私立中高進学通信
2017年7月号
6年間の指導メソッド
聖学院中学校
『育てたい生徒像』を土台にしたカリキュラム
どのような生徒を育てたいかが一番大切な事と考え、教育に一本の筋を持つために定めた『聖学院が育てたい生徒像』。 将来の夢や大学選択の理由を問う、学びの本質に迫る進路指導も、過去最高の合格率アップにつながっています。

2016年夏に新設された「Future Center」。部屋の3面がホワイトボードで発表などに利用しやすく、
グループワークが大いに盛り上がります。発表に苦手意識のある生徒でも、自然と言葉が出てくるようになるそうです。
卒業生数の70%がGMARCH以上に合格

2016年度の大学入試では、GMARCH以上の大学への合格者が卒業生の70%と、過去平均から大きく飛躍した同校。2010年度から導入した2コース制(アドバンストクラスとレギュラークラス)が軌道に乗った結果と言えそうですが、レギュラークラスからも早慶上理ICUへ合格者を輩出しているのが大きな特徴です。
1906年創立と長い伝統を持つ同校は『Only One for Others(他者のために生きる個人)』の理念を中心に、キリスト教精神に基づく「人間教育」「学習指導」「体験学習」の3つを教育の柱としています。独自の思考力入試を実施しているほか、「21世紀型教育」のカリキュラムなど先進的な取り組みを続けていることでも知られ、中高の6年間を通して真に社会で役立つ人材の育成に力を入れています。
そんな同校が、このほど新しく制定したのが生徒の状態目標※を示す『聖学院が育てたい生徒像』です。「中1末」「中3末」「高Ⅱ末」の各段階で、自己肯定感や主体性、他者の受容(協同性)などの項目ごとに、生徒がこうあってほしいという、具体的な目標を言葉で表しています。例えば「他者を受容する・社会を考え、行動する」の項目では、中1末までの達成目標として「心身の特徴を認め合うことができる」「チームの活動に協力することができる」「一人でいる人を認めることができる」などが挙げられています。
これまでも、どの段階で何を学び、どのような力を身につけるかという教育プログラムはしっかりと構築されていた同校。そのうえで、さらに『育てたい生徒像』を具体的な形にしたのはなぜなのでしょうか。
「守るべき伝統はありますが、社会変化に対応するためには変革も必要です。学習指導や学校行事などの内容を見直す際、何を残し、何を変えるかの判断軸を教員間でしっかり共有することが重要だと考えました。そのために、『育てたい生徒像』を明確に言語化しました」
と21教育企画部部長を務め、学校改革を推進する児浦良裕先生は言います。『育てたい生徒像』 は、生徒や保護者とコミュニケーションを取るうえで、欠かすことのできないプラットフォームにしていき、今なぜこのような指導が行われているのかを理解してもらうのに役立てていく予定です。
中学入学後は、新入生合宿や、同校独自の総合学習『L .L .T.(Learn Live Together)』などを通し、『育てたい生徒像』に示した「自己を肯定し、相手を認めることの大切さ」などについて、細かくケアをしていると副校長の清水広幸先生は言います。
「男子特有の成長のステップを的確にとらえ、より学校生活がスムーズに送れるように一人ひとりをサポートし、人間力を伸ばしていきたいですね。一本の筋が通った本校の指導方針で、すべての生徒を6年間でしっかり育て上げたいと考えています」
※状態目標=生徒のそのときどきで、どのような状態にあるのが望ましいのかという目標。
社会にコミットできる人材を育む多様な体験学習

同校では体験学習にも力を注ぎ、中学では糸魚川での農村体験学習などを実施し、探究活動の入り口となる学びを体験します。また、企業や進路探究に取り組んでプレゼンテーションする 「クエストカップ」 など、外部のコンテストにもチャレンジさせています。
「高校への助走となる中3では、〝ファーストペンギンになれ (勇気をもって新しいことに挑戦せよ) という気持ちで大海に自ら漕ぎだすような体験をしてもらいたいのです」 (児浦先生)
高1、高2では社会にコミットする感覚やスキルを高めるプログラムを用意。高1では『ソーシャルデザインキャンプ』 と題して、熱海や箱根の地域活性化をテーマにチームで課題解決に挑むコンペを開催。高2では修学旅行で訪れる沖縄の社会課題について深く学び、いかにして持続可能な社会を成り立たせるかというテーマに取り組みます。
このような積み重ねがあり、大学合格率を格段にアップさせている同校。
「卒業生は、大学や社会でリーダー的な存在として活躍しています。“聖学院を出た生徒は違う” と言ってもらえるよう、教育にますます磨きをかけていきたいです」 (児浦先生)
将来の目標をしっかり持つことで自己管理や自主的な学びにつなげる
進路指導にも熱心に取り組んでいる同校。高2の秋からは志望理由書の作成を通し、「何のために大学へ行くのか。なぜその大学で、その学部を選ぶのか」を繰り返し生徒に問いかけます。将来の夢や目標が定まれば大学選択の理由も明確になり、志望する研究室の教授を訪問し、実際に話を聞くところまで深く掘り下げていきます。
「そのような経験を通して、夢を叶えるためには、いま自分が何をしなければいけないかがわかるようになります。この『大学で学びたい』という思いに火が着けば、合格するための学習戦略工程表やスケジュール管理表の作成にも、自ら熱心に取り組むようになります。教員も粘り強く、繰り返し面談をするなどして、夢を叶える手助けをしています」(清水先生)
ていねいなサポートがあるからこそ、高2まで部活動に取り組んでいたレギュラークラスの生徒たちも、大学合格へ向けて積極的に追い込みがかけられるそうです。



(この記事は『私立中高進学通信2017年7月号』に掲載しました。)
聖学院中学校
〒114-8502 東京都北区中里3-12-1
TEL:03-3917-1121
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