私立中高進学通信
2017年11月号
グローバル時代の学び方
実践女子学園中学校
英語力だけでなく自主性も育てる学びの旅
海外研修を刷新
発信力と探究力を磨く

今年度から大きく内容を変更した海外研修。オーストラリア・ブリスベンの海外研修でも、クイーンズランド大学でオールイングリッシュの講義を受けました。生徒たちは皆、前向きに取り組み、大きな成果を得ています。
異文化体験だけではない学びのプログラムを
「模擬国連」での高い評価やハイレベルな英語指導など、以前からグローバル教育に力を入れてきた同校。来年度から国際学級『グローバル・スタディーズ・クラス』(GSC)の募集を停止してコースを一本化、全学級にそのノウハウを応用する改革を推進します。
さらに、自ら問題を発見して解決する力をつける「探究型」学習へと、授業内容もシフト。発信力も磨いていきます。その先駆けとして、中高の海外研修の内容を刷新しました。
「本校はこれまで異文化体験を中心にした海外研修を行ってきましたが、現地で深く学び、その成果を発信する内容に大きく変更しました。国際社会で自ら道を切り開く力を身につけることが狙いです」
と同校グローバル教育部長の師岡利光先生は語ります。
英語+探究学習をテーマに企業訪問やプレゼンを実施
海外研修の新しいコンセプトは、「家族旅行では体験できないプログラム」。研修ごとにテーマを設定し、生徒の意識を高めます。中3のオーストラリア・ブリスベン研修のテーマは、「オーストラリアと日本の比較文化研究」。日本とオーストラリアとの食文化の違い、教育の違いなどを現地の講義と体験で学んでいきます。
「午前中に食文化の違いを勉強したら、午後は現地の学生と調理実習をするなど、学んだことを体験に結び付けていきます。現地で活躍する日本人女性の話を聞く機会も作っています」(師岡先生)
生徒1人につき現地校から1人ずつバディが付くため、英語でコミュニケーションを取る機会が増えるようにプログラムが組まれています。
高1・高2のアメリカ・ボストン研修は、「女性のエンパワーメントを学ぶ」がテーマです。研修中は全日、現地の家庭にホームステイ。午前中はハーバード大学の敷地内で英語クラスのレッスンをしっかり受け、午後は女性の権利について学ぶ体験や、NPO訪問など、盛りだくさんの内容です。
テーマについて現地で深く学べるように、生徒たちは研修の1カ月前から週1時間の事前講義を受講します。帰国後は研修での体験をまとめたプレゼンテーションを行います。
楽しいアクティビティが少なく、本格的な講義が中心のプログラムに変更となったため、先生たちは「生徒たちの英語への意欲が高まらないのではないか?」という不安があったそうです。しかし実際には、どの生徒も興味を持って前向きに取り組んでおり、研修最終日に行う現地でのスピーチでは、中高ともに全員が堂々と英語での発表を終えたそうです。英語力だけでなく、自らの考えを発信する力も身につけて帰国した生徒たち。新しい海外研修は、生徒たちの未来への推進力を大いに高めることでしょう。
Action Report File001
貴重な経験をして帰ってきました!
オーストラリアとボストン海外研修旅行
同校の海外研修は、中3を対象とするオーストラリア・ブリスベンでの海外研修と、高1・高2を対象にするアメリカ・ボストンでの海外研修の2つ。どちらも現地に赴く前から探究活動を続け、海外でその成果をプレゼン、帰国後もさらに探究を深めてプレゼンをするという探究プログラムになっている点が特色です。
オーストラリア研修

中3の榮英里子さんは、オーストラリア・ブリスベンの研修旅行に参加。現地ではオーストラリアと日本の比較文化研究の学習を行いました。
「小学校の1年生の時から英会話を習っていて、英語は得意だと思っていましたが、いざオーストラリアの学校で授業を受けてみると、自分の力不足を感じました。ただ、向こうの授業では、わからないことはどんどん質問してもいいんです。むしろ疑問をそのままにしておくのがダメという考え方は、とても勉強になりました。現地校のバディとはとても仲良くなって、今でもメールでやりとりをしています」

オーストラリア・ブリスベンの研修旅行に同行した中嶋吉郎先生(中学教務部長・理科担当)は、生徒の意識の高さに驚かされたそうです。
「ブリスベンは観光地であるゴールドコーストが近いので、観光したい、海で泳ぎたいという声が聞かれるかと思いましたが、そんな声は全くなく、生徒たちは現地での講義に非常に満足していたようです。現地到着時は“サンキュー”の言葉も出ない感じでしたが、最終日には現地のバディとの会話が盛り上がり、時間を大幅に延長するほどに。語学力以前の『英語で言ってみよう』『チャレンジしてみよう』という意識の変化が、一番大きな収穫ですね」

現地校での歓迎会
英語での会話も弾みます
アメリカ研修

高1の越川京香さんは、ボストン研修旅行に参加。世界No.1の学術都市で、女性のエンパワーメントについて学びました。
「現地の保育園を訪れて日本とアメリカの家庭での女性の役割の違いを学んだり、オリンピックに出場したアスリートの女性に話を聞いたりしました。現地のボランティア学生のうち、1人が韓国人だったことに刺激を受けて、今後は韓国語や中国語も学びたいと思うようになりました。英語に加えてほかの言語を学ぶことで、より多くの世界の人とコミュニケーションできるようになりたいです」

谷照雄先生(高等学校教務部長・理科担当)はアメリカ・ボストン研修旅行に同行。生徒の自主性を重んじるプログラムでしたが、生徒たちは見事にやってのけたそうです。
「生徒たちにはホームステイ先からバスや地下鉄に乗って、自分たちでハーバード大学の最寄り駅まで通学してもらいました。もちろん全員に携帯を持たせ、事前に交通機関の安全性を確かめるなど、しっかり安全面でのフォローはしています。出発前はモジモジしていた生徒も、最終日には見違えるように英語で意思表示をできるようになりました。『自ら行動する』という目標は達成できたのではないでしょうか」

女性リーダーを育成するNPO法人 JWLI訪問
Action Report File002
多様化する国際社会に対応
次世代の女性を育てる“探究力”を鍛えるプログラム
自ら考え、自ら実行する力が、今後の国際社会では必須と考える同校。通常の授業でも、探究型のプログラムを大幅に導入し、生徒の「自ら学びたい」という探究心を全力でサポートしています。
同校が今までも高い実績を残している「模擬国連」は、本来は高校生の活動ですが、中3からも行えるように今年から講座を開設し、早い段階から世界に目を向けた探究活動に取り組んでいます。また、中3対象の『理科ゼミ』、高1対象の『サイエンス探求プロジェクト』、高1・高2対象の『数学ゼミ』など、生徒自らが考える力を強化する取り組みが数多く用意されています。
アメリカ人スタッフと親しみながら英語でコミュニケーション

模擬国連で日頃の探究の成果を発揮
(この記事は『私立中高進学通信2017年11月号』に掲載しました。)
実践女子学園中学校
〒150-0011 東京都渋谷区東1-1-11
TEL:03-3409-1771
進学通信掲載情報

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