私立中高進学通信
2018年4・5月合併号
グローバル時代の学び方
安田学園中学校
疑問・仮説・検証を繰り返し論理的思考力を磨く『探究』
グローバル社会に必要とされる考察力・探究力を育む

中1から文化祭でポスターを使ったプレゼンテーションを行います。
質問に生き生きと答え、発表する楽しさ、説明する難しさの両方を体験します。
失敗も大切な検証結果生徒の力で疑問を明らかに
『自ら考え、学ぶことを通じて、創造的学力と豊かな人間力を育て、グローバル社会に貢献する人物の育成を行う』を教育目標とする同校。この目標をかなえるのが、独自のカリキュラム『探究』です。学年によってテーマを決めて、調査・観察のフィールドワークなどを行い、疑問、仮説、検証というサイクルを繰り返すことで、これからの大学入試とその先のグローバル社会で求められる論理的思考力や発想力、表現力を育てています。
指導にあたる物部昌太郎先生は「疑問を持つことを特に大事にしている」と話します。
「中1では“自然”をテーマに上野動物園や千葉県にある東京海洋大学館山ステーションに何度も足を運んで動物や磯を観察し、観察の方法を学ぶと同時に、自分なりに疑問点を発見できるように導きます。
疑問には“閉じた疑問”と“開いた疑問”があり、発展性がある開いた疑問を持つことが大事です。例えば“ウニの口はどこにあるのか”という疑問では答えがわかるとそこで終わってしまいます。しかし、“どのように餌を食べるのか”という疑問なら、ウニはどんな環境なら生きられるのかというように、発想が広がっていきます。このような“開いた疑問”を持てるように、何度もヒントを与えて問いかけを繰り返しています。これにより生徒が自ら『それは閉じた疑問じゃないかな』と考え直せるように意識が変わっていきます」
また、失敗から学ぶことも大事にしています。
「上野動物園の解説員や東京海洋大学で指導してくださる教授、大学院生のみなさんには、失敗することがわかっていても、生徒にやらせてほしいとお願いしています。失敗のプロセスも検証の一つだからです」
論理的な思考力が教科の学習にも効果をあげる
同校には『先進コース』と『総合コース』がありますが、東大をはじめとする最難関国立大学への進学をめざす『先進コース』では、『探究』のプレゼンテーションにも力を入れています。中1・中2は調査内容をグループでポスターにまとめて文化祭で発表し、中3になると図書館で文献調査を行ったり、大学のゼミの発表を見学したりして表現力に磨きをかけ、本格的な論文作成を行います。高1ではゼミ形式でテーマの調査と論文作成、発表に取り組み、高2では論文を英語で発表する機会を設けています。
発表の場を設けることで、目標に向かって論理的に考え、文章化する力が身につくと話す物部先生。この体験は他の教科の学習にも良い影響を与えていると言います。
「疑問を持ち、深く考える習慣がつくことで、生徒たちは自ずと物事の背景を考えるようになりました。全体像が理解できるようになり、知識の定着にも役立っています」
Action Report File001
聞き手に語りかけ、先輩の発表から学ぶ
『探究』の成果を文化祭でプレゼンテーション
中1・中2・高1生は、『探究』の授業で行った観察や研究の成果を、11月の『安田祭』で毎年発表します。先進コースの中1は、東京海洋大学館山ステーションで行った『磯の探究』がテーマ。中2は、新潟県十日町市の耕作放棄地を活用した『トキが住める環境づくり』がテーマです。疑問、仮説、調査結果、考察を模造紙にまとめて、安田祭の期間中、1日4回、グループのメンバーが順番で発表を行いました。
高1は数学、生物、英語、人文、社会科の分野に分かれ、興味のあるテーマについてゼミ形式で『探究』を行ってきました。安田祭ではその成果を1人ないしは2人で発表しました。
当日は会場に保護者をはじめたくさんのギャラリーが詰めかけ、生徒たちは質問に応じたり、説明したりと一生懸命、聞き手に語りかけていました。
まとめ方のコツや説明の仕方を学ぼうと、下級生も先輩の発表の見学に来ていました。先輩の良いところを吸収して、年々内容が充実していっていると物部先生は言います。
「説明や発表に工夫を凝らすことを、毎年積み重ねているので、驚くほど発表が上達していきます。経験と互いに学び合う切磋琢磨が『探究』を通して根付いていると感じます」

採集したカエルの特徴の違いから考察を深めた中2のグループ。発表の切り口もさまざまで、観察や調査が深く行われていました。

高1の発表。テーマや内容についての質問などで会場は大いに盛り上がっていました。
Action Report File002
『探究』5年間の集大成
海外の名門大学で英語でプレゼンテーション

『探究』の集大成は、高2で行われるイギリスのオックスフォード大学での発表です。自分の論文を英語に翻訳し、現地の大学生の前で発表、質問などにも英語で受け答えします。2017年はロンドンでテロ事件が起きたことから、発表の場をオーストラリア全土からトップクラスの生徒が集まる名門校、クイーンズランド大学に変更しての実施となりました。
「最初はなかなか言葉が出てこない生徒もいましたが、最後は自分の言葉で伝えることができました。聞き手である大学生からは質問が投げかけられたり、フィードバックがあったり、非常に有意義な時間となりました」(物部先生)
先生から一言
『探究』に不可欠な基礎学力と応用力を育む

「『探究』の授業で “開いた疑問”を発想するには、基礎学力が不可欠です。本校は自ら考え、学ぶ授業を核とした『学び力伸長システム』を実施し、予習復習を含めて生徒それぞれが主要5教科の基礎力・応用力が確実に身につくように万全の体制でサポートをしています。
また、英語検定の指導にも力をいれていて、先進コースでは高1までに英検2級を、卒業までに準1級を取得するように指導しています」
(広報本部長/礒正樹先生)
(この記事は『私立中高進学通信2018年4・5月合併号』に掲載しました。)
安田学園中学校
〒130-8615 東京都墨田区横網2-2-25
TEL:03-3624-2666
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