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私立中高進学通信

2017年9月号

校長が語る 思春期の伸ばし方

開智日本橋学園中学校

「共感」して行動する経験を重ね
自己肯定感と主体的に発信する力を育む

疑問を持つことから始め、「なぜそうなのか」を考え、調べて発表します。

疑問を持つことから始め、「なぜそうなのか」を考え、調べて発表します。

自ら考えて決断し自分たちで学校を創る
一円 尚校長先生一円 尚(いちえん・ひさし)
校長先生

1963年大阪府に生まれる。私立武蔵高校、東京大学工学部、教育関係の民間企業を経て、2009年開智学園に入職。開智高等学校教頭、副校長を歴任し、2015年開智日本橋学園中学校初代校長に着任。アクティブラーニング、ICT教育に強い関心を持ち、日本アクティブラーニング学会理事を務める。

 周囲の人に依存していた状態から、自我が確立し、自立へと移行する思春期。子どもたちは自分にプライドを持ちたいと思う一方で、これまで以上に他人の目を意識するようになります。

「この時期の子どもは、常に他人と比較し、自信がなくなって落ち込んだり、不安定になったりします。このようなときに大切なのは、自己肯定感を育てることです。本校でも、そのことを強く意識して教育に取り組んでいます」

 そう語るのは一円尚校長先生です。

「人間が行動を起こす動機は、『従わざるを得ない命令をされたとき』『何か報酬が得られるとき』『その行動自体に価値が見いだせるとき』の3つに分けることができます。自己肯定感を育むためには、3つめの『その行動に価値を見いだして取り組むこと』、つまり『共感』することが大事です。中高生の時期に、この共感をどれだけ多く経験させられるかが、自己肯定感を獲得するためのポイントだと私は思っています。
 本校でも『共感』を育むために、さまざまな取り組みをしています。学校のルール、たとえば携帯電話の使い方をどうするか。どういう時に使ってもいいのか、ダメなのかを生徒自身に考えさせることで、その約束事は『共感』を得られるものになります。また文化祭も、テーマや展示内容は実行委員会の生徒が中心になり、自主的に話し合って決めています。この学校は自分たちで創るんだという気持ちが大切です」

 実際、命令して行動させるのは簡単です。それに対して、生徒に自ら考えさせ、決めさせるには、時間がかかります。「それでも、その時間を惜しめば、子どもは育ちません」と一円先生は強調します。

「任せることで、子どもたちは生き生きとして、自分で動くものです。強制でやらせるより自己管理ができていますし、手間ひまをかけただけの成果は出ていると思います」

「共感」を育む探究型授業&テーマ活動
問題意識を持って取り組むことが大切。そこから「共感」が生まれます。問題意識を持って取り組むことが大切。そこから「共感」が生まれます。

 授業や学習活動でも、同校が重視するのは生徒の自主性です。

「教員が『これはこういうものとして覚えなさい』と言うのではなく、『どうしてそうなるのか、考えてみましょう』と自分で問題意識を持って取り組めるように探究型の授業を積極的に取り入れています。ディスカッションをしたり、インターネットを使って調べたり、自ら考えることで取り組んでいることに対して『共感』が生まれます。また、自分が興味のある事柄について、『疑問』『仮説』『検証』『発表』という4段階のステップを踏む探究テーマ活動を行っていることも本校の大きな特徴になっています。
 自分で求めていかなければ疑問は浮かびません。人が思いつかないような疑問を持つことから、偉大な発明や発見は生まれるものです。疑問に思ったことに対して自分なりに仮説を立て、実験を行い、文献を調べて検証をし、それをまとめて発表する機会をできるだけ多くしています」

発信力と自己肯定感が自信を生み出す
保護者の心得
  1. 上から命令せず、子どもが自ら進んで行動する機会を作る
  2. 「なぜ」「どうして」をできるだけ自分で考えさせる
  3. 物事を決めるときは、親が口出しせず子ども自身に判断させる

 同校の探究テーマ活動は、入学前からスタート。入学ガイダンスで与えられた課題について準備し、4月に行われるオリエンテーションで発表します。

「探究型授業や探究テーマ活動に慣れていくために行っていますが、取り組む機会は数多くあるので生徒はすぐに順応していきます。また、オリエンテーションには中2生も参加します。学校の特色を生徒が生徒に教えるのです。オリエンテーションに向けて、中2生は新入生をどう迎えるか考えて準備をします」

 頻繁に行われる探究テーマ活動の中でも、最も規模の大きなものが泊まりがけのフィールドワークです。2泊3日の日程で、現地で調査し、ディスカッションを重ねながら探究活動を行い、最終日に発表をします。そこで自ら疑問を持ち、仮説を立て、検証し、成果を発表します。

「中1生が取り組むのは『磯のフィールドワーク』。磯に棲む生物を観察し、疑問を持ち、疑問を検証していきます。中2生は『森のフィールドワーク』になります。事前研修として実習を行い、グループごとに自分たちでテーマを決め、計画を立てて取り組みます。このようなフィールドワークや授業を通じて、疑問を持ち、発信する力を養っていきます。同時にこうした主体的な活動を通じて、生徒たちは『共感』をしながら自己肯定感を育んでいくのです」

『哲学対話』で自分を客観視する
楽しく、真剣に語り合う『哲学対話』の時間。時として訪れる沈黙の時間が思考を深めます。楽しく、真剣に語り合う『哲学対話』の時間。時として訪れる沈黙の時間が思考を深めます。

 自己肯定感とともに思春期に大切なのは自分について知ることです。同校では道徳の時間に「哲学対話」を行っています。哲学対話では、たとえば「ひとりでいるのと、他人と一緒にいるのとどちらがいいか」というように、「答えのない問い」についてクラスでディスカッションを行います。人の話に耳を傾け、意見を述べることを通じてコミュニケーション力を高め、自分がどういう人間であるかに気づく機会にもなっています。

(この記事は『私立中高進学通信2017年9月号』に掲載しました。)

開智日本橋学園中学校  

〒103-8384 東京都中央区日本橋馬喰町2-7-6
TEL:03-3662-2507

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