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私立中高進学通信

2017年9月号

アクティブラーニングで伸ばす新しい学力

東京女子学園中学校

地球思考コードとルーブリック評価表で学びを明確化

目標を定め、思考をフルに働かせてめざす方向へ自らを導く
2017年度からグループでの作業にも1人1台に貸与されたタブレットを活用しています。

2017年度からグループでの作業にも1人1台に貸与されたタブレットを活用しています。

アクティブラーニングを全教科に

『地球思考』をテーマに、世界とつながる女性を育成する同校は、38年前から希望者を対象にアメリカ・シアトルでの海外教育研修を実施。英語の実践力を磨く教育を長年にわたって積み上げてきました。現在では、オーストラリアでの3カ月間の短期留学や、セブ島での英語研修も展開しています。

 これらの研修を充実させるために、現地でよく使われている会話や言い回しが学べる教科書『ワールド・スタディ』を活用。同校の英語科の先生が共同で作成した完全オリジナルテキストで、卒業後も役に立つと大変好評を博しています。

 週6時間ある英語の授業のうち、1時間はこの教科書を使ったコミュニケーションの授業です。ネイティブの先生と日本人の先生がチームティーチングで指導し、ペアになって質問し合ったり、グループで課題に取り組んで発表したりと、能動的なアクティブラーニング型授業を行っています。

 辰巳順子先生(校長補佐・広報室室長)は次のように話します。

「海外研修で訪れるアメリカやオーストラリアは、アクティブラーニングの先進国。ホームステイ先でも親が頭ごなしに『ダメ』ということはなく、理屈をしっかりと説明し、生徒もそれに対して自分の意見を論理的に説明しようと努力します。
 現地でのやり取りを見ていて、こうしてディスカッションの素地ができるのだと感じました。たとえ短い研修であっても海外で学ぶには、英語力だけでなくコミュニケーション能力が大事。相手の問いかけをよく理解し、自分の意見を論理立てて述べることができる。これこそ生徒たちが生きるこれからの未来で必要とされる力だと思います。
 こういった力は一朝一夕では身につきません。だからこそ、英語だけでなく全教科で課題解決型のアクティブラーニング型授業を取り入れることとなりました」

 2014年度からは全教科に広がることとなったアクティブラーニング。まず、講義形式で基本的な知識を習得し、第1段階として個人で調べたり、ペアで話し合ったりする時間を設定します。第2段階はグループでディスカッション。グループのメンバーと協働して調べ学習を行い、その内容をICTを用いてプレゼンテーションします。第3段階は自分で考えるところに立ちもどり、授業の振り返りとしてレポートを作成し、主体性や協働性、思考力、表現力などを育成しています。

困難を乗り越えて生きる力「智慧」を育むために

「グループで調べ学習をしたり、話し合いをしたりというのは、わいわいとして楽しいものです。でも、それで終わっては深い学習には結び付きません。そこで本校では、ルーブリック評価表を導入しました」

 ルーブリック評価表とは生徒の学習達成目標を段階別で具体的に表わしたもので、同校ではプレゼンテーションの際に、生徒が互いに評価するのに活用しています。例えば、グループでの調べ学習とプレゼンテーションの場合は、「事前の準備」「内容」「協働」「発表」「評価・理解」といったカテゴリーを設定。ルーブリック評価表を確認することで、生徒は学習の流れの中で、何に気を配って、どのように取り組めばよいのかを明確に理解し、達成目標を意識しながら学びを進めることができます。そのため思考の内容が深まり、探究心や好奇心が出てくると辰巳先生は言います。

 ルーブリック評価表の基準となるのは、同校オリジナルの『地球思考コード』です。『地球思考コード』は同校がめざす教育の方向性を表したもので、論理的思考を育て、最終的には批判的思考力と創造的思考力を持った『智慧』を育むことを目標としています。

「智慧とは、これから起こり得る困難な問題が起きたときに共に協働して一つひとつ解決して前に進む力、つまり生きる力だと考えています。地球思考としての『智慧』を持ち、主体的に行動できる女性へと成長し、地球を舞台に自分がやりたいことをやっていってほしいですね」

Active Learning 001
教育の方向性を示す『地球思考コード』
東京女子学園地球思考コード

 同校では、学びの方向性を同校オリジナルの『地球思考コード』で明らかにしています。『地球思考コード』の表を見ると、縦軸は行動範囲で、「自立」からスタートして「協働」、「地球共生」へと進みます。横軸は思考力の深まりを表し、「知識・理解」から「論理的思考」、「批判的思考/創造的思考」へとレベルアップしていきます。『地球思考コード』は、地球共生の行動と批判的思考/創造的思考を持った「智慧」を育み、『地球思考』を身につけた世界とつながる女性を養成することを目標としています。

 知識の理解と習得に重点が置かれていた従来の学校教育に対して、現在は論理的思考力が求められています。同校ではこれをさらに進めて、批判的思考力、創造的思考力へと深めていきたいと考えているのです。生徒によってはA1の知識は苦手だけれど、C3の創造的思考は得意だという生徒もいます。従来の知識量中心の評価ではなく、生徒の個性を把握してさまざまな能力を伸ばしていくことができます。

Active Learning 002
ルーブリック評価表でアクティブラーニングを深める

『地球思考コード』で学びの方向性を明らかにしたうえで、これをベースにしたルーブリック評価表をアクティブラーニングを深めるために活用しています。

 プレゼンテーションや発表などを行う際、ルーブリック評価表で達成目標を示しますが、その内容は行う発表やテーマによって個別に設定されます。例えば環境問題研究発表のルーブリック評価表は、「テーマの理解」「内容」「協働」「発表」「評価・理解」の5つのカテゴリーを設定。4段階で評価します。「グループ全員が内容をよく理解していたがさらなるリハーサルが必要だった」は評価B、「グループ内でテーマの理解ができないものがいた」は評価Cとかなり細かく設定されています。

 ルーブリック評価表は、先生が生徒を評価するのでなく、評価表を意識しながら学びを進め、生徒自身が自らやクラスメイトを評価するところに意義があります。評価を細かく設定することで客観的な見方が身につき、たとえグループワークがうまくいかないときでも、「次はここを改善しよう」という前向きな力へと転換できているそうです。

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講義形式で知識を得たらグループで学習

 同校のアクティブラーニング型授業は、まず各単元の基本的な知識を講義形式で学び、その後でグループワークやディスカッションなどの課題解決型授業に取り組むことで理解を深めていくスタイルです。同校オリジナルの『地球思考コード』ではグループでの「協働」を上位に置き、知識の共有や一緒に情報を整理するコミュニケーションを奨励しています。グループワークでの話し合いや発表は、論理的思考や批判的思考、創造的思考を深めることにもつながっているからです。

 同校では以前からタブレットを授業で使用してきましたが、2017年度から1人1台配布。プロジェクターと連動させテンポよく授業を進め、意見の発表にも利用しています。

(この記事は『私立中高進学通信2017年9月号』に掲載しました。)

進学通信2017年9月号
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