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私立中高進学通信

2017年1月号

アクティブラーニングで伸ばす新しい学力

玉川学園(中)

学びの技」で思考力を育て将来につながる探究心を伸ばす

論文作成の基礎力を総合的に学ぶ
ポスターセッションは、ラファエロ「アテネの学堂」の原寸大陶板が印象的な高学年校舎のアトリウムで開かれます。

ポスターセッションは、ラファエロ「アテネの学堂」の原寸大陶板が印象的な高学年校舎のアトリウムで開かれます。

生涯学び続ける基礎となる思考力を育てる

 教育理念の一つとして『自学自律』を掲げる同校では、主体的に学ぶラーニングスキルの習得を目的に、探究型学習の『自由研究』と『学びの技』を行っています。『自由研究』は、多様な研究分野から興味・関心があるテーマを選び、担当教員と年間を通して研究に取り組みます。中学では教科学習を、高校ではより深い学習をベースに研究を行っています。

『学びの技』は、高校からの本格的な論文作成に向けて、9年生(中3)で実施するプログラムです。アクティブラーニングに最適な環境が整った『学園マルチメディアリソースセンター(MMRC)』を拠点に、週2時間、1年間かけて、研究テーマの設定からリサーチ、プレゼンテーション、論文作成まで、一通りのスキルを習得します。「マインドマップ」や「探究マップ」といったツールを使ってテーマの論点を整理する手法を学んだり、プレゼンテーションの集中的なトレーニングも行います。

論文作成に役立つ中間発表のフィードバック

 9年生(中3)の『学びの技』の中間発表となるポスターセッションが10月、同校アトリウムで開かれ、全国の教育関係者や保護者など150人ほどが集まりました。生徒たちは自分の発表ポスターの前で、プレゼンテーションを行います。聞き手との距離が近いため質疑応答も活発です。ときには予期せぬ指摘や反論を得ることもありますが、そのような経験によって、さらなる思考の整理や追加調査につながり、論文作成に磨きがかかります。

 8年生(中2)・10年生(高1)・11年生(高2)の生徒たちも発表を聞きに訪れ、「評価シート」に所感を書き込みます。このシートは後ほど発表者に渡され、参考意見として大いに役立ちます。同校では「聞く」態度についてもていねいに指導しているため、聞き手となる生徒たちにとっても、ポスターセッションは有意義な学びの場です。

「日本の刑事裁判で無罪になる可能性はあるのか」をテーマに発表した花村佳緒さんは、

「自分の考えを納得してもらえたときや、質問にちゃんと答えられたときがうれしいです。意見やアドバイスをもらって、いろいろな視点があることに気づきました」

 と話していました。

 9年生(中3)後期で取り組む論文作成は3000字を超える大作ですが、高学年国語科の後藤芳文先生によると、このような積み重ねがあるからこそ、どの生徒も無理なく書き上げることができるそうです。

「『学びの技』では、生涯にわたって学ぶ楽しさを身につけます。また、将来のキャリアデザインにもつながります」(後藤先生)

 同校で培った『学びの技』は、生徒たちの一生の宝物となることでしょう。

思考スキルが総合的に身につく『学びの技』
9年生(中3)
『学びの技』フローチャート
9年生(中3)『学びの技』フローチャート

 10年生(高1)のI.Mさんは昨年、「音痴は大人でも直るのか?」というテーマで『学びの技』に取り組みました。

「自分で歌うと音程が外れてしまうのが悩みでした。それで音痴の定義づけをして、音痴の種類や原因を調べ、それぞれに解決策を見つけて“音痴は直る”という結論を出しました」(I.Mさん)

 データはMMRCでオンラインデータベースにアクセスし、新聞記事などをリサーチ。先生からは、インターネット上で正しい情報を見分ける方法も教えてもらったそうです。また、膨大な情報をまとめるときには「マインドマップ」が役に立ったと言います。2人が1組になって発表し合う練習では、

「聞く側の態度について指導を受けたのも勉強になりました」と振り返ります。

「ポスターセッションでは、限られた枚数にポイントを絞ってまとめるのが難しかった」

 というI.Mさん。書けなかったことは口頭で説明するようにしたものの、評価シートで厳しい指摘を受けたこともあったそうです。

「正直ショックでしたが、その後、内容を改善し、論文作成に役立てられたので良かったです」。

「物事を多方面から見られるようになり、考えを深められました」と話してくれました。

原稿を見なくても堂々とプレゼンテーション。聞き手との距離の近さが、活発な意見交換をうながします。原稿を見なくても堂々とプレゼンテーション。聞き手との距離の近さが、活発な意見交換をうながします。
10年生(高1)の自由研究では「フェアトレードは本当に社会に役立つのか」というテーマで研究を進めているI.Mさん。10年生(高1)の自由研究では「フェアトレードは本当に社会に役立つのか」というテーマで研究を進めているI.Mさん。
マインドマップとは?

英国の教育者トニー・ブザンが開発した思考技術。多くの情報を整理し、わかりやすく思考の視覚化を行うものです。生徒たちは先生方の指導のもと、中央に描いたテーマから、ブランチ(枝)を伸ばし、キーワードを書き入れていくことで、情報同士のつながりや、どういう情報が足りないのかなど、情報整理に役立てています。

探究マップとは?

マインドマップで得られた情報から論文をまとめていくため、結論と根拠を整理して文章を書き入れていくオリジナルのシートです。問題の背景や、予想される反論などの欄もあり、完成すれば論文のアウトラインができあがります。

ポスターセッションの構成例
  1. 研究動機・問い・結論
  2. 基本知識
  3. 問題の背景
  4. 異なる立場
  5. 根拠1
  6. 根拠2
  7. 根拠3
  8. 根拠4
  9. まとめ
  10. 参考文献
ココも注目!
発展的な学習に参加する意欲あふれる生徒が増加
高学年国語科/後藤芳文先生

「9年生(中3)で取り組む『 学びの技』の学習では、自ら研究テーマを見つけて情報を収集・選別、整理をし、プレゼンテーションや論文にまとめるスキルを養います。このようなスキルは定着に時間がかかるので、9年生(中3)以外の学年でも自由研究として段階的に学んでいきます。思考力を育むことで、各教科の学びや、さまざまな活動につながっていくことが狙いです。
 わが校はスーパーサイエンスハイスクール(SSH)やスーパーグローバルハイスクール(SGH)の指定も受けていますが、これらの発展的な学習に参加する意欲ある生徒が多いのも、『学びの技』の効果だと感じています」
(高学年国語科/後藤芳文先生)

(この記事は『私立中高進学通信2017年1月号』に掲載しました。)

玉川学園(中)  

〒194-8610 東京都町田市玉川学園6-1-1
TEL:042-739-8931

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