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私立中高進学通信

2017年6月号

思春期の伸ばし方

女子聖学院中学校

自分らしくやっていける実感が
自立の基盤となります

中学入学後1週間の生徒たちの笑顔。1週間で輝くような笑顔が飛び出すほど、生徒たちは良き友情関係を作ることができています。

中学入学後1週間の生徒たちの笑顔。
1週間で輝くような笑顔が飛び出すほど、生徒たちは良き友情関係を作ることができています。

自己理解を深め自分らしさを知る
木村徹朗(きむら・てつろう)
副校長先生

立教大学理学部卒。“数学的無限”に関心をもち、同大学院博士前期課程(数学専攻)を修了後、城北埼玉高等学校に専任教諭として勤務。その間キリスト教の信仰を与えられ、女子聖学院中学高等学校に転じ、学年主任、生徒指導部長、教頭を経て、現在副校長。趣味は歴史上の人物や出来事について探索すること。

 思春期は、多感で難しい時期です。その時期を、保護者としてどのように向き合っていけば良いのでしょうか。女子聖学院中学校の木村徹朗副校長先生にお話をうかがいました。

 思春期を迎える中高生たちは、「自立に向かって一歩一歩、歩みを進めていく時期だと思います。そして、自立に向かっていくためには、中高の6年間をかけて、自己理解と他者理解とを結びつけ、それを深めていく必要があります」

 と木村副校長先生は語ります。

 自己理解とは、自分を知り、作り上げていくこと。それは、自分らしさの構築でもあります。そして、他者を理解し、違いを意識し、または協働作業を通して共通点を見出していく(=他者理解)ことで、より自己理解が深まっていくと考えます。

「自立の基盤は、『他者と、自分らしくやっていけるという実感を得ること』だと思います。そのためには、まず、『自分を作る』ことが大切です。
『自分を作る』ためには、3つのポイントがあります。まず、一つ目に、自分らしさを知り、それを大事にする自分であること。二つ目に、確かな価値観の軸を構築し、情報に振り回されないこと。そして三つ目に、『今持っている力』で精一杯取り組み、あきらめない自分であることです。このような『自分を作る』ことから、自立が始まっていきます」

 一方で、同校が考える生徒像には、キリスト教の教えに基づいた同校の教育方針が反映されています。

「まず、生徒は一人ひとり、その子でないと咲かせられない花の種を神様からもらって生まれてきていると考えます。この種は、その人固有の強い方向性のようなものです。そして、その種は次第に芽を出していくものですが、成長のスピードは個々によって違います。人は必要なステップを飛び越えて成長することはできません。それぞれのステージを十分に味わってから次のステップへと上がる必要があります。さらに、自分で経験し、自分で選んで進んでいくことも大切です。このような考えの元、私たちは人間教育を行っています」

自己を見つめることが進路志望にもつながる
「思春期の育て方」保護者の心得
  1. 子どもは親の言葉はすべて重く受け止めることを意識する。
  2. いつでも話を聞いてあげるという姿勢を示す。
  3. 子どもの選択を尊重し、一緒に未来を見つめる。

 では、同校では、実際にどのようなプログラムが行われているのでしょうか。

「本校では、各学年の発達段階に応じた学年プログラムを実施しています。まず、最初の段階として、中1生は『翠の学校』と呼ばれる2泊3日のプログラムで、自己を見つめます。ここでは、『命』と『賜物』、『共に生きる』をテーマに自分を知ることから始め、これが人間教育の根本となります。

 そして、中2生では世界の広さを伝え、中3生では作家の三浦綾子さんの文学を通して、他者のためにできることを考えていきます。この中学での人間教育は、職業興味とも結びつき、高1以降では、進路志望にもつながっていきます。このように、教育は6年間にわたって続きますが、やはり中学時代の教育が大事だと私は感じています。中学時代に、教員たちが生徒一人ひとりの成長スピードに合わせて、時に成長を待ちながら、ステージを着実に踏ませてあげることができるか。それによって、成長ぶりが変わってきます。

 説明会などで訪れていただいた保護者の方から、高校生たちが生き生きと過ごしている姿が印象的だったというお言葉をいただくことが多いのですが、これはまさに中学校からの積み重ねがあってのことです。そういう意味でも、中学校のプログラムが非常に重要な意味を持つと考えています」

いつでも話を聞き否定しないことが大事

 自己を深めていく子どもたちにとって、学校の教育だけでなく、保護者が適切な関係性を築くことも大切です。保護者が思春期の子どもたちと接する時に気をつけるべきことは何でしょうか。

「まず、お子さんは、両親の会話を聞いていることを忘れないでください。どんなに親に反発していても、子どもたちはどこかで、両親に喜んでもらいたいという思いを持っているものです。親が何の気なしに言った言葉を真に受けてしまうことも多く、それがお子さんの傷になることもあります。
 そして、父親は特に、娘さんの話をいつでも聞いてあげるというオーラを常に出しておくことが大切です。娘さんが失敗をしたり、問題が起こったりした時になって、『聞いてあげるよ』と言っても遅いのです。普段から、聞いてあげるというオーラを出していなければいけません。
 また、子どもたちが選んだものが保護者の思いと違っても、それを否定してはいけない。大人として必要と思えるアドバイスを冷静にしてあげることは大切ですが、押しつけるのではなく、役立つ情報をそっと置いてあげる感覚が大事です」

三浦綾子の文学を通じた人間教育
小説「塩狩峠」に登場する塩狩駅も訪れました。小説「塩狩峠」に登場する塩狩駅も訪れました。

 中3で訪れる北海道への修学旅行の事前学習として三浦綾子の小説「塩狩峠」を読み、映画「氷点」を鑑賞します。「塩狩峠」は、他者のために自分を犠牲にするという物語。これを通して「自分だったらどうするのか」と自らを省みる機会にもなります。旅行中には、三浦綾子記念文学館や塩狩峠を訪れ、また講演を通して三浦綾子の生き方を学び、自己理解を深めていきます。

(この記事は『私立中高進学通信2017年6月号』に掲載しました。)

進学通信2017年6月号
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