私立中高進学通信
2017年2・3月合併号
中1の始め方
京華女子中学校
『八ヶ岳イングリッシュキャンプ』で英語の経験値ギャップを解消

京華学園八ヶ岳寮で行われるイングリッシュキャンプ。
自然の中で体を動かして、開放的な気分も加わり会話に積極的になれます。
つまずきが出やすい教科こそ土台が大切
日本の小学校では現在、高学年を中心に外国語活動として英会話の初歩が教えられています。また、「将来英語を自由に話せるようになってほしい」と考える熱心な保護者が少なくないせいか、英会話スクールに通ったり、検定試験に挑戦する小学生も増え、中学入学時の英語力にバラつきがあります。
「それだけに、入学後、英語を本格的に学んだときにつまずきが出やすい教科でもあるのです」
と副校長の塩谷耕先生は指摘します。そこで同校では、英語経験の差がそのまま将来の学力の差にならないように、入学して間もない5月中旬に中1全員が参加する『八ヶ岳イングリッシュキャンプ』を行い、「英語を好きになる」姿勢から育てています。
生活に密着した言葉だから自ずと話したくなる

イングリッシュキャンプとは、英語に囲まれた生活をすることで、英会話に慣れ親しむ宿泊行事です。同校のイングリッシュキャンプはスポーツやゲーム、創作活動、クッキングなどのアクティビティが満載です。
キャンプには同校のネイティブの先生のほか、イングリッシュキャンプを専門とするネイティブの先生方も指導に加わります。生徒の言いたいことを簡単な単語やジェスチャーで言いかえてフォローしてくれるので、「シンプルな単語でも意外と伝わるんだ」という感覚を持つことができます。
「一度その経験を味わうと、英語を話すことが面白くなって、どんどん話したくなってきます」
と塩谷先生は話します。
最終日の3日目になると自分からネイティブの先生に声をかける姿が見られ、「聞く」「話す」技能がぐっと伸びていくそうです。修了証をもらうと同時に、前日に書いておいた「サンキューカード」をネイティブの先生方に手渡します。感謝の気持ちを「書いて」伝えることでイングリッシュキャンプは終了です。
同校には英語のネイティブの先生が3人在籍し、普段の授業でも少人数指導を実施しています。中1の目標は、まずは受け身ではなく自分からネイティブの先生に進んで話しかけられるようになること。イングリッシュキャンプを終えると、そうした生徒が増えてくることから、効果は確実に上がっているといいます。
その先の学びは大きく広がる
『八ヶ岳イングリッシュキャンプ』で味わった楽しさを「学ぶ意欲」へと転換させるには、ドリルや英語検定など達成感を味わえる学習が有効です。普段の授業ではタブレット端末を使って単語や英作文のドリルに効率よく取り組み、電子黒板を使って先生がていねいに解説します。
英語検定の対策講座は、放課後に学年の垣根を取り払って開かれています。中1は英検5級取得が必須ですが、2016年入学の中1生は、すでに全員が合格しており、準2級合格者も出ています。
また、『八ヶ岳イングリッシュキャンプ』は、生徒を「英語好き」にさせるだけではありません。さまざまな副次的な効果もあるのです。
一つは人前に出て話せるようになること。英語での発表やゲームなどを通して、気恥ずかしさや緊張に慣れるきっかけが生まれます。もう一つは仲間と協力する姿勢を学べることです。
そして、この時に蓄えた力を徐々に伸ばす行事が中1以降に設定されています。中2では、鴨川の農家に民泊して農業体験を行う「ファームビジット」、中3の修学旅行ではカナダ・ビクトリアでホームステイをします。国内から海外へ、日本人同士の交流から海外での交流へと、スモールステップで全員が着実に異文化コミュニケーションの力を伸ばしていけるのです。
さらに、よりレベルの高い英語力をめざす生徒のために、海外研修も実施しています。中2から高3までの希望者を対象とするオーストラリアホームステイは、年々、中2から参加する生徒が増えているとのことです。
学習意欲の基盤となる「楽しい」「好き」という気持ちを全員に持たせること。そして一人ひとりの学びたい意欲に応え、能力を最大限に伸ばす環境を整えることを大切にした中1での英語の学習導入。この取り組みはまさに建学の精神である『天下の英才を得て之を教育す(生徒一人ひとりの持つ才能・素質を社会で発揮できるよう、開花させること)』を体現しているといえるでしょう。


中1から手厚いプログラム将来はセブ島語学研修も

『八ヶ岳イングリッシュキャンプ』は同校のグローバル教育のなかで最もベーシックな位置づけにあり、中2以降に広がるたくさんの学びの土台になっています。現在、同校ではセブ島での語学研修、オンライン英会話授業の導入を検討中です。将来の大学進学や社会で必要とされる力として「聞く、話す、読む、書く」の4技能強化をするためです。
「この夏、私自身もセブ島語学研修を体験してきました。年齢も出身も母語も違う者同士でも、英語が話せればコミュニケーションできるのです。実際に体験してみて、より実践的な英語教育の重要性を痛感しています」
(副校長/塩谷 耕先生)
(この記事は『私立中高進学通信2017年2・3月合併号』に掲載しました。)
京華女子中学校
〒112-8613 東京都文京区白山5-13-5
TEL:03-3946-4434
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