私立中高進学通信
帰国生入試特集『Lighthouse 2017年 秋の増刊号』
帰国生を大切に育てる 私立中高一貫校(抜粋)
山脇学園中学校〔女子校〕
幼い頃に海外で培った経験を、能動的な学びにつなげる教育

都心にありながら静かで落ち着いた環境。たくさんの“体験”にあふれた学園です。
クロスカルチャークラスで学ぶ一歩先の国際性
山脇学園は、「欧米諸国のレディに見劣りしない教養ある女性の育成」を理想に掲げ、1903(明治36)年に創設されました。21世紀に入ると、その教育理念は「社会で生き生きと活躍する女性リーダーの育成」と装いを新たに。「社会」の意味するところは国内のみならず「世界」です。
東京の中心部にある同校には、海外赴任を終えたビジネスマンや、海外生活を経験した家庭から、帰国生受け入れを求める声が多く寄せられました。ますます進むグローバル化の時代を迎えていたため、帰国生入試を制度化し、2014年には受験科目に英語を必修とし(英検2級取得者は英語試験を免除)、英語、算数、国語の3科入試となりました。
帰国生の中1生・中2生は「クロスカルチャークラス」に所属します。このクラスは、海外生活経験者や海外大学卒業者、帰国生の子どもを持つ教員などが担任を務め、帰国生の持つ悩みや疑問に真摯に丁寧に向き合います。
また、受験科目にない社会科と理科のフォローを行います。英語の授業は4段階の習熟度別クラスで行われていて、英検準1級、2級のクラスではネイティブ教員が授業を担当し、洋書や英字新聞も活用されています。英検対策講座では、学年を越えて高校生と一緒に学ぶ機会もあり、帰国生は「英語力だけでは学力とは言えない」と、将来に向けて学習意欲を新たにすることもあります。
さらに礼法、華道、箏の授業は、伝統ある女子校ならでは。「指揮者のいない箏の演奏で、『心を合わせる』ことを初めて知った」と語る帰国生の言葉からは、同校の学校生活の中に、情操教育や日本人としてのアイデンティティーを育むさまざまな機会が設けられていることが分かります。
上級生全員がロールモデルとなる女子校という環境
クロスカルチャークラスの方針は多様性を尊重しながら協働して学ぶこと。同じクラスには入試科目に英語を選択した一般生も一緒に学んでいるという、その多様性が、互いを尊重する気持ちを生みます。
「帰国生と一般生の間には教え合いがあります。高校生になったある帰国生は『最初の国語の試験結果は惨憺たるものだったけれど、友だちが辛抱強く教えてくれた。今では自分の国語が一般生に劣っているとは思わない』と語っていました」(入試広報部長/西川史子先生)。
中3では、英語チャレンジクラス、科学研究チャレンジクラスに分かれます。前者は、日本人とネイティブの教員が担任につき、ホームルーム活動は英語です。後者では、多様な実験や探究活動に取り組みます。
「帰国生から意外に希望が多いのが後者のクラスです。中3で『森林学会』に参加する生徒や、高校でサイエンスアイランドクラブに入ってロボット研究を行う生徒もいます。科学分野の探究活動は、英語の文献を読みこなす必要もありますから、帰国生が輝ける場面と言えます。帰国生の先輩は全員が女子ですから、その全てが将来のロールモデルです。しかも男子の目を気にせず、好奇心を伸び伸びと追究できるのは、女子校の特性だと思います」と西川先生。先生は「多くの帰国生は海外の学校で言語やコミュニケーションで苦労をした経験がある」と語ります。その苦労が能動的な学びにつながるように心を配るのが、同校の帰国生教育の原点なのです。
(この記事は2017年12月に掲載しました。)
山脇学園中学校〔女子校〕
〒107-8371 東京都港区赤坂4-10-36
TEL:03-3585-3911
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