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私立中高進学通信

2017年8月号

The Voice 校長インタビュー

東京家政大学附属女子中学校

挑戦する勇気や自分で判断する「たくましさ」を育てたい

篠原 善廣 (しのはら・よしひろ)埼玉の公立中学、県立高校で社会科の教鞭を執った後、県教育委員会で教育行政に携わる。県立熊谷女子高校、大妻嵐山中高を経て2017年度4月より現職。元埼玉県高等学校長協会会長。

篠原 善廣 (しのはら・よしひろ)
埼玉の公立中学、県立高校で社会科の教鞭を執った後、県教育委員会で教育行政に携わる。県立熊谷女子高校、大妻嵐山中高を経て2017年度4月より現職。元埼玉県高等学校長協会会長。

ファーストペンギンの気持ちでチャレンジしよう
ランチルームで自習をする生徒たちと。中学3年間は完全給食を実施しています。ランチルームで自習をする生徒たちと。中学3年間は完全給食を実施しています。

 初めて教員として務めたのは埼玉県の公立中学校です。その後、県立高校、教育委員会勤務を経て県立高校と私立の女子高校で校長を経験しました。教員人生の後半は女子校で過ごしてきたことになります。

 本校の生徒の第一印象は「心優しく、おだやかで素直」。落ち着いた思いやりの深い生徒の集まりだと自負しています。

 そのような生徒の輪に新入生が加わる入学式では「ファーストペンギンになってほしい」と話しました。南極に住むペンギンは魚を捕まえるために海に飛び込まねばなりません。海にはさまざまな天敵がいて危険がいっぱいです。ペンギンたちは断崖で群れをなし動きません。ついに1羽が飛び込むと、いっせいに皆が続きます。その最初の勇気ある1羽をファーストペンギンと呼ぶのです。

 本校の生徒にはぜひ、未知を恐れないファーストペンギンになってほしいのです。「やってみよう」という気持ちでチャレンジする。これが、中学校の生活で大事にしてほしいことです。

ゴーン氏が重視する3つの自立とは

 勉強や日々の生活で疑問を持つ、自分から誰かにたずねたり、調べてみたりする。教師の最大の願いは、本校の建学の精神でもある『自主自律』の姿勢を生徒が身につけてくれることです。

 カルロス・ゴーン氏は子育てについて3つのモットーを持っているそうです。1つは仕事を持ちキャリアを歩む「経済的な自立」、2つめは自分で考え、学ぼうとする意欲を持つ「知的な自立」 、3つめは自身のアイデンティティーを保ち、物事を判断できる「精神的な自立」です。特に高校生にはこの3つめの精神的自立に近づけるよう、学校生活を送ってほしいと願っています。

 女子校は「みんなでがんばろう」という雰囲気が学年に根付いてくると全員の学習意欲が高まる傾向があります。私が直接、授業を受け持つことはありませんが、学年集会などを通して、助け合いながらも競争できる雰囲気が大切なんだよ、とメッセージを投げかけていきたいですね。

現代に必要なのは思いやりとたくましさ
中高時代に大切なこと
  1. 「やってみよう」の気持ちで挑戦する
  2. 精神的自立の確立をめざす
  3. たくましさをプラスしよう

 思いやりを持ち、さまざまな物の見方を身につけ、女性らしくしっかりと生きていく。本校は生活信条として『愛情・勤勉・聡明』を掲げますが、グローバル社会である現代においては、その上に「たくましさ」が必要とされるのではないでしょうか。現在、アクティブ・ラーニングである協同学習を全教科で展開しています。疑問を持ち、議論し、チームで探究する、そのような姿勢を育てる授業改革を行っています。

 英語教育に関しては高いレベルの英語を学べる『Eクラス』を中2から設置しました。中3のシンガポール修学旅行は2017年度から始まります。高1・2対象のカナダホームステイプログラムは継続し、今後は発展型として中長期の留学制度も整備していく予定です。

 自主自律の学習を応援するため、校内に自習室を新設しました。高校生を対象として午後6時以降も利用できるので「部活動後に勉強できる」と好評です。大学生によるチューター制度の導入も決まっています。家政学部、看護学部などを擁する東京家政大学への進学だけでなく、近年増えている外部大学への進学希望者に対応するためです。

 中学では外部の英語レシテーション大会や板橋区の絵本翻訳コンテスト「いたばし国際絵本翻訳大賞」など、外に向けて参加する取り組みを奨励しています。入賞者が出て結果もついてきています。この勢いを後押しするような学びの環境を整えていければと思います。

子どもたちの出会いが宝

 若い時、重い病気を抱えた子どもが通う養護学校、今でいう特別支援学校に勤めたことがありました。病気が進行して通学できない生徒の枕元に通い勉強を教えました。死が直前に迫っていると本人はわかっています。そんなときに一体何を教えるのか、何を話せばよいのか思い悩んだことが今も情景として思い出せます。ぜんそくの生徒が通院しながら高校受験ができるよう教育委員会に何度も足を運んだこともありました。

 県立高校時代は生徒指導が困難な学校で、それこそいろいろなことが起きました。でも、話してみれば自分の辛さを吐露する生徒もたくさんいました。

 こうした経験を経て学んだことは、生徒は本当に自分を助けようとしてくれる教師を感じ取るということなんです。できないからといってあきらめる教師は見抜かれてしまいます。ハンデがあっても、なくても、どの生徒にも愛情を持って接することが大切だと教えられたことが私の原点になっています。

[沿革]
創立者の渡邉辰五郎は江戸、明治期にかけて和裁と洋裁を学んだ後に開業、女性にその技術を教えた教育者。1811(明治14)年に設立した「和洋裁縫伝習所」が同校の母体となる。1949(昭和24)年に現在の校名に変更。昨年創立135周年を迎えた。自校直営方式の給食施設や温水プール、3つの体育室、ビオトープなど施設が充実している。

(この記事は『私立中高進学通信2017年8月号』に掲載しました。)

東京家政大学附属女子中学校  

〒173-8602 東京都板橋区加賀1-18-1
TEL:03-3961-2447

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