私立中高進学通信
2018年1月号
アクティブラーニングで伸ばす新しい学力
昭和学院中学校
教科への興味を深めるグループワーク
自分とは異なる発想が深い理解につながる

数学の授業で、解法を話し合う生徒たち。異なる視点の意見を聞くことで、発想が広がります。
グループワークで思考の活性化をはかる
同校では、近年、読書習慣の促進や図書館と連携した調べ学習、ビブリオバトルなどの取り組みを強化してきました。これに加えて、2016年からは授業改革をスタート。英語では中1からオールイングリッシュの授業を実施し、グループワークなどを取り入れたアクティブラーニングをすべての教科で取り入れています。
今回、中1の歴史の授業と中2の数学の授業を取材。中1の歴史の授業では、異なる時代を表現した2枚の絵から特徴を読み取り、その違いについて4~5人のグループで話し合いました。
「2枚の絵を比較することで、特徴が浮き彫りになります。冒頭のグループワークで、思考の活性化を促す狙いもあります」
と授業を担当した社会科の石井弥生先生は言います。普段からクイズ形式のワークを出題するなど、学習内容に興味が持てるように工夫をしているそうです。
生徒の様子を見てアクティビティを調整
中2の数学を教える梅澤和代先生も、授業にグループワークを多く取り入れています。まずは1人で考える時間を持ち、そのあとでペアやグループで答えを導きだします。
「グループワークを始めたばかりのころは、数学が得意な生徒が散らばるようグループ分けをしていました。ですが、話しやすい環境をつくったほうが、それぞれの学びが深まることがわかりました」
学力レベルが同等の生徒同士で話し合いを進め、行き詰まったらグループを組み替える配慮も忘れません。
グループワークは生徒にも好評で、生徒同士の方がわからないところが聞きやすいと言う生徒も少なくないそうです。また、異なる意見が出ることで、新たな視点で問題を捉え直す機会にもなっています。
同時に先生による解説や講義も大切にしています。今回の授業でも、最初に基本的な解き方を解説し、文章問題を解く際はグループワークを行っていました。
「教材研究をして、どのような教え方が最も生徒の実になるかを考えて授業を行っています」(梅澤先生)
「授業は、講義かアクティブラーニングかの二者択一ではありません。生徒が教科の面白さを感じて興味を持つことが最も大切です。それが自分で勉強を進めるモチベーションにつながるからです。生徒の様子を見ながら、アクティブラーニングと講義をバランスよく使いこなし、指導方法を調整する。それが本校のアクティブラーニングです」(広報部部長/園家誠二先生)
Active Learning 001
思考力を高めるとともにキーワードの説明はしっかりと

この日、中1の歴史の授業は「武士と民衆の生活」がテーマ。4~5人のグループに分かれ、グループ内でさらにAとBに分かれます。Aは平安貴族の様子が書かれた絵についての特徴を考え、Bは武士の生活が書かれた絵の特徴について、まずは1人でその違いを考えてノートに書き留めます。その後、グループでAとBの違いを話し合いました。
この授業を担当する石井弥生先生は、『グループのメンバー全員が発言すること』をグループワークのルールとして生徒に伝えます。また、他の人の発言もメモするように指示しました。
話し合いの内容をグループごとに発表したあと、石井先生は絵を電子黒板に映して特徴を確認。その後の講義では、「地頭」「領主」といったポイントとなる用語は生徒に質問して、印象づけながら進められました。
「歴史は過去から現在に向けて単元ごとに授業を進めていきますが、最終的には時代の経過による変化や時代間の共通点を俯瞰する力を身につけてほしいと考えています。また、社会科では思考力を使うだけでなく、キーワードとその意味は覚えなければなりません。生徒がその必要性に気づき、自ら学ぶ姿勢を持つことをめざしています」(石井先生)


Active Learning 002
個人で考える時間とグループワークの両方を大事に

中2の数学の授業では、「平行四辺形の性質の証明」を行いました。授業は、前回の授業で学んだ平行四辺形の定義と3つの性質の確認から入ります。3つの性質のうち、今日の授業で扱うのは2つ。まずは1人で証明の大まかな流れを考えます。時間は2分間。ここでは、他の人と相談してはいけません。授業を担当する梅澤和代先生は、1人で考える時間を作り、自分なりの発想を持った上で話し合うことを大切にしているそうです。
その後、グループで話し合います。大まかな流れを考えることができなかった人は、わかった人に教えてもらいながら流れを確認し、ノートに証明を書いていきます。できたグループは代表者がタブレットで写真をとり、先生に送りました。
平行四辺形の2つ目の性質は証明の方法が2つありますが、どのグループも片方しか出なかったため、梅澤先生はグループワークを終わらせました。先生が出したヒントを聞いて、皆でもう一つの証明方法を考えます。わかった生徒は挙手。生徒の発言をベースに黒板を使って証明を完成させました。
「1つの解法を深く説明するという展開もありますが、今日はいろいろな発想があることを理解してもらうために、ヒントを出して気づいてもらうような授業にしました」
このように、生徒の理解に合わせて調整しながら、バランスよく授業を展開しています。このため、生徒たちは自分で考え、思考を深めながらスムーズに知識も習得することができるのです。


(この記事は『私立中高進学通信2018年1月号』に掲載しました。)
昭和学院中学校
〒272-0823 千葉県市川市東菅野2-17-1
TEL:047-323-4171
進学通信掲載情報

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