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私立中高進学通信

2018年特別号

憧れ校のこだわり教育

江戸川学園取手中学校

“世界型人材”の育成

今春“NEW江戸取”として新たなステージへ進むことを表明した同校。
探究学習や自由選択講座といった新たな取り組みによって“世界型人材”の育成をめざします。
医学部進学を目標とする生徒が参加する、総合病院での一日体験。

医学部進学を目標とする生徒が参加する、総合病院での一日体験。

世界を生き抜くために人間教育・心の教育をさらに充実させていく
創立から41年目の“NEW江戸取”創立から41年目の“NEW江戸取”

 創立41年目となる2018年度から“NEW江戸取”を掲げた学校改革が始まっています。その基軸になるテーマは “世界型人材の育成”です。1978年の開校から “心豊かなリーダーの育成”を教育理念に掲げ、実績を積み上げてきた同校のさらなる進化に、注目したいと思います。

「本校ではこれまで40年間、人間教育に焦点を絞った心豊かなリーダーの育成に尽力してきました。それは今後も変わりませんが、これからはもっとわかりやすく、さらに力強く推進していくために、今年度から世界型人材の育成を第一義に掲げ、積極的に発信することにしました。志も高く本校に入学してくる生徒一人ひとりの主体性・自主性を大切にしながら、グローバルな時代を生きていくための、心身ともにたくましい人物に成長させたいと思っています」(校長/竹澤賢司先生)

「夢を実現できるかどうかは、中高時代をいかに過ごすかで大きく違ってきます」と常々話す竹澤先生。同校は学力のみならず “心力”も鍛える学校です。そのために大切なのは「良書を読むことである」といいます。

「人間とは何か、生きるとは何かと、自ら考えるきっかけを与えてくれる本は人格を磨くものです。本校では各学年で20冊の必読図書のほか、中等部推薦図書として別に100冊を制定しています。例えば、親子の愛を描いた芥川龍之介の『杜子春』、親友との約束を果たすことの大切さ、友情を表した太宰治の『走れメロス』など、中学生時代に読むべき本が数多くあります。
 私は今朝の校長講話でエイブラハム・リンカーンを取り上げ、彼の人格の基礎を作った要因の一つに読書があると話しました。ブレーズ・パスカルが遺した『人間は考える葦である』という言葉は、まさに名言といえるものだと思います。人間は、自然界の中でとても弱い一本の葦のような存在に過ぎなくても、考える葦として思考することの偉大さを言い表した言葉だからです。
 中学時代は人格が作られる大切な時期です。良書を通して自らの生き方を模索し、自分の心の鍛錬に励んでほしい。それによって、困難な環境に置かれても正義を貫くことができる人物に成長することを思い描いています」

探究学習と授業時間短縮2つの改革がもたらしたワクワク感!

 学校改革によって、同校独自の『探究学習』がスタートしました。そのメインテーマは、2015年9月の国連サミットで採択された、17の目標と169のターゲットからなる『Sustainable Development Goals=SDGs』(持続可能な開発目標)です。国連に加盟するすべての国は、2015年から2030年までに、①貧困、②飢餓、③保健、④教育、⑤ジェンダー、⑥水・衛生、⑦エネルギー、⑧経済成長・雇用、⑨インフラ・産業化・イノベーション、⑩不平等、⑪都市、⑫生産・消費、⑬気候変動、⑭海洋資源、⑮陸上資源、⑯平和、⑰実施手段といった目標達成のために力を尽くすことを約束しました。

「17のテーマの中から個人の目標を設定し、総合学習の時間を活用しながら探究していくのです。SDGsという世界規模の課題に、早い時期から取り組むことで、視野を世界に広げ、グローバルな視点で物事をとらえていく力を鍛えていきます。
 中1から高3まで6年間継続する取り組みによって蓄積されていく知識が思考力を向上させ、世界型人材が持つべき21世紀型スキルの獲得につながるように学習を組み立てています」

 教育改革のもう一つの柱が、大胆な授業時間の短縮でした。これまで1コマ50分間で行ってきた授業を、今年度から45分間に短縮したのです。そのねらいはどこにあるのでしょうか。

「本校が伝統とする『授業が一番』の方針は変わりませんが、先生方がこれまで以上に教養を深め、担当教科の専門性を高める環境を整えるために、先生方の働き方を見直す必要性を感じたからです。先生が必然的に授業の内容を見直す必要が出てきました」

 民間企業のように、毎週水曜日はノー残業デーとするなど、学校を挙げて先生方の働き方改革に取り組んだ結果、生徒の側にもこれまでにない大きな変化が見られるようになったといいます。

「先生方が生き生きと授業をすると、生徒たちもワクワクしてきます。これが本校で大切にしてきた双方向型授業の醍醐味であり、教員と生徒との信頼関係がより深くなるにつれて育まれる、主体的に学習に臨む姿勢の強化にもつながります。学校に行くことがもっと楽しくなれば、生徒たちの中から、新たなイノベーションも生まれます」

江戸取で学ぶことの意味を噛みしめる自由選択講座が誕生

 これまでの授業時間が5分間短縮された分、1日あたり平均して約1時間の余裕が生まれました。その時間を活用して誕生したのが自由選択型講座の『アフタースクール』です。

「生徒の将来を見据えたとき、主体的・積極的に学ぶ姿勢が重要性を増していくでしょう。そこで本校では従来の授業時間を圧縮して、生徒一人ひとりが自分の将来を見据え、そこに向けてそれぞれの多様性や個性を存分に発揮できる時間を設置しました。先生方が熱い議論を交わし、結果として145もの選択講座を用意しました」

 アフタースクールには、大学受験対策を中心とする学習系講座のほか、教養系講座、理数融合系講座、社会科見学系講座、語学・校内留学・プレゼン系講座、PBL(Project-Based Learning)系講座、さらには、大学や企業とのコラボレーションによる講演会系講座、医師体験などの見学ツアーがあります。中1から高3まで、今の自分がやるべきこと、やりたいことを自由に選択し、思う存分学ぶことができるプログラムです。

「例えば、中1を対象とするアフタースクールには、お茶の水女子大学と連携した『海の生物体験』があり、6月の土日にも19名の生徒が千葉県館山に赴き、磯の生物の採取と観察を行いました。同じようなものは中2にもあり、より専門性の高いレベルで学ぶことができます。また、高校生に向けたアフタースクールには、自主的に参加できる学外イベントも多数あり、英語の弁論大会や科学の甲子園、あるいは模擬国連への参加などを通して、学校の枠を越えた仲間同士の交流も始まっています。高校生たちがどんどん新しい道を開いてくれるので、あとに続く中学生たちの良い刺激となっていることは非常に喜ばしいことです。これもまた創立から41年目を迎えた本校の “NEW江戸取”としてのもう一つの顔と言えます」

 今年の4月、竹澤先生は中学最初の校長講話で医師であり細菌学者でもあった偉人、野口英世の功績を取り上げました。テーマは “初志貫徹”です。

「私は入学したばかりの生徒たちに対して、本校で学ぶことを決めたことの意味を問いました。中学生となったことを機に、初志貫徹の重い意味を噛みしめてもらいたいからです。19歳の若さで故郷をあとにした野口英世が遺した有名な言葉に『志を得ざれば再び此地を踏まず』があります。これは退路を断つための決意です。生徒も同じです。本校は『規律ある進学校』です。目標を高く持ち、それに向かって努力することを求めます。そこで学ぼうと決意したのだということを自覚し、覚悟を決めて世界型人材になるための努力をしてもらいたいと思っています」

“NEW江戸取”の第1期生に竹澤先生は力強いエールを送ります。

中1対象『校長講話』
偉人たちの生き方から学ぶ“世界型人材”としてのリーダー学
読書は人格を磨く!
「書くことは、考えること、思考することに通じる」と竹澤先生は強調します。「書くことは、考えること、思考することに通じる」と竹澤先生は強調します。

 取材に訪れたこの日の『校長講話』の主人公はエイブラハム・リンカーン。キーワードは「読書は人格を磨く」です。米国第16代大統領として奴隷解放をめざし、南北戦争を戦ったリンカーンの生き方を通して、彼が愛した読書の大切さ、世界型人材として通用する真のリーダー像を学ぶ内容です。

「リンカーンは貧しい家に生まれましたが、彼を力強く支えたのが読書でした。その背景には、無学の労働者として汗を流す両親の愛情があり、特に母親のナンシーによる聖書の読み聞かせの日々が、後に偉人として称えられるようになったリンカーンの原点になりました。正直者であった少年時代から、たくましく成長していった青年時代、そして、やがて民衆のために立ち上がったリンカーンの生涯に触れながら、自ら積極的に本を手に取る一人ひとりに成長していってもらいたいと思っています」(竹澤賢司校長先生)

入学して2カ月余り。竹澤先生の講話中、生徒たちから私語が聞かれることは一切なく、話を聞く態度がしっかり身についている様子が印象的でした。入学して2カ月余り。竹澤先生の講話中、生徒たちから私語が聞かれることは一切なく、話を聞く態度がしっかり身についている様子が印象的でした。
校長講話は年6回開催。リンカーンのほか、野口英世、孔子、マザー・テレサ、二宮尊徳、福沢諭吉と6名の偉人たちの生き方・思想を基本に、真のエリート像を学んでいきます。校長講話は年6回開催。リンカーンのほか、野口英世、孔子、マザー・テレサ、二宮尊徳、福沢諭吉と6名の偉人たちの生き方・思想を基本に、真のエリート像を学んでいきます。
先生のホンネ
本校は“規律でしばる”学校ではなく
“規律を大切にする”学校であることの重要性
校長/竹澤賢司先生
お話をうかがった校長の竹澤賢司先生お話をうかがった校長の竹澤賢司先生

「中学時代は海綿が水を吸うように、吸収力が極めて高い時期です。そしてもう一つ、“型”を作るために、人生で最も重要な時期でもあります。やはり挨拶にしても、学びにしても、社会的なルールにしても、型がしっかりできていなければ身につかないものなのです。したがって、子どもたちの主体性を伸ばすからといって放任をしてはいけません。主体性というのは絶対に放任からは育ちません。大切なことは、時々背中を押してあげることです。背中を押してあげることこそ教育であり、しかけなのです。本校は規律ある進学校ですが、規律でしばる学校ではなく、規律を大切にする学校です。そこは、これからも大切にしたいと考えています」

こだわり★トピックス①
歴史+平和+国際3つのテーマで学ぶ修学旅行
広島市の平和記念公園では平和の千羽鶴を献納しました。広島市の平和記念公園では平和の千羽鶴を献納しました。

 中3の修学旅行は例年、歴史教育・平和教育・国際教育をテーマとして行われています。

「歴史教育では、幕末の先覚者である吉田松陰が主宰した松下村塾、平和教育では、広島市の原爆資料館、国際教育では、関西・中国圏の大学で学ぶ留学生たちとの英語による異文化交流が学びの場です。高校に進学する前に、心豊かな世界型人材となるための心意気を、皆で誓い合う貴重な機会にもなっています」(竹澤先生)

こだわり★トピックス②
東海岸で世界を学ぶアメリカ・アカデミック・ツアー
摩天楼の新しいシンボル『ワン・ワールドトレードセンター』で記念写真。摩天楼の新しいシンボル『ワン・ワールドトレードセンター』で記念写真。

 国際教育の集大成として定着しているのが、中2~高2の生徒を対象に、希望制で実施しているアメリカ東海岸の『アメリカ・アカデミック・ツアー』です。

「グローバルな視野で物事を考える力を身につける5泊7日です。ハーバード大学では博士研究員として留学している本校の卒業生や、国際連合本部での英語研修など、よりグレードの高い国際教育を展開しています」(竹澤先生)

Pick up!
145通りの学び方&楽しみ方 !『アフタースクール』(自由選択講座)
透けないスポーツウェアを開発した中高生たち

 これまでの50分間授業を45分間に圧縮し、さらに毎週水曜日を、先生方のノー残業デーとするなど、江戸取流の授業改革と働き方改革で生まれた自由選択性の講座が『アフタースクール』。さっそく成果が上がってきているようです。

「その一つが、昨年行われた『Mono-Coto Innovation 2017 FINAL』での生徒たちの大健闘ぶりです。本校から高校生3名、中学生1名の計4名が出場し、中高生のスポーツ部活動の場で欲しくなるモノの型性に挑戦しました。その“モノ”とは、下着が透けない“白パンツ(ウェア)”のことで、体育や部活の際、白いウェアを履いたときの“下着が透けたら困る”といった不安を解消するため、企業と共同で、白色顔料を生地に加えた、透けない白いスポーツウェア(商品名『SUKETTO』)の開発に成功したのです」(竹澤先生)

 結果は第3位。全国の中高生から250名を超えるエントリーがあった中での3位入賞は、今後の『アフタースクール』の学び方&楽しみ方を広げる、大きなターニングポイントとなったようです。

亀田総合病院(千葉県)の見学ツアーに参加した医学部進学希望の生徒たち。亀田総合病院(千葉県)の見学ツアーに参加した医学部進学希望の生徒たち。
「科学の甲子園」に出場する生徒も増えています。「科学の甲子園」に出場する生徒も増えています。
アジア圏の英語話者と会話をする「オンラインスピーキング」の様子。アジア圏の英語話者と会話をする「オンラインスピーキング」の様子。
東大キャンパスツアーもアフタースクールの一つ。在学中の先輩にいろいろと質問できます。東大キャンパスツアーもアフタースクールの一つ。在学中の先輩にいろいろと質問できます。
2018年度実施の『アフタースクール』
講座種類 内容 講座数
学習系 国語・数学・英語・理科・社会 64
教養系 英語 ジブリ映画に字幕をつけよう 1
英語 非認知能力開発 1
国語 5
社会 4
情報 2
開発研究 1
模擬裁判 1
模擬国連 1
英語
インタラクティブフォーラム 
2
理科 物理 1
理科 化学 3
理数 めざせ!
科学の甲子園ジュニア
1
家庭 1
次世代型グローバルリーダー
育成プログラム
1
理数融合 実験 5
理数融合 東邦大学科学実験 1
理数融合
千葉薬科大学科学実験
2
社会科見学系 フィールドワークin取手 1
芸術系 造形絵画 2
ピアノ 2
講座種類 内容 講座数
英語4技能
校内留学
プレゼン系
ディベート 1
リスニング 1
スピーキング 1
オンラインスピーキング 3
PBL系 Mono-Coto Innovation
in School
1
アクティビティー系 ダイビング講座導入編
(シュノーケリング)
1
お茶の水女子大学 
海の生物体験(千葉県館山市)
5
東京都英語村(TGG) 1
講演会系 東京大学金曜特別講座 16
筑波大学高大連携医療講話 2
命の学習会(中等部医科) 1
医学セミナー(中等部医科) 1
見学ツアー 亀田総合病院 1
獨協医科大学附属病院 1
一日医師体験(高等部医科) 1
筑波大学附属病院(高等部医科) 1
Information
江戸川学園取手(茨城県取手市・共学校)
今年度から通用門が新しくなった江戸取。校内から校外へと学びの機会も広がっています。今年度から通用門が新しくなった江戸取。校内から校外へと学びの機会も広がっています。

設  立:1978(昭和53)年に『心豊かなリーダーの育成』(教育理念)を掲げて設立。『規律ある進学校』(教育方針)として、心力・学力・体力の三位一体の教育を推進。2014年には江戸川学園取手小学校が開校し、茨城県初の小中高12カ年一貫教育校となった。2016年度からは、東大ジュニアコース・医科ジュニアコース・難関大ジュニアコースの3コース制に。

アクセス:JR常磐線・東京メトロ「取手駅」西口より徒歩25分(または、バス「江戸川学園・中央タウン行き」5分)


江戸川学園取手の教育の中核にあるものが道徳の実践による心の教育です。竹澤校長先生は、「学校教育の本筋は人づくり。心の教育を通して、自分はどう生きるべきか、どうやって社会に貢献していくべきかを考えて行動できる、正しい道徳性を自分の中に築いてもらいたい」と話します。中1と高1が取り組む『道徳の授業』をはじめ、竹澤先生が担当する『校長講話』、副校長やベテラン教員が担当する合同ホームルーム、ロングホームルームを通しての“心力”の教育が実践されています。

江戸川学園取手中学校  

〒302-0025 茨城県取手市西1-37-1
TEL:0297-74-0111

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