私立中高進学通信
2016年11月号
アクティブラーニングで伸ばす新しい学力
光塩女子学院中等科
大学連携で伸ばす発想力と伝える力
「糖アルコール」で新商品をプロデュース

意見を出し合う場面ではさまざまな発想と考え方があることを認識し、
ベストな答えを探し、アピールの仕方を考えます。
アクティブラーニングを先取りする連携企画
未来を担う生徒たちの思考力や発信力を養うために、同校は東京農工大学と連携した希望制の『未来を創るワークショップ』を毎年、夏休みに開いています。
今年で6年目となるこの試みは、能動的に意見を出し合い、企画を立て、互いに磨き合い、「正解のない答え」を探す活動で、高大連携の活動であると同時にアクティブラーニングの要素がたっぷりつまっています。そして研究者や企業人、大学院生などと触れ合い、社会とのつながりを感じられる場です。
今回は食品や化粧品、医薬品などに使われる “糖アルコール”を使用した新商品の開発案を短時間で考案し、プレゼンテーションするという内容です。7月23日、高1~高2の20名の生徒たちが、丸一日かけて取り組みました。
メーカーの社員による講義で糖アルコールの性質について学んだのち、4~5人のグループに分かれて新商品のアイデアを出していきます。糖アルコールは熱や酸、アルカリに強く、微生物の栄養源になりにくいなどの特性を持ち、化粧品や食品などに多用されています。このワークショップでは既存の製品の真似ではなく、まったく新しい商品をゼロから考えなくてはなりません。
生徒たちは付箋にアイデアを書き出し、ホワイトボードに糖アルコールのメリットやデメリット、コストなどを書き出して話し合います。午前中に1度、意見をまとめてショートプレゼンテーションを行い、そこで出た指摘を元に企画を練り上げ、午後の最終プレゼンテーションに臨みました。
最適解を導き出す力がつく
「煮ものに味をしみこみやすくする調味料」「肌に優しい包帯」「飲みやすい胃カメラ」「長もちする理科実験器具」など、各班の新商品アイデアはどれも斬新なものばかり。午前に講義をした糖アルコールのメーカーの社員は、
「プロのわれわれより、創造力や発想力があると実感しました。短時間でここまでできたのはすごい」
と感心しきりです。実用化できそうなアイデアもあったそうです。
こうした活動でアイデアを形にするために話し合い、協調しながら、頭脳を駆使して考え抜く力は、まさに今、社会に出てから求められる力です。この日のワークショップで生徒たちが見せたはつらつとしたエネルギー、そして「よりよい答え」を求めていく姿は、あと数年後、社会で力を発揮する彼女たちの前途をイメージさせるものでした。
知識・伝える力・スピード感を総動員 アイデアを形にするぞ!
The idea to from 001
誰のために?どう作る?商品化の到達点までしっかり考える

「こんなものがあったら便利そう」「困っている人に役立つものを作りたい」――。
さまざまな動機から生まれたアイデアをグループで検討し、糖アルコールを使った新商品を企画していきます。1グループに2人づつ配された東京農工大学の大学院生がファシリテーターとして話し合いの方法をアドバイスしてくれます。新しい商品は誰が使うのか、需要はどこにあるのか、作ったり広めたりする方法は? 利益とコストの見込み、競合するものがないかなど、さまざまな視点を投げかけて企画をリアリティのあるものにしていきます。ホワイトボードの前で話し合いに集中し、解決策を見つけて喜びの声を上げるグループなど、会場は熱気に包まれていました。
The idea to from 002
伝える力+スピード感も大事
「あと10分で模造紙にまとめてください」「プレゼンテーションは各グループ2分間でお願いします」。司会の大学院生が時間管理をしていました。限られた時間の中で的を外さずにプレゼンテーションする力もここで身につきます。大学さながらのスピードで進む中、生徒たちは真剣そのもの。役割を割り振って短くリハーサルをしてから本番に臨んでいました。
最終プレゼンテーションで高い評価を得たのは、糖アルコールの成分をふくませた包帯を考えたチームでした。保湿性を高めて擦れるのを防ぎ、薬の成分を加えればガーゼが不要になるなど、従来の包帯にない付加価値を提案できました。「自分の意見をぶつけ合って考えるのが楽しかったです」「学年の違う人と話せてよかった」とメンバーたち。


ココも注目!高大連携は高度な教育環境を知るチャンス
ワークショップが開かれた東京農工大学では、学生が研究成果やアイデアを実現する力を持てるように『イノベーション推進機構』を設置し、企業と協働して多彩な教育プログラムを展開しています。高校生向けのワークショップはその一環で、この日も大学の先生方や企業の専門家、博士課程の大学院生など15名以上がサポートしました。
大学院生はファシリテーターとして議論の矛盾点を指摘したり、次の作業を促したりと重要な役割を果たしていました。研究者はわかりやすい言葉で内容を人に伝える必要があり、その意味で高校生との交流は大学院生の学びにもなるそうです。昼休みには一緒にお弁当を食べながらおしゃべりも楽しみました。生徒にとってロールモデルとなる人物との出会いも高大連携プログラムならではの貴重なチャンスです。
(この記事は『私立中高進学通信2016年11月号』に掲載しました。)
光塩女子学院中等科
〒166-0003 東京都杉並区高円寺南2-33-28
TEL:03-3315-1911
進学通信掲載情報

PICK UP!!
紹介する学校
- 東京六大学野球応援 卒業生登場でさらに高まる一体感そして母校愛!明治大学付属中野八王子中学校
- 語学力も人間力も大きく成長する約2週間のNZ語学研修東京農業大学第三高等学校附属中学校
- 人間性を育み、絆を強くするフレッシュな学校行事狭山ヶ丘高等学校付属中学校
- Move onプロジェクト グローバル化する世界で社会貢献できる女性を育成十文字中学校
- 光輪祭 全員が有為な存在となり特技や才能を出しきる淑徳中学校
- グローバル教育 二校間交流や長期留学によりグローバルリーダーを育成東京都市大学等々力中学校
- 【吹奏楽部】他者の気持ちに寄り添う心のアンサンブルをめざして東京純心女子中学校
- 【吹奏楽部】音楽を愛する仲間たちが音楽の魅力を発信高輪中学校
- 【演劇部/チアリーディング部】豊かな人間性を育む『演技』への取り組み女子聖学院中学校
- 【バスケットボール部/児童文化部】「知・徳・体」を身につけて未来を確立していく部活動藤村女子中学校
- 【美術部/高校ハンドボール部】誇りある活動が生み出す志高い目標明星中学校
- 【女子ラグビー部】勉強も部活動も“勤勉・努力”一緒にがんばる帝京仲間帝京大学系属帝京中学校
- 先輩から刺激を受けて留学が当たり前のことに品川女子学院中等部
- 「実感、地球の手触り!」特別選抜でリーダーを育成佼成学園中学校
- グローバル教育を加速新・理系プロジェクト実践女子学園中学校
- 海外への興味を刺激する充実の語学研修プログラム学習院中等科
- 外国人教員との学校生活で日常的に英語に親しむ普連土学園中学校
- 『世界に飛翔する力』で幅の広い選択肢を実現文教大学付属中学校
- 実践を積み重ね鍛えられ伸びる英語力横浜翠陵中学校
- 実現 社会に役立つ人となるために自らの進むべき『路』を探る森村学園中等部
- iPad Pro×ペンシル×クラウド 感性を刺激して未来を変える瀧野川女子学園中学校
- 国語の4技能“読む・書く・聞く・話す”を磨く『プロジェクトR』浦和実業学園中学校
- 自ら進んで勉強できる仕掛けを「自分の頭で考える生徒」を育てる芝浦工業大学柏中学校
- 大学連携で伸ばす発想力と伝える力光塩女子学院中等科
- 生徒に寄り添い 次代を担う実力と志を持った自立した女性を育成する品川翔英中学校
- 学外にも活躍の場を広げ 21世紀を生き抜く調整力を育む関東学院中学校
- 理科 実験重視の理科教育により論理的に調べ、考察する力を伸ばす城北中学校
- 「美術のひろば」でアートの世界に触れる女子美術大学付属中学校
- SGHで国際機関へのキャリア選択を推進玉川学園(中)
- グローバル社会に貢献する人材の育成安田学園中学校
- 時代に即した女子教育を進めてきた同校 国際社会で活躍できる力を育成神田女学園中学校
- 1月と2月に『特待生選抜入試』を実施大宮開成中学校
- 将来に必要な人間力を育む6年間 先生たちの全力のサポートで勉強にも部活にも思い切り集中する日本大学豊山中学校
- 行事や授業などさまざまな体験を通して個性を育み、『天分』を伸ばす城西大学附属城西中学校
- 少人数制で全員の能力を引き上げる横浜創英中学校
- めざすべきゴールに向かって『自律』を育むことが学校生活の第一歩文化学園大学杉並中学校
- 中高6年間で最も大切なスタートの1年 自発性を養い真のグローバルな人材に二松学舎大学附属柏中学校
- 明治大学との太いパイプを生かして高校在学中に公認会計士試験の勉強をスタート明治大学付属明治中学校
- きめ細かな心配りのできる親しみやすい女性警察官として活躍国士舘中学校


