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私立中高進学通信

2018年7月号

実践報告 私学の授業

聖学院中学校

汎用的な数学的思考力につながる「幾何」の授業

スタートは図形の楽しさを見つけることから
コンパスと定規を使ってていねいに作図する経験が、数学的思考力の土台になります。

コンパスと定規を使ってていねいに作図する経験が、数学的思考力の土台になります。

「21世紀型教育」実践の先駆け

 自己表現力、創造力、分析力、問題解決力、コミュニケーション力などが必要なこれからの時代にふさわしい「21世紀型教育」を推進している同校。アクティブラーニング、Project Based Learning(PBL)を用いた学習プログラム、ディベートやポスターセッションなど、さまざまな活動をいち早く導入してきました。

 先生の話を一方的に聞くだけの授業や知識を覚えて試すだけのテストなど、いわゆる「旧来型」の教育からいち早く脱却し、教育改革を続けてきた結果、志望理由を明確に持って大学進学をする生徒が増加。学校外での各種コンテストに入賞を果たすなど、目に見える形で生徒が変化しています。2012年度からの教育改革は、今春で中高6カ年のサイクルを一回りしました。生徒の主体的な学びと成長を支えるにはどのような授業がベストなのか、常に問いかけながらの挑戦が続いています。

幾何の面白さや有用性に気づかせる

 中学の数学は「代数」と「幾何」に分かれていて、幾何は週2時間あります。幾何では図形や空間を扱いますが、中1では作図を通して幾何の面白さに気づき、興味や関心を伸ばすことに重点を置いています。

 1学期の前半は平面図形を学び、平行、垂直、円などの定義を理解するだけでなく、それらをコンパスと定規で作図できるようになることが達成目標です。伸び伸びと学び、思考する楽しさを身につけさせることを重要視しています。

「中2になって図形の証明問題を解くようになると、“難しい”と感じる生徒が増えてきます。ですから、中1では図形の性質に慣れて、面白さを感じてほしいのです」

 と数学科の児浦良裕先生は話します。授業ではオリジナルプリントを使って手を動かしながら考え、経験を通して図形の性質をしっかり理解できる流れを作っているそうです。

 1学期の始めには「好きな図形」をみんなで選ぶ楽しい授業で興味を持たせています。図形の中で「どの図形が好き?」と問いかけます。生徒は好きな図形とその理由を出し合ったり、比べたりして図形への親しみを深めていきます。幾何は古代エジプトの測量技術から発展したものであること、デザインや建築、ゲームやアニメなどにも応用されていることを話題に出し、学ぶ意味を見出せるようにしています。

「図形を通して何がわかるのか、常に連想することが大切です。中1の授業から、この連想する力を伸ばす授業を繰り返すことで、図と文、式を行き来しながら考えられる、汎用性の高い数学的な思考力を養っていきます」(児浦先生)

Step 1 小テストで復習

前回の授業の復習として実施

 前回の授業で習ったことを復習し、この日の授業に活かすために小テストを実施します。小テストは採点・返却後、ノートに貼り付けて、間違えたところはできるまで取り組みます。「間違いをそのままにせず、リベンジしよう」が合言葉です。リベンジして正解したら、そのまま得点に反映します。小テストの目的はできるできないを選別するのではなく、みんなができるようになることが目的です。

授業の始まりでは、あいさつをしっかりと。授業の始まりでは、あいさつをしっかりと。
家庭学習の習慣をつけるためにも、定着度を測る小テストを中1から導入しています。家庭学習の習慣をつけるためにも、定着度を測る小テストを中1から導入しています。

Step 2 教科書を読み解く

教科書を学ぶのではなく、教科書で学ぶ

 オリジナルプリントの問題を解くために、まず教科書をじっくり読んで、自分なりに答えを記入します。先生の解説は、その後から。自分なりに考えた後に先生の解説を聞くことで、生徒たちに疑問点がわいてきます。新しい知識や公式は教え込むのではなく、まずは自分で教科書で調べてプリントに解答します。知識を与えるのではなく、自分で獲得することを大切にしています。

教科書を読んで、自分なりに問題を解きます。教科書を読んで、自分なりに問題を解きます。
考えた後に解説を聞き、理解度UP!考えた後に解説を聞き、理解度UP!

Step 3 作図の練習

手を動かして図を描く楽しさを味わう

 この日の授業のメインは、コンパスと定規を使って三角形を描くこと。先生が生徒と一緒に問題文をゆっくり読み合わせ、描き方のヒントを黒板で実演します。方法をすべて指示せず、次の問題では生徒が試行錯誤するのを見守り、考える力を養います。

 児浦先生は問題のヒントを出すだけの一歩引いた「ファシリテーター的な」やりとりをするので、どんどん生徒の手が挙がります。自分の考えを持つこと、わからなければ質問すること、間違えても恥ずかしくないこと、そんな雰囲気が教室で共有されています。

三角形の作図にトライ!3辺の長さをコンパスで測り、交点から辺を描きます。三角形の作図にトライ!3辺の長さをコンパスで測り、交点から辺を描きます。
先生の作図をまねして自分でもやってみます。先生の作図をまねして自分でもやってみます。
生徒の質問を促すように授業を組み立てる児浦先生。生徒たちも積極的に質問していました。生徒の質問を促すように授業を組み立てる児浦先生。生徒たちも積極的に質問していました。

Step 4 振り返り

授業ノートの整理で「考える」習慣をつける

授業で使ったプリントはすべてノートに貼り、理解したことをメモします。授業で使ったプリントはすべてノートに貼り、理解したことをメモします。

 授業で使ったプリントはその場でノートに貼り付けて、自分なりに大事なところに色付けをし、不明点をメモします。授業の最後に振り返る時間を取ることで、常に「考えながら」授業を受ける能動性を育みます。この方法に慣れていて、授業中からプリントにメモをする生徒もいました。

ココも注目!
図形を楽しく学ぶのには理由があります

 昨年度まで高3の数学を担当していた児浦先生。作図の苦手な生徒が多いことに驚いたそうです。

「『数学ⅡB』に出てくる図形と方程式、ベクトルなどは、式だけでなく図形による思考力がないとスムーズに解けないのです。『数学ⅡB』は大学入試の中で重要科目の1つです。国公立大学進学、理系進学を志望する生徒にとっては、高得点を狙いたい科目です。だからこそ中学の初期から図や作図に対する抵抗感をなくしたい。
 式には必ず図形的な意味があること、常にそれを意識できる感覚を養いたいと思っています」(数学科/児浦良裕先生)

(この記事は『私立中高進学通信2018年7月号』に掲載しました。)

聖学院中学校  

〒114-8502 東京都北区中里3-12-1
TEL:03-3917-1121

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