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私立中高進学通信

2018年4・5月合併号

先生の本棚

東京農業大学第三高等学校附属中学校

広大なキャンパスに点在する白い校舎や施設

建物の内部も白で統一され、広い廊下やロビースペースにも光があふれています。「のびやかで明るいキャンパスが気に入っています」と話すのは根岸章子先生。お話をうかがった図書室で、書架のさまざまな本に目を止めてページをめくる姿から、生来の本好きであることが伝わってきました。
根岸先生(図書室にて)。

根岸章子先生(社会科・日本史)
図書室にて

本に囲まれていた子ども時代

 ―根岸先生はかなりの読書家だと聞きました。本好きになったきっかけは?

 父の仕事が出版関係で、もの心ついたときから身の回りにたくさんの本がありました。自然に書物の世界に入っていった感じです。自分が母親になって子ども向けの本を探すようになると、昔読んだ絵本にいろいろと再会して、私もきっと母に読んでもらったのだろうなと思います。

 ―当時の本で記憶に残っているものはありますか。

「あさえとちいさいいもうと」という絵本ですね。私にも同じように妹がいたので主人公のあさえに深く感情移入して繰り返し読んでいました。初めての「読書」体験と言えるかもしれません。

 ―その後も本好きとしてすくすく成長されたのですね。

 家にある日本文学全集を順番に読んだり、動物が好きなのでシートン動物記にはまったり。あとは学習漫画も面白かったですね。石ノ森章太郎「日本の歴史」などです。そうしているうちに歴史への興味がわいてきて、司馬遼太郎の諸作品や家にあった山岡荘八「徳川家康」なども読みました。

 ―いま日本史の先生をされているのは、その頃の読書体験がつながっているのでしょうか。

 そう思います。高校の頃には歴史にたずさわる職業に就きたいと考えていました。

大軍に知恵と勇気で立ち向かう人々の物語

 ―さて、おすすめの1冊は「のぼうの城」ですね。

 あれこれ迷いましたが、とてもスピード感があって読みやすい小説なので、読書の経験が少ない中高生でも楽しんでもらえると思って選びました。

 ―読みたいという気持ちになるアピールをお願いします。

 天下統一目前の大軍勢に小さな城の主が屈服せず、領民とともに知恵と勇気で立ち向かうという構図が魅力的です。城主の成田正親や武士たちだけでなく、ぱっとしない領主を慕う農民たちが活躍するのもいいですね。先が気になってどんどん読みたくなります。

 ―舞台となる忍城はこの学校から近いですね。

 毎年中学2年生が校外学習で行田市のさきたま古墳群に行くのですが、忍城があったのはそのそばで、石田三成は古墳のひとつ、丸墓山に陣を張りました。本校の生徒は戦場の様子を見学することができるので、親しみを持ちやすいかもしれませんね。現地に行く以外に、この作品は映画化されているので、それを合わせて観賞するのも読書の楽しさを知る一つの方法だと思います。

学内で気軽に本に親しむ環境をつくる

 ―朝読書の時間がありますね。

 国語の先生が中心になって、生徒たちにもっと本を読んでもらう取り組みをしています。朝読書のほかに、お昼休みも給食当番以外の生徒に「本を読もう」と声を掛けるとか、ちょっとした時間にも本を手に取ってもらうように心がけています。中高生それぞれに向けて選書した自由借し出しの書棚を設けているのもそういう工夫の一つです。図書室からは「ライブラリーニュース」を毎月出して、先生たちのオススメの本を紹介したりもしています。

 ―読書の推奨は学力強化が目的なのですか。

 それもあります。新テストでは学力のベースとなる読解、記述の力が今まで以上に必要とされますよね。本を読むと、読解のスピードが上がるだけでなく、内容が頭に入る読み方が自然にできるようになるので、やはり読書は大切です。とはいっても、義務化して強制してもそれほど効果があるとは思えません。気軽に本を読む機会を増やして、読書の楽しさを生徒たちが自分で見つけられるように取り組んでいます。

 ―生徒の反応はいかがですか。

 言わなくても空き時間にさっと本を開いて読み始める姿を見かけるようになりました。人が書物の世界に入っていくのは、面白いものや興味深いものに出会いたいからです。そういう出会いがたくさん生まれる環境を学校の中に整えていければと思います。

本の中では自分の枠も時空も超えた体験ができる

 ―本の魅力はどういうところにあるのでしょうか。

 しばらく前に「一瞬の風になれ」という高校の陸上部を描いた小説を読みました。本校の陸上部は実力派で、彼らの練習の様子をよく眺めているのですが、文科系で過ごしてきた私にも、一つひとつのトレーニングの意味や、それを一生懸命やっている部員たちの気持ちが想像できるようになり、ある意味で日常の風景が変わりました。

 ―自分の知らない世界を体験できるということですね。

「のぼうの城」のように過ぎ去った時代に生きた人たちと運命を共にしてドキドキすることもできるし、知らない土地、行くことができない場所にも旅行できます。

 自分の人生をはみ出し、時空を超えてさまざまな体験をできるのが本の最大の魅力だと思います。生徒たちには、「本を読むと世界が広がるよ」と言いたいですね。

中学、高校の図書室があり、それぞれの年代に合った蔵書をそろえています。中学、高校の図書室があり、それぞれの年代に合った蔵書をそろえています。
図書館の新刊コーナーには街の本屋さんとほとんど同時に話題の本が並びます。図書館の新刊コーナーには街の本屋さんとほとんど同時に話題の本が並びます。
紹介する本
『のぼうの城』 小学館文庫 和田竜

 戦国末期を舞台に現在の埼玉県行田市にあった忍城(おしじょう)をめぐる攻防戦を描いたもの。天下統一をめざす秀吉は、関東を勢力下におく北条氏の討伐に乗り出した際、その北条勢に名を連ねる成田氏の忍城に石田三成率いる二万の大軍を差し向けてきました。光成は「石田堤」と呼ばれることになる長大な堤防を築いて水攻めを試みます。これに対して忍城を守る成田長親の手勢はわずか五百でしたが、彼は領民である百姓たちに「のぼう様(でくのぼうの意味)」と慕われており、彼らの協力を得て頑強に抵抗。やがて主家である小田原の北条氏は降伏するが、それでも長親は門を開かず城は落ちません。はたして成田氏とその郎等、領民たちの運命は……? 作者の和田竜は快調なテンポで進む新感覚の時代小説を得意とし、他に「村上水軍の娘」「忍びの国」などの人気作を送り出しています。

(この記事は『私立中高進学通信2018年4・5月合併号』に掲載しました。)

東京農業大学第三高等学校附属中学校  

〒355-0005 埼玉県東松山市松山1400-1
TEL:0493-24-4611

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