私立中高進学通信
2016年11月号
Teacher's Lounge 先生たちの座談会
日本大学豊山中学校
将来に必要な人間力を育む6年間
先生たちの全力のサポートで勉強にも部活にも思い切り集中する


――貴校は男子校として長い歴史をお持ちですが、思春期の男子生徒に対してどのようなサポートをされているのでしょうか。
田中先生
中学の先生方に対しては、6年後、10年後、12年後を見据えての指導というのを意識してもらっています。小学校から上がってきたばかりの生徒たちに最初から無理難題は言えないので、まずは生活面での指導が大切ですね。男の子はやはりお母さん方に頼ってきていることが多いので、そこから精神的にも経済的にも自立していく基礎を作るということを意識します。
例えば、中1の7月に宿泊研修があるのですが、忘れ物をしてもいいので、必ず自分で用意させてくださいとお願いしています。普段の授業でもやはり男の子は忘れ物が多いので、リストを作ったりファイリングを習慣づけたりして、少しずつ自分で気づけるようにフォローをしています。

広報主任。書道部顧問。「教員全体に“みんなで育てている”という意識があります」
田中先生
男子校のいいところは、生徒を思い切り叱って、思い切り誉めることができるところです。思春期の男の子はプライドが高いので、異性の前で叱ると屈折してしまうことがあります。その点、男子ばかりだと生徒も素直に受け止めてくれます。これは男子校の大きなメリットの一つだと思います。
屋嘉比先生
男の子同士なので激しくぶつかり合うこともありますが、その中で少しずつ人を思いやる気持ちを育てています。それが中学の時期だと思います。
溝下先生
生きる力や人間力を教員が一丸となって育てていると、常日頃から実感しています。中高一緒の部活動では、上級生が下級生の面倒をよく見ます。それに加えて、教員と生徒もとてもいい関係を築けていると思います。
西川先生
教員室の廊下には机とイスが設置されています。本校は、生徒たちが先生のところへ頻繁に訪ねてくるからです。放課後には必ず誰かがそこで補習を受けたりしています。ほかの学年の先生も「がんばっているな!」と、声をかけています。
田中先生
学校全体で生徒を育てているという意識は強いですよね。
――先ほど忘れ物の話がありましたが、男子生徒の集中力を伸ばすポイントはありますか?

数学担当、中1担任。放送部、数学部顧問。中1〜高3まで全学年を経験しました。「日々生徒の成長を味わって学校生活を送っています」
溝下先生
集中力を高める意味で、毎朝10分間の『MAP※』テストを実施しています。テストのために遅刻できないと思うことで生活習慣の改善にもなりますし、10分間集中するという体験は重要だと思います。
田中先生
学校生活でも部活動でも、何か自信を持たせてあげることが大事です。「オレはこれができる」と思うことが1つでもあれば、男の子は大きく伸びます。部活に集中できる子は、受験のときにも結果を出しますね。
溝下先生
目標を持つことも必要だと思います。そういった意味で、本校は目標を持ちやすいクラス編成になっていると思います。付属である日本大学以外の大学を受験したい生徒には、特進クラスが設定されていますし、日本大学への進学を考えている生徒には、推薦権を得るという目標があります。周囲が目標に向けて勉強を始めると、のんびりした生徒もそれに触発されます。
田中先生
柔軟に進路が選べるのも本校の特徴です。早慶上理・国公立に、かなりの人数が進学していますし、日本大学への推薦権を持ちながら、国立大を受験することもできるようになりました。だからといって、進学実績のために生徒たちを煽る気持ちはありません。それぞれが自分の目標の進路に進んでほしいと思っています。
西川先生
中3での意識づけというのも大事ですよね。高校入試を経て入ってくる高入生との意識の差を埋めるためのサポートは中3では必須です。

英語担当、中2学年主任。中高体操部、中学バスケット部顧問。「失敗することも含め、いろいろ経験していく生徒たちを長い目で見て育てたいです」
屋嘉比先生
サポートという意味では、中2の時期にフォローが必要な生徒にはこちらから声をかけて3泊4日の勉強合宿に連れていきます。30人くらい参加して、朝6時に起きて夜も11時くらいまで勉強するのです。その時期に成績が心配な生徒は生活習慣ができていないことが多いのですが、その3泊4日で自然に時間を守れるようになります。
西川先生
中3の夏休みには、『チャレンジ補習』という少人数の補習があります。補習を進めるなかで、「この教科は得意」という生徒が、ほかの生徒に教え始めます。そうすることで自信がついて、「もっと残って勉強していいですか?」と言ってくる生徒もいます。
田中先生
成績上位者へのフォローでいえば、本校を卒業した大学生が教えるチューター制度があります。これは自由に参加できます。勉強だけでなく、推薦入学へのアドバイスなども聞ける貴重な時間です。
――先生方が考える、貴校ならではの良さとはどんなところでしょうか。
溝下先生
本校の校訓は『強く 正しく 大らかに』なのですが、「学校の校訓は?」と聞くと、どの生徒もすぐに答えられるのです。彼ら自身が校訓の持つ意味を日々、実感しています。個性が伸ばせる、自分を表現できる場所だと感じてくれているからだと思います。ですから、生徒に対してはいつも「思いきりぶつかってこい!」と思っています。

広報副主任、高1担任。生物部顧問。
「中高は難しい時期でもありますが、女性の教員だからこそ、気付ける視点で指導していきたいです」
西川先生
今年度広報活動を始めてうれしかったのは、受験生の保護者の方に「先生方が明るいですね」と言われたことです。教員室も笑顔や笑い声であふれていて、その先生方の明るさが生徒にも伝わっているのでしょう。
屋嘉比先生
生徒を見ていると、本当に一日一日が濃密なのだろうなと思います。いろいろな個性の生徒がいて、互いに自分がやりたいことを追いかけています。進学先に日本大学が見えて安心できるという面もありますし、友達づくりも自然にできているのかなと思います。
西川先生
部活にしても勉強にしても、とにかく先生がサポートしてくれる環境になっていますね。
田中先生
卒業生が必ず言うことが「豊山でよかった」ということです。中高6学年で2200人と大きな男子校ですが、保護者の皆さんも協力的で卒業するときにはみんな応援団になってくれています。それだけ教員が生徒に手をかけているのかもしれませんが、教員側の意識としては当たり前のことをやっているだけなのです。生徒のためになることを当たり前にできるところが、本校の大きな魅力かもしれませんね。
※MAPとは? Morning Assurance Programの略称。5教科を曜日ごとに分けて毎朝実施。出題範囲はあらかじめ告知され、振り返り学習と集中力促進を目的としている。
(この記事は『私立中高進学通信2016年11月号』に掲載しました。)
日本大学豊山中学校
〒112-0012 東京都文京区大塚5-40-10
TEL:03-3943-2161
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