私立中高進学通信
帰国生入試特集『Lighthouse 2017年 秋の増刊号』
帰国生を大切に育てる 私立中高一貫校(抜粋)
渋谷教育学園幕張中学校〔共学校〕
経験豊かな「国際部」が中心になって帰国生をサポート

多くの教育機関が立ち並ぶ文教地区に位置し、一人一人の個性が育つ充実した設備が自慢。
80年代から行ってきたグローバル人材の育成
同校の高校創立は1983年(中学は86年)。翌年にはアメリカでのホームステイを実施し2期生から帰国生を受け入れてきました。80年代当時から海外で活躍する日本企業はありましたが、教育における「グローバル化」は未だ
「海外で教育を受けた帰国生は、論理的・批判的な思考力を身に付ける教育を経験しています。そのような生徒たちには、日本の文部科学省が定めた英語プログラムではせっかく培った力を活かすことができません。そこで開校当初から、週6時間の英語を取り出し授業とし、外国人教員が担当し、エッセイライティングやディスカッションなど、欧米型の授業を行っています。高3では海外大学を目指す生徒は外国人教員の授業、国内大学を目指す生徒には受験対策のための指導をするなど、本人の希望によって選択します」。
帰国生は入学時に英検準1級や1級を持つ生徒も多いものの、国内大学進学を希望する場合は、受験対策が必須になると豊島先生。長年、帰国生教育を行ってきた経験に基づく進学・学習指導が行われています。
予測不能な時代に必要な「自調自考」
学校生活において積極性を発揮する帰国生。その活躍を端的に表すのが模擬国連です。模擬国連は学生が一国の大使となり、国際問題の議論・交渉を行い、決議を採択するプログラムですが、同校は過去10回の大会中7回、国際大会に派遣されています。
「模擬国連に参加する帰国生の割合は多いです。外に向かうチャンスがあればチャレンジしようとする気持ちは、一般生・帰国生共に強く、互いに良い影響を与え合っています。一般生は帰国生の積極性や高い英語力に憧れますが、帰国生には一般生から日本文化や日本人の考え方を学びたいという気持ちがあります。多様性のある教育環境において、互いに教え合い、刺激し合うのは当たり前のことです」。
国際部では帰国生の面談を行っていますが、そこで触れる悩みの一つは「英語が話せるから他のことも何でもできるのだろう」と思われていること。また、海外生活が長い場合には、日本人としてのアイデンティティーの確立のために苦労することもあります。しかし田村哲夫校長が常に語る「支え合う友と競い合う友」についての講話や、多様性を持つ人々が互いに尊重し合うことが「人権」であるとの考え方に触れ、自らが目指す道を伸び伸びと堂々と歩いて行くことができるようです。
「なぜそれができるのかは、本校の教育理念である『自調自考』に集約されています。今の中高生が社会で活躍するのは21世紀の半ば。予測不能の社会において必要なことは、自分の手で調べ、自らの頭で考えて問題解決をする力であることは間違いありません」と豊島先生。現在、全生徒の約1割を占める帰国生たちと共に、同校は日本の教育をけん引する存在となっています。
(この記事は2017年12月に掲載しました。)
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