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私立中高進学通信

2017年4・5月合併号

アクティブラーニングで伸ばす新しい学力

東京都市大学等々力中学校

アクティブラーニング思考力協働力を養う

グローバルリーダー育成のために
生徒が予習をし、電子黒板を前にして先生役を務める授業も行われています。

生徒が予習をし、電子黒板を前にして先生役を務める授業も行われています。

「ジグソー法」を授業に導入
グループワークで課題を解く

 2015年から同校では「知識構成型ジグソー法(以下、ジグソー法)」を授業に導入。『ノブレス・オブリージュとグローバルリーダーの育成』の教育目標のもと、アクティブラーニングを展開しています。

「ジグソー法」は、東京大学のCoREF(大学発教育支援コンソーシアム推進機構)が独自に開発した協調学習法。グループをつくって理解を深め、問題解決能力を育みます。

 例えば、中1の歴史の授業では、生徒に「聖武天皇はなぜ、奈良の大仏を建立したか?」という課題を与えます。そしてクラスをA、B、Cの3グループに分けて資料を渡します。Aは聖武天皇時代の政治不安や災害、Bは仏教を利用した聖武天皇の政策、Cは行基や渡来人が民衆に果たした役割が記された資料です。

 その資料から何が読み取れるか、各グループで意見を交換しながら検証します。これが「エキスパート(専門家)活動」です。続いて、それぞれの資料の“エキスパート”となった生徒が集まって新たにグループをつくり、課題の答えを導き出していきます。これが「ジグソー活動」です。「ジグソー法」により、生徒は真剣に議論することで、問題の所在や解決への糸口が見つかることに気づきます。

アクティブラーニング型入試を今年2017年から実施
進路指導部主任/飯田公彦先生進路指導部主任/飯田公彦先生

 2017年2月、日本の私立中学で初のアクティブラーニング型入試が、同校で実施されました。「ジグソー法」を使う『思考力・協働力テスト』です。

「この入試では、社会が抱える諸問題の解決に必要となる協働力などを問います。授業と同じように受験生たちに課題を与え、3グループに分かれて『エキスパート活動』と『ジグソー活動』を行ってもらいます。1グループ3名です。初対面の受験生同士が議論し合うことになります。深く考える力があるか。協働して資料を読み解き、結果を導こうとする意欲と協調性があるか。教員たちが審査します。こうして話し合って導き出した答えを記述してもらい、グループワークの様子を合わせて点数化します。
『アクティブラーニング型入試』の説明会では、模擬試験も行いました。グループワークでコミュニケーション能力を発揮している受験生を目にした保護者の中には、『企業的な視点からも必要な力だ』とおっしゃる方も多くおられました。
 グループワークでは、違った意見を持つ生徒もいます。しかし、多様性を認めたうえで、自分の意見を述べられる資質や、肯定・否定の両面から考察できる力を育てたいと思っています。人間力にあふれ、リーダーとして活躍できる生徒にぜひ、チャレンジしてほしい入試です」(進路指導部主任/飯田公彦先生)

 教育目標の『ノブレス・オブリージュ』とは『自分の責務を社会に対してどう果たしていくべきかを、常に意識して行動できる人材』のこと。同校ではグローバル社会に貢献できる人材を未来に送り出そうとしています。

反転授業
予習とグループワークで主体的に学ぶ

 同校の先生たちは研修を受けて「ジグソー法」を学び、それぞれの授業に導入しています。一方、飯田公彦先生が中2の歴史の授業で毎回実践しているのが、「反転授業」を取り入れたディープ・アクティブラーニングの手法です。

「生徒は必ず予習をしてから授業に臨みます。まず、授業の最初に課題のプリントを渡します。例えば、近現代史なら『なぜ、ロシア、ドイツ、フランスの三国が日本に干渉したのか、各国の立場で考えなさい』という課題です。これに一人ひとりが答えを記述します」

 どれも予習の精度が高くないと歯が立たないハイレベルな課題です。なかには国公立大の2次試験の問題も入っています。

「次に私が15分ほど講義をします。この内容を真剣に聞いていれば、答えが導き出せるはずです。次に3人1組のグループになって課題について話し合い、その結果を記述してもらいます。そして私が模範解答を解説し、最後に『振り返りルーブリック』に予習や、主体的に授業、グループワークに取り組むことができたかなど、振り返りをします。5つの観点で自己評価し、次回に活かせるようにすることが目的です。
 この難しい課題はどうすれば解けるのか。生徒が考えながら授業を受けることで、主体的に勉強に取り組むようになります」

 本質的な理解も深まり、知識も定着していると飯田先生は語ります。

講義で使用するプリント。飯田先生のオリジナルです。グラフなどのデータや図式から歴史的な背景を読み取る力も養っていきます。講義で使用するプリント。飯田先生のオリジナルです。グラフなどのデータや図式から歴史的な背景を読み取る力も養っていきます。
課題のプリント。課題は3問~4問あります。余白の左に個人ワークでの答えを、右にグループワークでの答えを記述。1問につき400字ほど記述する課題もあります。課題のプリント。課題は3問~4問あります。余白の左に個人ワークでの答えを、右にグループワークでの答えを記述。1問につき400字ほど記述する課題もあります。
TQノート
「書くこと」で主体性を育む
『TQノート』。就職活動中、大学でも使い続けた『TQノート』を面接官に開いて見せ、内定を勝ち取った卒業生もいるそうです。『TQノート』。就職活動中、大学でも使い続けた『TQノート』を面接官に開いて見せ、内定を勝ち取った卒業生もいるそうです。

 ICTによる最先端教育を推進するとともに、同校では手で「書くこと」を重要視。そのため、アクティブラーニングの課題の多くは記述式で答えます。「書くこと」は、入学時、生徒全員に配られる『TQノート』からスタート。TQとは「時間管理」のことで、目標を達成するために計画を立て、そのスケジュールに沿って勉強するためのノートです。勉強時間などを細かく書き込んでいきます。この成果として時間の管理能力とともに主体的に学ぶ姿勢が養われ、一方で多くの生徒が難関大学に合格を果たしています。また、同校のほとんどの卒業生は、大学進学後も手帳に書き込む習慣を続けているそうです。

ICTの推進
高1全員にタブレットを。将来的には生徒全員に
電子黒板を使った英語の授業。動画ソフトを利用して発音の練習もします。電子黒板を使った英語の授業。動画ソフトを利用して発音の練習もします。

 同校は2015年からICTによる最先端教育を推進。電子黒板を全普通教室と特別教室、合わせて37教室に設置しました。各教科の先生が創意工夫を凝らして活用し、授業の質の向上を図っています。

「電子黒板なら写真や映像を大きく見せ、視覚に訴えることができます。古代の帝国が周辺諸国を支配していく様子なども動画を使ってわかりやすく伝えられます」(飯田先生)

 また、2017年春から高1全員がタブレットを持ちます。最終的には生徒全員が持つことになり、アクティブラーニングとICTを組み合わせた双方向の授業を展開する予定です。

「予習のための授業動画を制作し、タブレットで学べるようにすれば、予習の精度も向上します。さらにレベルの高い課題を出題できるようになるでしょう。講義も短縮できるぶん、個人ワークとグループワークに多くの時間をあてることができます」(飯田先生)

 また、個人ワークやグループワークの解答をタブレットに入れ、クイズ番組の正解のように電子黒板に発表。「反転授業」や「ジグソー法」で、各自の考え方を生徒全員で共有することもできます。

(この記事は『私立中高進学通信2017年4・5月合併号』に掲載しました。)

東京都市大学等々力中学校  

〒158-0082 東京都世田谷区等々力8-10-1
TEL:03-5962-0104

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