私立中高進学通信
2018年1月号
The Voice 副校長インタビュー
武蔵野中学校
10年後の社会で活躍するための力を
グローバルな視点から育て上げる

浅見 尚次郎 (あさみ・しょうじろう)副校長先生
1964年生まれ。東京都出身。明治大学付属明治中学・高等学校を経て明治大学商学部を卒業後、同校に社会科教員として着任。
以後、主に高校の社会科を担当しながら、週2回活動する一般水泳部、赤い羽根共同募金や外部活動にも積極的に参加するボランティア部など、クラブ顧問も豊富に経験。
学年主任を経て2013年4月に副校長に就任し、今年で副校長5年目を迎える。
『他者理解』の理念がグローバル社会に活きる
武蔵野が鍛える3つの力
- グローバル社会を生きぬく「実践的英語力」
- 多様なプログラムが引き出す個々の「潜在能力」
- 基本的生活習慣が育む「学びの力」
本校は創立105年の歴史のなかで、変わらない教育理念として『他者理解』を掲げています。他者を理解するとは、一人ひとりの考え方に違いがあることを知り、そのうえで自分自身がどう考え、行動するかを、社会との関わりの中でしっかりと培っていくことです。これは、現在の中高教育に最も求められる、10年後、20年後に向けたグローバル社会を生き抜く力を蓄えることにほかなりません。
『他者理解』の実践にはさまざまな要素が考えられますが、本校ではまず多言語と多文化への理解が必要だと考え「実践的英語力」の育成に注力しています。
本校の英語教育の柱は“英語を学ぶ”ではなく、“英語で学ぶ”ことにあります。そのために、ネイティブ教員によるLTE(Learning Through English)授業を週に6時間設け、グループワーク、ディスカッション、プレゼンテーションのすべてを英語で行い、表現力とコミュニケーション力を高めています。
これと同時に日本語教員による週4時間の英文法教育も行っています。中高6年間で3000時間以上の生きた英語と受験英語を両立させることで、総合的な力を伸ばす英語教育を徹底しています。
多彩な留学体験を通じて英語力と生きる力を育む

LTEの効果をより高めるための、留学・研修プログラムも充実しています。なかでも中3を対象に本年度よりスタートした『クロス・カルチュラル・プログラム』は、本校独自の異文化交流プログラムです。宮古島で民泊して伝統文化に触れ、沖縄の外国人ファミリー宅にも宿泊して海外ホームステイの疑似体験を行います。
異文化を知る楽しさと、英語でコミュニケーションする楽しさを体験して、グローバル感覚を身につけることが目的なのですが、この経験が、高1のニュージーランド3カ月留学へ確実につながっていくのです。実際、今年6月にクロス・カルチュラル・プログラムを体験した中3生は「英語での会話が楽しかった」と話し、3カ月間ホームステイをするニュージーランド留学への不安も一気に払拭されて、とても意欲的になっています。
ニュージーランド留学は毎年1月~3月に実施し、今年度で4回目となります。現地高校での1ターム(1学期間)の学びは、生徒の英語力だけでなく、グローバルな視野を広げ、コミュニケーション能力を伸ばしてくれます。言葉や文化の壁にぶつかっても、周囲のサポートによって乗り越えることで、人間的にもひとまわり大きく成長しています。
ホストファミリーとの間で育まれた家族愛は、同時に快く留学させてくれた日本の家族への感謝の気持ちを深め、また、留学でのさまざま出会いは、身をもって『他者理解』を経験させてくれます。留学をはじめとする本校のプログラムは、生徒の人間力を向上させ、新たな意欲と個々の潜在能力を、存分に引き出してくれています。
自己管理能力がすべての学びの基礎となる
私は大学卒業後、本校で社会科教員として教鞭を執るようになって今年で31年目、副校長就任から5年目となりました。この間の教員生活を通じ、私が中高教育で大切に思うことの一つは、基本的な生活習慣を確立し、自己管理能力を伸ばすことで得られる自己実現力の大切さです。それはすべての学びの基礎となるものです。
本校では毎朝10分間、英語を中心とする朝学習を行い、その結果を放課後に発表することを徹底しています。日々の積み重ねが次第に実力として定着し、自信につながっているようです。継続で生まれる学びの力は、大学受験にも生かされ、受験勉強を苦にすることなく、自ら取り組む姿勢が身についていきます。
また、本校では、夜の9時までを限度に、自主学習から個別指導を行う『進学情報センター』を設け、生徒の日々の学習及び大学受験を支援しています。そこで自主的に学ぶ生徒がとても多くいることにも、学びを継続する力と自己実現力の高まりを感じることができます。
生徒の10年後、20年後の将来を支えるのは、日々の細かな積み重ねしかありません。その力を6年間で最大限に引き出し、個々への細かな配慮によって伸ばすことが、私たち教員の大切な務め。2020年の大学入試改革や適性テストの導入に対応する力の源と考えています。
現在、本校ではニュージーランド留学のほか、2週間のカナダ研修も実施していますが、来年度より、英語を公用語とする東南アジアでの集中語学研修も導入予定です。
これからも時代に対応した進化を遂げながらも、生徒と教員が築いた本校の良き伝統を大切にしていきます。本校生徒が自信を持って新たな時代に臨み、それぞれの力を発揮することが、私たち武蔵野の願いです。

[沿革]
創立は1912(明治45)年に東京日本橋に設立された大橋幼稚園にさかのぼる。1922年に武蔵野高等女学校を設立し、現在地に移転。1948年には武蔵野中学校高等学校と改称。2004年に共学化を果たし、2012年に創立100周年を迎えた。社会に役立つ人材を育てる「婦人の真使命の確立」を唱えた創立者・高橋とき先生の志を受け継ぐ同校は、歴史・伝統と最先端の研究・教育・カリキュラムを融合させながら、時代に合わせて進化し続ける。
(この記事は『私立中高進学通信2018年1月号』に掲載しました。)
武蔵野中学校
〒114-0024 東京都北区西ヶ原4-56-20
TEL:03-3910-0151
進学通信掲載情報

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