私立中高進学通信
2017年12月号
6年間の指導メソッド
実践学園中学校
独自の視点でオンリーワンの中高一貫教育を
綿密に体系立てた6年間のカリキュラムが目を引く同校。「進化し続ける学校」として改革を進める背景には、社会のニーズと生徒の声を拾い上げていこうとする確かな信念がありました。

インタラクティブ・ホワイトボードを日本で初めて導入した同校。
板書にかかる時間を削減し、視聴覚を刺激する授業内容の充実が図られています。
中1・中2で体系的に学ぶ『コミュニケーションデザイン教育科』
中高6年間を2年ごとの3ステップに分け、Intensive(深掘り)、Independent(主体的)、Interactive(双方向)を3つをキーワードに掲げた『スリーi(アイ)教育』を展開。グローバル教育においても段階を追って6年間の流れをしっかり作り、多極化する社会を生き抜く人材の育成に力を入れています。
スリーi教育を支えているのは、教育理念に沿った個性ある授業の実践と、生徒のニーズに即した環境整備です。まず特徴的なのは、中学3年間のカリキュラムに2009年度から実施の『コミュニケーションデザイン教育科』という同校独自の教科が週に1時間、組み込まれていること。これはグローバル人材に必要なコミュニケーション力を「自ら働きかける力」、「共感する力」、「場をつくる力」の3つと定義し、多彩な手法を使って体系的に学習する授業です。2015年度からは青山学院大学社会情報学部の苅宿俊文教授らの協力を得て、メタ認知・創造性・協働性という3軸で評価を行う『ALE(エール)プログラム』も構築しています。
例えば昨年度は、第一線で活躍する演劇やダンスのアーティストを講師に招き、仲間と力を合わせてさまざまに協働するワークショップを実施。また、中1と中2の合同授業では、中2生がファシリテーターとして授業の企画や運営を担いました。
さらに今年度はICT機器を活用し、新たにプログラミングのワークショップなどを取り入れています。
「これからの社会では、チームを組んでプログラミングする場面が増えてきます。そこで、最初は小さなグループでのプログラミングから始め、最終的にはクラス全体で一つの作品を作ることまで体験してもらいたいです。
社会が求めているのは、基本的学力に基づいたコミュニケーション力です。第二次成長期で思考が柔軟な中1・中2の間にコミュニケーションデザイン教育を行い、他者との協働を身をもって学ぶことは、その後の成長に大きな影響を与えるのです」(中高一貫部教頭/廣瀬享矢先生)
多彩な海外語学研修と留学制度で多角的に世界をとらえる

ネイティブの先生3人と日本人の先生1人の計4人体制で行われている英語の授業。
同校のグローバル教育はまず中1と中2で、日本文化についての知識や理解を深めることから始まります。これは全員参加の中3語学研修で訪れるニュージーランドで、現地のマオリ文化に触れる一方、生徒たちも日本文化をきちんと紹介する、意味のある文化交流です。一方、高1では東京大空襲を中心に平和学習を行い、第二次世界大戦における国々の様子や考え方をしっかり学んだうえで高2でのハワイ修学研修旅行につなげています。
「ハワイでは日系二世の方々がご苦労された体験などについても学んでいます。さまざまな角度から平和について考え、それぞれの立場で平和を捉えることで、深いグローバル教育が可能になりました」
グローバル教育で培った異文化を理解する力、コミュニケーションデザイン教育で身につけたコミュニケーション力、そして4技能をバランスよく伸ばした英語力をベースに、海外研修に参加します。海外での語学研修や中・長期の留学制度が多く用意されており、中高6年間で生徒それぞれの意欲やニーズに応じて自由に海外へ飛び立てる環境が整っています。
さらに阿部宏喜東京大学名誉教授のもとで行われているオリジナルの理科カリキュラムでは、校舎屋上にある「実践の森・農園」や東京大学演習林などで多彩な実習を展開。人文科学、社会科学、自然科学など各分野の著名な大学教授を招いての模擬授業も行っています。このようなリベラル&サイエンス教育の教科も、グローバル人材育成の基礎となっています。
『進化し続ける学校』と銘打ち、さまざまな展開をしている教育改革は、大学の先にある社会のニーズに応えるためと廣瀬先生は言います。
「大学入試改革を見据えながら、我々が目を向けている方向性に間違いがなければ、自ずと進学実績は付いてくるでしょう。信念を持って取り組みを続けていくつもりです」
貴重な青春時代を充実して過ごすための学校改革

いくら学力アップのためとはいえ、貴重な青春時代を補習の時間で奪ってしまうことには疑問を感じていました。そこで、普段の授業に無駄がないかを徹底的に検証した結果、教員の板書にかかる時間を削減しようと考え、2007年に全国に先がけ、全学年・全教室にインタラクティブ・ホワイトボードを導入したのです。結果、授業中に生徒は十分な理解ができ、進学実績の向上とともに、部活動への取り組みも盛んになりました。今では全国大会に出場するクラブが増え、学業と部活の両立が当たり前になっています。
また、放課後、落ち着いて勉強できる環境整備のために、『自由学習館』を建築し、自習や調べ学習に集中できる「館」も作りました。生徒それぞれの進路希望を実現させるため、予備校いらずの『J・スクール』も自由学習館を中心に開校しています。校内にも個別指導を受けやすいスペースを複数確保し、すき間時間を使って教員に質問できるようになりました。学校改革は生徒の声を拾い上げ、ニーズを察した教員たちのアイデアから生まれているのです。
(中高一貫部教頭/廣瀬享矢先生)

「生徒たちが通いたいと思う場所を作る」をコンセプトに建設された自由学習館は日本建築大賞を受賞しています。
体験と探究を重視した新しい学びを軽井沢で展開
教職員の会議や研修施設として作られた軽井沢研修センターが、2016年の建学90周年に合わせて改装され、中学生対象の勉強合宿や校外学習を行うセミナーハウスに生まれ変わりました。
「軽井沢では体験と探究を中心とした新しい学びを展開しています。中2の勉強合宿ではネイティブの先生が文法を教える英語や、苦手意識を持ちやすい作図に取り組む数学、よく飛ぶ折り紙飛行機を考案し、製作に励む理科など、普段の授業とは違う内容で主体的な学びを引き出しています」(廣瀬先生)
緑豊かな恵まれた環境の中、リラックスした雰囲気で学習できることも、生徒の知的好奇心をくすぐるといいます。
今後も軽井沢の自然を生かしたアクティビティや、地域の自然や文化、歴史の探索など、より一層の活用が計画されているそうです。

軽井沢研修センターは、生徒の知的好奇心を育む新たな学び舎として活用。
勉強合宿では、英語中心の授業や体験的な学びが展開され、生徒の成長を促します。
(この記事は『私立中高進学通信2017年12月号』に掲載しました。)
実践学園中学校
〒164-0011 東京都中野区中央2-34-2
TEL:03-3371-5268
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