私立中高進学通信
2017年特別号
座談会
鷗友学園女子中学校
鷗友学園の若手教員が語る 座談会 「がんばれ受験生!」
Vol.1「鷗友学園ってどんな学校だろう」
一般生と帰国生の垣根がなく、個性も豊かな者同士が体験をシェアし合いながら成長できる多様性が魅力の鷗友学園。『慈愛 と誠実 と創造』の校訓のもと、自己肯定感を高めながら成長する鷗友生たちの飾らない日常を、若手の先生方が語り合いました。

鷗友生たちの日常の様子を語り合いました。
いろいろな小学校から集まってきているのだから一人ひとりが主役になれる授業で応えています
――樋口麻衣子先生


司会・大内まどか先生
本日はいつも中学生たちと身近に接している4教科(国語・数学・理科・社会)の先生方にお集まりいただきました。中学受験を考えている小学生の皆さんに向けて、鷗友学園の魅力を発信していきたいと思います。それではまず、鷗友学園の授業の特徴からお聞きしていきます。
樋口麻衣子先生
国語では一方通行的な講義形式の授業ではなく、生徒の方からもどんどん意見が出てくるような楽しい双方向型の授業を展開しています。せっかくいろいろな地域の小学校から集まっているのですから、一人ひとりに主役として活躍できる活気のある授業を心がけています。
石谷日香里先生
数学も国語と同じように“言葉のやり取り”を大事にしています。「この問題で何かわかることはありますか?」といった問いかけに始まり、出てきた答えに対して今度は、「なるほど。そういう考え方もありますね」と、キャッチボールするような感覚です。初めから正解ありきではなく、自由な発想から生まれる“気づき”も大切にしています。
大内先生
とても興味深いですね。社会科はいかがですか?
吉田裕幸先生
ただ授業をするだけではなく、「なぜだろう?」「どうしてだろう?」というような“考えるきっかけ”を大事にしています。例えば、中1の4月には巡検といって、学校周辺の地図を持って外に出かける授業がありますが、地図にあるものが目の前にあるということを確認するだけでも楽しい発見があります。頭の中のことが実際のものと結びつくことによって、生涯忘れることのない知識となるのです。
飯村 諭先生
理科は全体的に実験が多く、中1では生物週3時間のうち、2時間が実験の時間です。数多くの実験結果から、「何でそうなるのか」、「その理由はきっとこうではないか」と、活発な意見交換をしたり、教え合ったりすることが授業中にできるのはとても良いことだと思っています。「理科で実験をする」というより、「実験をするのが理科」という感じで、一人ひとりが主体的に取り組んでいます。
勉強にも部活動にもまじめな生徒がいる鷗友学園には、いろいろな分野で“一目置かれている子”がいます
――吉田裕幸先生

大内先生
先生方から見て、鷗友学園の生徒ってどんな雰囲気がありますか?
樋口先生
いろいろなことに興味を持っている生徒が多いですね。物事を自分なりに掘り下げて考えているとか、「自分はこう考えたけど、先生はどうですか?」と聞いてきたり(笑)。学びに対して受け身でなく、どんどん自分から積極的に学んでいこうという姿勢があるなと強く感じています。
吉田先生
確かに、学びに対してもまじめですし、部活動や学校行事についてもまじめですから、樋口先生のおっしゃっていることはよくわかります。いろいろな分野で“一目置かれている子”がけっこういるので、お互いの良さを認め合って楽しんでいるところが鷗友生の良さではないかと思います。多様性は本校の魅力を表すキーワードです。
大内先生
けっこうマニアックな生徒って必ずいますね。それがまた楽しいのです(笑)。
吉田先生
そうですね。つい先日も生徒と話をしていたら、自分が好きな作家を友だちも好きだということがわかって、とても嬉しかったと満面の笑みで語る生徒がいました。同じ本を通じて話ができ、お互いに知らなかった本を紹介し合えることが、本当に楽しそうでした。
飯村先生
読書好きな生徒は本当に多いですね。担任をしている中1のクラスでもこの間、机の上に太宰治と村上春樹の本がポンと置いてありました。「中1でも太宰を読むのか」と読んでいる本のレベルの高さに感心しました。
樋口先生
中1の国語の授業では、初めに図書館の使い方を学ぶ「図書館オリエンテーション」があるのですが、ゲーテの『ファウスト第2巻』を借りる生徒がいて驚きました。1巻をもう読んだのかと聞くと、「読みました」と。その子は本当に本の虫で、読書ノートの記録欄を埋めるのが既に追いつかなくなっているほどです。やはりそういう生徒は表現力も豊かで、宿題などで書いてくる文章がとても面白いですね。
大内先生
数学の先生から見て、鷗友生はどのように映っていますか?
石谷先生
生徒一人ひとりが独自の視点を持っていたりするので、こちらが予想していなかった解き方を考えついたりとか、生徒たちから得られるものが非常に多いですね。クラス全員で「そういう考え方もあるよね」って、そんな発見を共有することで授業がさらに楽しくなります。一目置かれる生徒が多いということは、自由な意見や感想を堂々と発信することができることの裏返しでもあると思っています。
テストのために勉強をするというより科学のプロセスを楽しむための実験が満載です
――飯村 諭先生

大内先生
石谷先生の方から今、「楽しくなる授業」の話が出ましたが、先生方からおすすめの“楽しい授業”を紹介してください。
吉田先生
社会科では、中3で『現代社会』という授業があります。夏休み中に取材をしたことをレポートにまとめ、その後発表を行っています。取材先は多岐にわたり、中には、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者の団体に話を聞きに行き、ALSの認知度が社会ではまだまだ薄いことを学園祭で発表した生徒もいます。取材に協力してくださった患者の方も聞きに来てくださり、それがまた生徒の学びへのモチベーションとなったようです。
飯村先生
すばらしいですね。いわゆる一過性の「調べ学習」じゃなく、学びそのものが未来につながっていくことを感じます。
大内先生
理科はどうですか?
飯村先生
小学生の皆さんが「物理」と聞くと、なんか難しそうで、人によっては“ちょっと地味”な科目に映るかもしれません。ところが、鷗友学園の物理はとても賑やかで、特に「実験中のやり取りが楽しい」と話す生徒が多いです。開始からものの10分足らずで正解に迫っているグループがある反面、完全に煮詰まってしまって「ぜんぜんわからない」と頭を抱えるグループがあったり(笑)。それでいいのです。テストのための勉強をするより、科学のプロセスの一端を垣間見ることができる、楽しい時間がそこにあるからです。
樋口先生
私は以前、中1の授業で『辞書を使うことに慣れる授業』というものをやりました。調べ物の基本は国語辞典で、例えば、『上梓(じょうし)』とか『月下氷人(げっかひょうじん)』とか、生徒たちが知らないような単語を出して、その意味を調べてもらうのです。今はスマホを使ってなんでも手軽に調べられますが、やはり実際に紙の辞書を手に取り、読み方から模索してその意味を調べていくことに意味があります。生徒たちは自然と時間で競い合うようになり、ゲーム感覚で楽しむことができるので、すぐに夢中になっていました。
石谷先生
中1の数学には“トランプゲーム”があります。
大内先生
トランプですか(笑)?
石谷先生
そうです。正しくは『正負の数の加減』という学習法で、5〜6人で1組になって、1枚ずつ、ババ抜きの要領でトランプを引いていくのです。手にしたトランプが黒の絵柄なら+(プラス)、赤の絵柄なら-(マイナス)で、次々と数を足して得点を出し、得点の多さを競い合います。
飯村先生
盛り上がりそうですね。
石谷先生
はい。最高に盛り上がります(笑)。
放課後の掃除の時間で聞こえてくる何気ない生徒同士の会話にも耳を傾けています
――石谷日香里先生

大内先生
中高時代は思春期を迎える時期でもあり、受験生の保護者にとって心配がつきません。先生方が生徒と関わるときに、なにか心がけていることはありますか?
飯村先生
私は男性教員ですので、ちょっとした注意の仕方でも“怒った感じにならないよう”心がけています。たいがいは生徒たちの方が強いので問題はありませんが(笑)、こちらからの何気ない一言にも注意しています。
石谷先生
担任としては、放課後の掃除の時間を大切なコミュニケーションの場にしています。生徒と一緒に掃除をしていると、なんとなく耳に入ってくる生徒同士の何気ない会話が気になるもので、実はそういったところから、生徒たちの様子がわかるのです。時には「ゆっくり話を聞いてほしい」という気配のようなものを感じることもあります。
樋口先生
確かに、掃除の時間って“人”が見えますね。「先生、聞いて、聞いて!」って、迫ってくる生徒もいます(笑)。
吉田先生
女の子ってすごく周りのことを気にしているんだと、そんなふうに気づくことがよくあります。一方的に「こうしなさい」「ああしなさい」ではなく、ある程度は生徒に任せて、ここぞというときには、「失敗しても大丈夫だよ」と、背中を押してあげることが大事なのではないかと思うようになりました。
大内先生
なるほど。鷗友学園についての良いお話をありがとうございました。
(この記事は2017年11月に掲載しました。)
鷗友学園女子中学校
〒156-8551 東京都世田谷区宮坂1-5-30
TEL:03-3420-0136
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