私立中高進学通信
2018年1月号
私たち、僕たちが大好きな先生
開智日本橋学園中学校
めざすは“ラーニングエンジニア”
生徒が学ぶために自ら学ぶ人でありたい

社会科・英語科 教諭
安斎ジョナサン(あんざい じょなさん)先生
アメリカ・オクラホマ州生まれ。バージニア大学(東アジア研究・応用言語学)卒業後、来日。国内複数の小中学校にて英語・IB教育を担当した後、神田外語大学大学院にて英語教育学(TESOL)修士を修得。内容言語統合学習と学習者の自律的学習の浸透に注力している。趣味はサイクリングとコンピュータープログラミング。
国際バカロレア(IB)の中等・高等教育プログラムを英語で学ぶクラスを担任する安斎先生。「生教材を準備するのは大変だけど授業は楽しくて仕方ない」と笑顔を見せます。探究心をくすぐるパワフルな授業が持ち味。
地理×英語、英語×数学教科横断型の学際的な授業を展開

ーー 日本で教員になるまでの経緯を教えてください。
アメリカの大学を卒業した後、JETプログラム(語学指導などを行う外国青年招致事業)に参加。最初は鹿児島県の小中学校でICT教育を担当し、その後、神奈川県の小学校を経て、本校へ赴任しました。
ーー グローバル・リーディングクラス(GLC)の担任をされているそうですが。
本校は、世界共通の大学入学資格が取得できる「国際バカロレア(IB)」の中等教育プログラムと高等教育プログラムの候補校になっています。それらの教育を英語で学ぶのがGLCです。
ーー GLCでは、どんな授業を行っているのですか。
例えば、中学2年生の技術家庭・情報科では棚を作る授業がありますが、一般的なクラスでは、棚の作り方のスキルを学びます。GLCでは、それに加え、問題解決の方法を学びます。学校のロッカーが使いにくいという問題提起から始まり、どうしたら使いやすくなるかを生徒たちが考えます。教員が知識とスキルを与えながらサポートし、生徒たちが主体的に問題解決していくというスタイルです。これをオールイングリッシュで行っています。
ーー 探究型の学習が多そうですが、どのような授業ですか。
地理の授業では例えば、「中国とアメリカにおける平均寿命とGDPの関係」を考えます。最初に、世界情勢や社会問題などの膨大なデータを一度に閲覧できる「ギャップマインダー」というツールを使い、実際のデータを生徒に提示します。中国、アメリカともに、第二次世界大戦後は、平均寿命もGDPも同じような上昇線であることがわかります。この情報をもとに、人口・経済・貿易などの分野からキーワード集を与え、平均寿命とGDPに影響されるものを模造紙にまとめながら、グループごとにブレインストーミングを行います。この段階では、まだ答えは見つけられません。「たぶん、こうだろう」という仮説でOK。ランチをはさんで、クラスでディスカッションし、意見をシェアすることで、最初の仮説と違うところを確認します。さらに翌日の授業で振り返り、理解を深めていく。これが探究型の学習です。
ーー 教材はどのようなものを使っているのですか。
教科書は日本語のものがありますが、プラスアルファとして使っています。「ギャップマインダー」のように、私がネットで探した資料を英語や日本語に訳して使うことが多いです。できるだけ本物のデータ「生教材」を使ったほうが、生徒たちのスキルアップにつながると思っているからです。生教材を探して、すべてを翻訳するプランニング期間はちょっと大変ですが、授業は本当に楽しいです。
ーー GLCでの評価方法は?
国際バカロレア(IB)の教育プログラムでは、合っているか合っていないかではなく、「どの程度できているか」で採点します。例えば社会科では、知識・リサーチ・コミュニケーション・クリティカルシンキング(批判的思考)の4つの基準で採点します。100点満点から間違った問題をマイナスするのではなく、0からスタートして最高スコアが8になります。テストを実施して、まずは自己採点。さらにチャレンジしたい生徒は再テストができます。前期は、全員再チャレンジしてスコアを上げることができました。
生徒たちの海外進学の手助けをしたい
ーー 担任として気を配っていることはありますか。
3年連続で中1生の担任をしていますが、とても楽しいです。中学受験の勉強で暗記ばかりしてきた生徒は、入学当初、自分の意見を言っていいのか不安な表情ですが、どんどん積極的に発言できるようになります。それがすごくうれしくて、一日中笑顔でいられるほどです。
ずっと海外で暮らしてきた経験や、両親の国籍、言語などそれぞれのバックグラウンドがあることが、GLCの生徒の特徴です。日本語が得意な生徒と英語が得意な生徒がいて、ときどきミスコミュニケーションがありますが、グループ活動では、なるべくバックグラウンドが違う生徒同士を同じグループにするようにしています。保護者にも、家庭でのICT教育のサポートをしていただき、三者面談などはとても楽しい雰囲気です。
ーー 生徒にとって、どんな先生でありたいですか。
実は、「先生」という言葉はあまり好きではないんです。父も兄も博士で、教育一家に育った私は、学ぶことが大好きです。生徒たちが学ぶために、自ら学ぶ人でありたい。イメージとしては、生徒たちを支援しながらともに成長する「ラーニングエンジニア」というところでしょうか。
ーー 先生の夢を教えてください。
海外大学への進学を希望している生徒が多いので、その手助けがしたいです。私自身、旅が大好きで、高校を卒業するころには世界18カ国を巡りました。さまざまな国の文化や人々の生活を、写真やビデオに残しているので、それを授業中に生徒たちに見せています。それも生教材の一つ。海外の進学先を見つける際に、一つの手がかりになってくれればいいなと思っています。




(この記事は『私立中高進学通信2018年1月号』に掲載しました。)
開智日本橋学園中学校
〒103-8384 東京都中央区日本橋馬喰町2-7-6
TEL:03-3662-2507
進学通信掲載情報

PICK UP!!
紹介する学校
- 生徒も先生も一緒になり白熱する汗と笑顔の、スポーツ行事日本大学第一中学校
- 学校生活の楽しさを来校者にも伝えたい!山脇学園中学校
- 洗練された新制服に身を包み21世紀を切り拓く力を育む日本工業大学駒場中学校
- グローバルな女性として世界を意識した制服に一新富士見丘中学校
- 留学プログラム 進路指導として“留学”を捉えた取り組み大妻中野中学校
- 新たな時代を見据えた教育改革 キーワードは『探究』自ら考え思索を深める女性に実践女子学園中学校
- 第125回「なでしこ祭」開催 誰もが主役になる!みんなで盛り上がる文化祭淑徳SC中等部
- 夢を実現する力となる中高6カ年の英語強化プラン 英語教育を通した教育目標の実践聖望学園中学校
- サンゴ研究部 専門性の高いサンゴ研究で石垣島への植樹にも成功玉川学園(中)
- 上級生の気配りが連鎖して広がる どんな生徒にも居場所があり心地よく温かな食堂聖学院中学校
- 【ウィンドオーケストラ部/ハンドベル部】音色に思いを重ね 心で表現する演奏玉川聖学院中等部
- 広々とした快適な空間で読書活動にはげむ佐野日本大学中等教育学校
- ブリティッシュヒルズで国内にいながら“海外体験”国士舘中学校
- グローバル人材を育てる多彩なプログラム世田谷学園中学校
- 伝統ある英語教育を通して世界とつながる「世界思考」東京女子学園中学校
- 無理なく楽しい英語でバイリンガルに!八王子学園八王子中学校
- 教科への興味を深めるグループワーク昭和学院中学校
- 同窓 次代を担う人間性豊かな人材を「同窓」で結ばれた絆が支える関東学院中学校
- 実践 ビジネスにもつながる教育で時代に適応できる自立した女性に品川女子学院中等部
- 社会へと視野を広げることで 人との関わりから男子は多くを学びます獨協中学校
- 知的探究心を失わず、好きなこと興味のあることに打ち込んでほしい日本大学第二中学校
- 主体はあくまでも「子どもたち」親は手出しせず、見守ってあげましょう三輪田学園中学校
- めざすは“ラーニングエンジニア”生徒が学ぶために自ら学ぶ人でありたい開智日本橋学園中学校
- 少林寺拳法も体育祭も“頭で勝つ”。考え、話し合うことの大切さを生徒に教えたい桜丘中学校
- シンガポールへの修学旅行で実現するグローバル女子教育とキャリア教育東京家政学院中学校
- 10年後の社会で活躍するための力をグローバルな視点から育て上げる武蔵野中学校
- 多様化する社会に向けた発想と思考を自ら伸ばす独創的な教育改革を推進和洋九段女子中学校
- 多元型入試システムで多様な個性を募る十文字中学校
- 『算数1教科入試』を開始 多様な個性を集める東京都市大学等々力中学校
- 英・算の特別入試を導入 共学化で新時代へ文化学園大学杉並中学校
- 小説の執筆を通して生き方を考える時間東洋大学京北中学校
- 『国際先進』と『本科』2018年度より新たな2コース制がスタート駒込中学校
- 失敗も、成長の糧に!好きなことへのチャレンジを応援したい成城中学校
- たくさんの人に支えられ仕事の基盤となる力を育んだ中高時代足立学園中学校
- アットホームな校風が合った学校生活将来は看護師として誰かを支える人に目黒星美学園中学校
- 楽しく学び、医学の道に進めたことに感謝するばかりの6年間麗澤中学校
- 徹底した少人数の中高一貫教育で生徒一人ひとりの夢を叶える白梅学園清修中学校
- 合格実績の上昇がやる気を発揚アクティブラーニングも強化多摩大学目黒中学校


