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私立中高進学通信

2018年特別号

校長が語る自立へのプロセス

橘学苑中学校

五感を刺激するネイチャー体験が内発的な動機付けを高める

中学生と一緒に。生徒には「お互いが風通しの良い、清々しい気持ちになると会話が生まれる」と、日々の「あいさつ」の大切さを伝えています。

中学生と一緒に。生徒には「お互いが風通しの良い、清々しい気持ちになると会話が生まれる」と、
日々の「あいさつ」の大切さを伝えています。

「心すなおに真実を求めよう」「生命の貴さを自覚し、明日の社会を築くよろこびを人々とともにしよう」「正しく強く生きよう」を創立の精神とし、昭和17年に橘女学校として開校した同校。緑豊かな環境で学ぶことの意義を小岩利夫校長先生にうかがいました。

自然と触れ合う時間を大切に
小岩 利夫(こいわ・としお)小岩 利夫(こいわ・としお)

1975年、東京理科大学理学部卒業後、教職の道に入り、大学付属中学・高等学校(共学)の教頭を務め、2013年、私立中学校・高等学校(男子)の校長職を経て、今年4月より現職。

「中学生の成長は早いです。5月の連休後には、ちょっと表情が変わってきた生徒もいます。中1だった生徒も中2になるとぐっと雰囲気が変わりますし、中3になる頃には頼もしささえ備わってきます」

 そう生徒の様子を語る小岩利夫校長先生。成長期の子どもを預かるにあたり、大切にしているのは「自然との関わり」。自然の中で五感を育てること、とくにモノに触れる「触感」が大切だと言います。

「中1生は入学直後に長野県飯島町にある本校の施設で実施する合宿に参加し、『田植え体験』をします。田んぼに足を入れたときの泥の柔らかさ、水の温度、苗を手に持ったときの根っこの硬さ、これらはそれぞれ感触が異なります。それらを体で感じて、自分の内面からわきあがってくる『すごい』『何だろう』『どうして』といった感情に気づいてほしいのです」

 校外施設だけでなく、校内には約150坪ほどの農園があり、野菜や花を栽培しています。収穫した野菜を家に持ち帰って食べたり、文化祭で販売したりといった活動もあります。

「本校の生徒を見ていると、自然との関わりを通して、いろいろなことにチャレンジしますが、『これは〇〇さんが得意なことだ』『□□さんは、これが上手だ』などと、一人ひとりの得意なもの、できることを認め合う様子が見られます。1クラスが少人数制ということもあるのですが、みんなで力を合わせて栽培し、友達の存在を意識し、コミュニケーションをとりながら五感を磨くこと、これは感性豊かな時期に同年代の仲間がいる学校においてしかできないことだろうと思います」

 独りで遊ぶことが多いゲームなどに没頭すると、頭に感覚が集中してしまい、ほかの感覚を使う機会が減ってしまいます。AI時代だからこそ、自然から受けた恩恵が身体全体に残るように感性と共に生きた体験を大切にしています。

効率的に教えるより効果的に教えたい

 同校ではグローバル教育の一環として、総合的な学習の時間「創造」を使い、中学全体で「世界と出会う」体験を行っています。日本に住んでいる各国の方を講師として招き、異文化に触れるなどの交流です。インドネシア、アメリカ(ハワイ)、イタリア、ペルーなど、これまで同校の先生方が少しずつ縁を広げて、今では12カ国の方との交流を持っています。

 交流では学年ごとにテーマを設け、各国の料理を作ってみんなで食べながらその国のお話を聞いたり、民族衣装や民族楽器を体験してみたりと、異文化を肌で感じます。学年が上がるにつれ、政治や経済についても話します。

「こうした体験を通して『海外に行ってみたい』『英語を学びたい』というモチベーションを高めることが必要でしょう。『学びなさい』と押しつけるのではなく、『学びたい』と思わせる“意識付け”が先にくるべきだと思うのです。教えることも大事ですが、本校は気持ちを高められる場面を増やすことを大切にしています。

 英語の授業においても習熟度で分けることはしていません。ネイティブ教員と日本人教員がチーム・ティーチングで教えます。クラス全員で学ばせますが、どの生徒も置きざりにはしません。手をかけすぎ、と思われるかもしれませんが、私は体験にしろ、授業にしろ『効率的に教えるよりも、効果的に教えたい』と考えています」

環境が人を熟成させる
橘学苑が大切にする思春期の育て方
  1. 五感を磨く体験を重ねる
  2. 効率よりも効果を重視する
  3. 周りが環境を整える

 学校教育における人格形成の在り方は、「生徒のいる環境」と「教員の働きかけ」の相乗効果によって、「その環境が人を熟成させる」ように導くべきだと小岩先生は言います。

「本校の教員はとても熱心で、一人ひとりにきめ細かく対応しています。あとは『環境』を整えることが私の仕事だと思っています。キャンパスは豊かな緑に包まれ、差し込む光を活かした校舎は生徒の気持ちをすがすがしくしてくれます。それに、地域の方々が本校を見守る目も、とても温かいですね。
 本校は女子教育の必要性を感じた土光登美が地域の協力を受けて設立した学校です。わが町の学校という周辺地域の思いに守られていることも、恵まれた環境の一つと言えるでしょう」

中1の英語の授業。チーム・ティーチング体制できめ細かな指導を行います。「手をかけて効果的に教える」という小岩校長先生の考えがよく表れています。中1の英語の授業。チーム・ティーチング体制できめ細かな指導を行います。「手をかけて効果的に教える」という小岩校長先生の考えがよく表れています。
中1の「田植え合宿」。長野県飯島町の農業体験施設「アグリネイチャーいいじま」でお米について学びます。五感をフルに使う経験が心の成長を促します。中1の「田植え合宿」。長野県飯島町の農業体験施設「アグリネイチャーいいじま」でお米について学びます。五感をフルに使う経験が心の成長を促します。
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