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私立中高進学通信

2016年10月号

校長が語る 思春期の伸ばし方

浦和明の星女子中学校

飛躍めいた理解をする瞬間がある
思春期、自由について考えてほしい

毎年、入学式後に、オリエンテーション合宿で島村校長先生の話を聴き、明の星の精神を分かちあいます。

毎年、入学式後に、オリエンテーション合宿で島村校長先生の話を聴き、明の星の精神を分かちあいます。

いつもと違う理解の仕方をする瞬間がある
島村 新(しまむら・しん)1970年、浦和明の星女子高等学校に社会科教諭として着任。以来『明の星教育』に魅せられ、現在にいたる。2000年に教頭に就任。2003年の中学校開校以後、2003年に副校長、2012年に浦和明の星女子中学・高等学校の7代目校長になる。島村 新(しまむら・しん)
校長先生

1970年、浦和明の星女子高等学校に社会科教諭として着任。以来『明の星教育』に魅せられ、現在にいたる。2000年に教頭に就任。2003年の中学校開校以後、2003年に副校長、2012年に浦和明の星女子中学・高等学校の7代目校長になる。

 イエス・キリストの教えに基づく『せいじょう』。カトリックミッションスクールである同校の校訓です。その中のひとつ『浄』は『ほんとうの自由を生きること』を意味します。“ほんとうの自由”とは「主体的に行動できる自由」です。

「小さい頃は、毎日少しずつ成長していても、本人はその成長をあまり意識しません。しかし、高校に入学したばかりの思春期には、いつもとは違う理解の仕方をする瞬間があります。『なるほど、そういうことなんだ!』『そうか、意味がよくわかった!』というような飛躍めいたことを感じる瞬間です。
 そこで、私は今年4月の『オリエンテーション合宿』で高校1年生に自由について話し合ってもらいました」

 合宿は、学校を離れて伊豆の天城で行われます。この春、高校生になった生徒たちに飛躍めいたことを感じてほしい。そんな願いを込めて島村先生は語りかけたといいます。

自分で未来を決定しつくりあげていく自由

「新聞を読むと、中高生が起こした事件の記事が時々目に入ります。私はこの子たちが両親から“ほんとうの自由”を与えられていなかったのではないかと思っています。
 両親の中には子どもに対して『こんなこともできて、こんなことも体験して、こんなふうに育ってほしい』という計画を立てている人たちもいます。こうした両親の理想通りに生きようとして行き詰まり、子どもたちは爆発してしまったのではないでしょうか。
 子どもは小さい頃は素直に親の言葉に従います。しかし、思春期を迎えて『未来は自分で切り開いていくものなんだ』と気づく子どもたちもいるのです。それがわかると、良かれと思ってあれこれやってきた両親に反抗する子どももいます。暴力にまで発展してしまうのは、両親が邪魔だと思い込んでしまうのでしょう」

 人間には自分で自分に関するあらゆることを決めていく自由があると同校ではいいます。自分で未来を決定し、つくりあげていく自由です。たとえば、イスは誰かが描いた設計図通りに造られた結果として存在します。「そういう意味ではイスに自由はありません」と島村先生は笑います。

「私は『自由』には『束縛から逃れる自由』と『責任を伴う自由』の二段階があると考えています。後者が本校でいう“ほんとうの自由”つまり『主体的に行動できる自由』です。これは『意志』とも言い換えることができます。

 思想の歴史をたどると、人間の特徴のひとつが自由であると考えられたのは19世紀になってからです。

 アリストテレスの時代には、知的であることだとされていました。今日でも、それは変わりません。ほかに人間の特徴には『優しさ』があげられます」

 島村先生は『オリエンテーション合宿』で高校1年生たちに「人間とはどういうものか」と問いかけました。そして、人間だけが「知・情・意」を持っていることを教えたといいます。「知」は「知性」、「情」は「優しさ」、「意」は「意志」です。

エアロビクス部と水泳部。

束縛から逃れようとする自由も成長には必要
中高生に考えてほしい自由には
  • ①と②の二段階がある
  • ①束縛から逃れようとする自由
  • ②主体的に行動する自由
  • ②の自由には、責任や選択を伴う

『オリエンテーション合宿報告集』には生徒のこんな声が掲載されていました。

「“自分のしたいようにする”ことはあくまでも “させられる”ことへの反発であって、自分の意志ではないのではないでしょうか。ということは、私の今までの人生の大半が自分の意志ではなかったことに気付かされました。しかし私は “させられる”ことも人生に必要だと思います。“させられる”ことはあくまできっかけであり、それ以後は自分の意志でやるということが人生を豊かにしていると思うのです」

「思春期は反抗期でもあり、子どもは親や学校という束縛から逃れて、自由に生きようとするものです。『勝手気ままな自由』といえます。しかし、こうした行為も思春期の自然な歩みだと思います。『主体的に行動できる自由』が『ほんとうの自由』であることを知るためのプロセスなのです。やりたいだけ自由にやったとしても、15歳くらいになって『私には“ほんとうの自由”があるんだ』と気づけば良いのです。お母さん方にお願いしたいのは、どちらの自由も否定しないでほしいということです」

 しかし主体的に行動できる自由には、責任や選択が伴うものだと島村先生はいいます。

「進路でいえば、学部や学科の選択や就職がそうです。子どもはやがて責任を負うことや選択を迫られることの厳しさも知るでしょう。こうした厳しさを何度も乗り越えて “ほんとうの自由”がますます広がっていくのだと考えています。
“ほんとうの自由”には大きな価値があります。思春期に自由とはどういうことかを子どもに考えさせ、将来に向けて主体的に生きられるように育むことが大切です」

一人ひとりが違いを認め合い心をひとつにして成長していく
卓球部の練習風景。部活動を通して、友だちみんなと仲良くすることも明の星の精神です。卓球部の練習風景。部活動を通して、友だちみんなと仲良くすることも明の星の精神です。

「校訓の『正・浄・和』の『正』は“ほんとうの自分になる”ことであり、自分の“使命を生きる”こと。『和』は“ほんとうの平和”を生きることです。違いを乗り越えて「みんな」を生きることでもあります。ですから、本校では『一人』も『みんな』も大切にします。これは合唱と同じです。一人ひとりの違う声が合わさって、ひとつの曲が完成するからです。部活動でも一人ひとりの生徒が違いを認め合い、心を一つにして練習に励んでいます」(島村新先生)

(この記事は『私立中高進学通信2016年10月号』に掲載しました。)

浦和明の星女子中学校  

〒336-0926 埼玉県さいたま市緑区東浦和6-4-19
TEL:048-873-1160

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