのテーマに対して、必ず自分が実行できる解決策を提案しなければなりません。例えば、環境問題を考える時に、自分は車を運転できないのに、『車に乗る回数を減らせば良い』と書いて終わるような提案ではいけません。徹底して自分のこととして問題を考えさせ、議論させます。

 難しい課題に苦心して取り組むことで、生徒たちは情報収集能力、自分で考える力、人に伝える力を育んでいきます。

英語で世界の人々と協働できる力をつける

 さらに、中3~高1にかけて段階的に導入されていくのが、CLILの授業です。CLILは英語で理解し、考え、意思を伝える“英語運用能力”の育成をめざして、理科や社会科などの教科や、時事問題などのトピックを、英語で協働しながら学ぶ学習法です。ESDで習得した「自分のこととして問題を捉えて考える」取り組みを、CLILでは英語で行います。

 今年度は、生物多様性の問題について、〝絶滅危惧種を救済するにはどうすれば良いのか〟をテーマに、理科の日本人教員とネイティブ教員のチームティーチングで学びます。ここでも意見を発表し、議論を繰り返し行うことで、提案した解決策の実行が可能かどうかを自分たちで精査していきます。

「どうすれば世界的な問題を本当に解決できるのか、生徒たちは真剣に考えて取り組んでいます。そこから生まれる共感性や、人と協働できる力を身につけることが一番大切だと考えています。CLILではそこに英語のスキルがプラスされるのです」(英語科主任/白井龍馬先生)

 同校の根底にあるキリスト教の「隣人愛」や「共感性」をもちながら、これからの社会でイキイキと活躍できる女性を育てる。この目標を実現するための仕組みが、ESDとCLILなのです。

ESDとは

 Education for Sustainable Developmentの略称。持続可能な開発のための教育を指します。地球上のさまざまな課題に対して自分にできることを考え、実践していく力をつける教育です。「持続可能な社会づくりの担い手を育む教育」として、文部科学省でも提唱されています。同校では“持続可能”にこだわり、生徒たちの提案が長期間にわたる解決策として有効かどうかを重要視しています。

CLILとは

 Content and Language Integrated Learningの略称で、内容言語統合型学習のことを言います。社会科や理科などの教科や、時事問題を外国語で学ぶ学習方法です。第2言語を学ぶ際に学習効果の高い方法として、ヨーロッパでは広く取り入れられています。同校では、CLILによって英語を介して学ぶ力、協調できる力、批判的思考力、表現する力を育てています。

Active Learning 001
これからの地球を支える一員として持続可能な社会を考える「ESD」

 環境、貧困、人権、平和など、世界にはさまざまな問題があります。こういった問題について、「自分に何ができるか」を考える授業がESDです。

 写真やワークシートをふんだんに使って多様な問題を学び、それについてのディスカッションやディベートを繰り返します。問題の解決策は「持続可能」であることが条件で、10年、20年と続く解決策を提案しなければなりません。

 こうした取り組みを通し、生徒たちには自ら学ぶ姿勢が身につきます。常に真剣に考え、議論する生徒たち。異なる意見をぶつけ合うことで、互いを認め合い、他者を理解する寛容さや心の強さも鍛えられていきます。

繰り返し議論をすることで、粘り強さも身についていきます。解決策になかなかたどり着けないからこそ、結論を導き出したときの喜びは大きいのです。繰り返し議論をすることで、粘り強さも身についていきます。解決策になかなかたどり着けないからこそ、結論を導き出したときの喜びは大きいのです。
絶滅危惧種の問題について作成したポスター。CLILの最終課題では1枚のポスターを英語で作成して、自分たちの解決策をプレゼンし合う「ポスターセッション」も行われます。生徒たちは学んだ英語を駆使してプレゼンテーションします。絶滅危惧種の問題について作成したポスター。CLILの最終課題では1枚のポスターを英語で作成して、自分たちの解決策をプレゼンし合う「ポスターセッション」も行われます。生徒たちは学んだ英語を駆使してプレゼンテーションします。

Active Learning 002
英語で考える力をつける「CLIL」中学から学ぶ生徒も安心
中3のニュージーランド海外研修では、ESDやCLILでの学びを活かし、現地の姉妹校でディスカッションします。昨年度のテーマは「多文化共生」「エネルギー」「生物多様性」でした。中3のニュージーランド海外研修では、ESDやCLILでの学びを活かし、現地の姉妹校でディスカッションします。昨年度のテーマは「多文化共生」「エネルギー」「生物多様性」でした。

 英語でほかの教科を学ぶ、というと難しく聞こえますが、CLILの最大の特徴は母語の使用を禁じていないこと。これによって、学びのハードルがかなり低くなると言います。

「もちろん教員はオールイングリッシュで指導するのですが、生徒が英語で議論することが難しいケースでは、『Please Talk about in Japanese』と声をかけ、日本語で話し合ってもらいます」(白井先生)

 また、議論の際に必要な英語表現は、じっくり教える時間を取り、会話のなかで繰り返し使う機会を設け、段階的にスキルが身につくようになっています。

ココも注目!
中学生でも英語で議論できる
(英語科主任/白井龍馬先生)

 今後、大学や社会で求められる能力というのは、他者と英語で協働できる能力です。ESDやCLILはゴールではなく、そうした先の世界を見据えた活動です。授業では複雑な問題も話し合いますが、その際に難しい英語が必要かというと必ずしもそうではなく、シンプルな単語や文法でも伝わるのです。むしろ、自分たちの英語でなんとか伝えようとする、その姿勢や工夫の仕方が大切なのだと思います。

進学通信2018年7月号
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