私立中高進学通信
2017年8月号
The Voice 校長インタビュー
京華女子中学校
バランスの取れた教育方針と
独自プログラムで生徒の才能を伸ばす

塩谷 耕 (しおや・こう)
1962年生まれ。新潟県出身。東京理科大学卒業後、1984年より「NEVER DIE(けっしてあきらめない)」を校訓とする京華中学・高等学校に数学教師として着任、2010年に校長就任。6年間校長を務め、2016年に京華女子中学・高等学校に副校長として異動、今年4月に校長に就任。個性を大切にしながらも、人としてバランスのよい人材を育成したいと考えている。
隠れた魅力や才能を開花させることが英才教育

京華学園の教育方針のキーワードは『英才教育』。生徒の隠れた魅力や才能を開花させることこそが英才教育であるというのが教育理念です。それに加え、京華女子として大事にしているのが、「バランス」。本校の目標は賢い女性の育成ですが、賢さとは学力と心、そしてグローバルな寛容さに基づく国際理解だと考えています。
私自身の教育理念としても、これからの社会では、バランスの良い人材が今以上に必要とされると思っています。ただ機械いじりが得意なだけ、逆にコミュニケーション能力だけという人材は、今後の社会では通用しません。かつ、時代がめまぐるしく変化しているので、グローバルな柔軟性も必要とされる。さまざまな面でバランスの良さが求められていると感じます。
本校を見ていると、非常にバランスのいい生徒が多い。クラブ活動にも勉強にも熱心で、友達に思いやりをもてる生徒がたくさんいます。そのうえで教育を通じて、それぞれの生徒の個性を伸ばしていけば、この厳しい時代を生き抜いていけるのではないでしょうか。
男女別学のメリットを活かし女子の特性を尊重した教育を
私自身は、本校の隣にある京華中学・高等学校で男子校の教員を32年間務め、昨年初めて女子校である本校に赴任しました。最初の1年は見習いのつもりで、副校長として現場の先生と共に授業を担当しました。驚いたのは本校教員のフォローのきめ細かさです。先生たちが職員室のあちらこちらで、生徒たち一人ひとりの相談にのっている姿が見られました。
女子生徒は精神年齢が同年代の男子生徒よりも上ですから、きちんと教えればしっかり聞いてくれます。しかし、真面目なだけに女子生徒のほうが壁にぶつかり、悩むことも多い。心理面のサポートが女子教育には必須だと感じています。
学校内で完結する学習指導
京華女子から東大文Ⅲ現役合格!
東大合格を可能にした3つの教育環境
- あたたかい校風とひたむきに努力する素直な生徒たち
- 一人ひとりの生徒の心に寄り添う教員が「学力+精神力=合格力」を育む
- 学校完結型の学習支援システム
本校の教育の特徴は学校完結型の学習支援システムです。上位大学をめざす生徒には、予備校講師と本校教員とのコラボレーションによる受験講座を週3回実施。一方で、フォローの必要な生徒には放課後にフォローアップゼミの受講を義務づけ、確かな学力を養成しています。
こういった取り組みが功を奏し、平成29年度入試では東京大学文科Ⅲ類に現役合格者を出しました。軽音楽部に所属していたこの生徒が部活をがんばりながら現役合格できたのも、本校ならではの支援システムがあったからこそ。生徒の多彩な活動を応援しながらしっかり学力を上げる体制が整っているのです。
本校独自のEHDプログラムと留学・理系科目の充実を図る
また、本校は20年前から、『EHD』※総合学習年間プログラムに取り組んでいます。中1でお琴、中2・中3で華道・茶道・日本舞踊を学び、集中力や礼儀作法、女性としての品格を身につけるプログラムで、生徒にも保護者にも非常に好評です。日本の文化をきちんと紹介できる女性に育ってほしいという狙いがあり、外部の専門講師を招き、技術や作法だけでなく、文化的な背景も勉強しています。
老人ホームの訪問などのボランティア活動、プレゼンテーション大会、弁論大会などの取り組みも行っています。
2020年から始まる大学入学共通テストでは思考力・判断力・表現力が問われるようになります。『EHD』でも今後はそういった点をより強く意識して取り組んでいきます。
グローバル教育も積極的に行っています。本校では中学の3年間、第二外国語の授業があり、フランス語か中国語のいずれかを選択して学ぶことが義務付けられます。中学生のうちから英語以外の言葉を本格的に学ぶ機会はなかなかありません。ネイティブの先生から言語だけでなく、その国の文化なども学ぶことができるのは、本校の強みだと自負しています。
また、オーストラリアに2週間、ニュージーランドに3カ月の留学制度を設けています。これに加えて、フィリピン・セブ島の英会話学校と提携し、スカイプを使ったマンツーマンのオンライン英会話レッスンの導入を検討しています。さらにその後、セブ島に2週間留学する語学研修プログラムの提供も考えています。
もう一つ、理系に進む生徒を増やし、その学びをサポートするため来年度からはカリキュラムを大幅に変更し、理科と数学科の授業数を増やします。苦手意識のある生徒もしっかりフォローできるよう、ゆとりをもって実施し、基礎からきちんと理解する道筋を作っていきます。
生徒たちには、本校のさまざまなプログラムを体験しながら、自分の能力を最大限に伸ばしていってもらいたいですね。私たち教員もていねいなサポートで臨んでいきます。
※EHD:Education for Human Development(全人教育)の略。

[沿革]
1897(明治30)年、『英才教育』を建学の精神として創立者・磯江潤が京華尋常中学校を開校。1901年に京華商業学校、1909年、小石川原町の地に京華高等女学校を設立。1947年より戦後の学制改革により京華中学校・京華第二中学校とともに、京華女子中学校設立。1960年、女子部は京華女子高等学校として独立。1984年、京華女子中学校が再開。2009年には京華女子中学・高校創立100周年を迎え、京華学園は今年で創立120周年を迎える。
(この記事は『私立中高進学通信2017年8月号』に掲載しました。)
京華女子中学校
〒112-8613 東京都文京区白山5-13-5
TEL:03-3946-4434
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