私立中高進学通信
2016年9月号
生徒の未来対応型学校へバージョンアップ
横浜翠陵中学校
キーワードは”英語力×人間力”
中高6カ年一貫『グローバルチャレンジクラス』

調べた情報をカードにまとめてプレゼンテーションをする『翠陵グローバルプロジェクト』の授業。
グループで相談しながら真剣に議論を進めていました。
横浜国際女学院翠陵高等学校として創立され、2011年に共学となった同校。2016年度からは、新たに中高6カ年一貫の『グローバルチャレンジクラス』がスタートしました。これまで同校では、中学入学の生徒は、高校進学後は高校から入学する生徒と共に学んでいました。2016年度以降の中学入学生からは、『グローバルチャレンジクラス』として独自のカリキュラムで6年間を通じた一貫教育を受けることになります。同校のベースにある英語教育に加えて、コミュニケーション能力や積極性、プレゼンテーション能力などを徹底して養成し、国際社会で活躍できる人材の育成をめざします。
最も特徴的なのは『翠陵グローバルプロジェクト』(SGP)と呼ばれるプログラムです。『グローバルチャレンジクラス』の生徒たちは、総合学習の時間を使って、毎週1時間取り組みます。国際的なトピックに関してグループワークやプレゼンテーションの訓練を受け、最終的には中3で全員が英語と日本語でプレゼンテーションをする予定です。
同クラスの1期生となる2016年度入学の中1生に与えられたテーマは、「どんなものがあれば世界をハッピーにできるのか」。3年間をかけて、この課題について調べ、まとめあげ、発表までに到ることを目標とします。
そのほか今後の社会で必要となるICTツールの使い方など、実践的な技術を学ぶのもこの時間。高1からはさらに「自分たちのアイデアを世界に発信する」という、より大きな課題に取り組み、企業との連携授業なども盛り込まれる予定です。
また、夏休みには軽井沢で全員参加の『サマースタディキャンプ』を実施します。外部からネイティブ講師を迎えて、英語漬けの2泊3日を過ごします。キャンプ中は英語以外にも、国語・数学の時間が設けられていることも大きな特徴です。英語を中心としながら将来に必要な、ほかの2科目もみっちりと学ぶことができます。
中3では、クラス全員が2週間のニュージーランド海外教育研修を体験する予定。中学では珍しい「1人1家庭」のホームステイを実施します。生徒たちは厳しい環境の中で、語学力はもちろん、国際社会に必要なコミュニケーション能力を育みます。
「めざすのは”英語力×人間力”。こだわったのは、『足す』のではなく『掛ける』ということです。本校では以前から英語教育に力を入れてきましたが、そこに人間力を掛け合わせることで、新しい社会に挑戦できる人材をめざします」
と入試広報部長の庄大介先生は言います。また、これと同時に、
「今まで培ってきた”翠陵のきめ細かな指導”も継続していきたい」
と庄先生。
「3年後、6年後のグローバルチャレンジクラスの成長にぜひ期待してほしいですね」
話し合い、考える力を育成
「聞く」「話す」力を強化する
翠陵グローバルプロジェクト
『翠陵グローバルプロジェクト』(以降SGP)は、グループワークを中心とした授業です。この日は、オリンピックをテーマに、資料から必要な部分をピックアップして、12枚のカードにまとめてプレゼンテーションをする課題が出されました。「オリンピックの歴史」「リオデジャネイロのオリンピック」「パラリンピック」の3テーマのうちのいずれか1テーマについてグループで話し合い、分担を決めて簡単なプレゼンテーション資料を作るまでがミッションです。もちろん、漠然と話し合っていたのでは何も決まりません。先生が時間を細かく割り当てて、「今は資料を読む時間」「今は話し合う時間」「下書きをする時間」と指示することで、生徒たちは集中して課題に取り組むことができます。
話し合った結果は、小さなカードに短いフレーズや絵でまとめます。1グループのプレゼンテーションの時間はたった3分間。どのチームも短い間に必要な情報が伝わるよう、工夫を凝らしていました。例えば、同じ「パラリンピック」というテーマでも、パラリンピックの歴史に注目したグループもあれば、知的障がい者のパラリンピック参加について述べたグループもあるなど、着眼点はさまざまです。こういった多様な視点を共有することも、SGPの大事な目的の一つです。



ネイティブ×日本人教員のW指導
ティームティーチングで英語でのコミュニケーションを学ぶ

グローバルチャレンジクラスは、週5日ある英語の時間のうち、2時間を「ティームティーチング」で学びます。これは、英語のネイティブ教員と日本人教員がティームになって、英語の授業を担当するというもの。ネイティブの英語に触れ、母語の違う者同士のコミュニケーションも学ぶことができます。細かな発音や英語での表現力の指導や、英語で話す、聞く楽しさを体感できる授業が展開されています。ティームティーチングは3年間を通じて実施され、中3の時に実施するニュージーランド研修への大事なステップにもなっています。
翠陵の細やかな指導はそのままに
基礎・反復を大事にしながらグローバリズムを育む

『国際社会で活躍できる人材の育成』をめざすグローバルチャレンジクラスですが、奇をてらった教育を行うわけではありません。授業では基礎・基本・反復を重視し、「7時間目」を補習時間として定期的に実施。さらに、職員室の前にはホワイトボードスペースを設けて、生徒が休み時間などに先生たちに質問できる環境を用意しています。2020年度に予定されている大学入試改革への対応など、生徒の将来を見据えたサポートもあります。
「今後はICTも採り入れていきますが、『翠陵でできることをきちんとやる』というのがキーワードです。やみくもにツールだけを導入することはありません」と庄先生。iPadと電子黒板との連動など、同校の教育にリンクした形で、さまざまな取り組みをしていきたいといいます。同校らしさを生かした、グローバル時代の総合教育をめざしています。
(この記事は『私立中高進学通信2016年9月号』に掲載しました。)
横浜翠陵中学校
〒226-0015 神奈川県横浜市緑区三保町1
TEL:045-921-0301
進学通信掲載情報

PICK UP!!
紹介する学校
- 強歩大会 「強歩」で心身ともにたくましく成長足立学園中学校
- 第46回体育大会 広々としたグラウンドで先輩と後輩の絆を深める共立女子第二中学校
- 美術大学付属校ならではの個性あふれる運動会は感動の嵐女子美術大学付属中学校
- 若いエネルギーが思いきり弾ける グラウンド上での熱戦、感動、絆桐朋女子中学校
- 日本文化をより深く知る 国際人としての学習昭和女子大学附属昭和中学校
- 学びも行事も一生懸命に取り組む それが春日部共栄のスタイル春日部共栄中学校
- 2年後に創立130周年を迎える 歴史と伝統を持つ女子校東京女学館中学校
- 「過去・現在・未来をつなぐ」をコンセプトとする新しい制服跡見学園中学校
- 勉強も部活動もiPadでより楽しく 「女子力の向上」をめざす伝統的教育光英VERITAS中学校
- KANDAラーニング&DEタイム 毎日の25分間で基礎学力を向上させる神田女学園中学校
- イングリッシュアイランド/サイエンスアイランド 国際社会で活躍する力を育む新しい設備での最高水準の教育山脇学園中学校
- ギター部(軽音楽部)日本大学第一中学校
- 鉄道研究部/バドミントン部聖学院中学校
- 陸上競技部/吹奏楽部日本大学第二中学校
- 日常的に異文化に触れ多様性への理解を深める東邦大学付属東邦中学校
- 自分の意見を英語で語り未来を拓くコンテスト明治大学付属明治中学校
- 英語で「心を伝える」スピーチコンテスト女子聖学院中学校
- 国際理解力を磨く『開成文化週間』大宮開成中学校
- 「一生使える英語」を体得 進化する「西武台式英語」西武台新座中学校
- ロボット入門講座で伸ばす課題解決の力芝浦工業大学附属中学校
- 自問自答で未来を切り拓く力をつける二松学舎大学附属柏中学校
- 「聞く」「話す」「伝え合う」を鍛える『言語力ウィーク』サレジアン国際学園世田谷中学校
- 自発的に学ぶ力を引き出す中1の英会話レッスン大妻嵐山中学校
- “気づき”や“驚き”を共有できる協働型の授業京華女子中学校
- 貢献 「なりたい自分」を見出す そのための貴重な90時間安田学園中学校
- 時には不調になる子もいるかもしれない そういうときこそ信頼することが大事!!学習院女子中等科
- これからの時代をたくましく生きる人間力の高い男子を育成成城中学校
- 男子校ならではの環境で秘めたる英才を磨き上げる面倒見の良い教育京華中学校
- 小さな積み重ねから自信と良い習慣をつけるのが自立と自律を促す近道実践学園中学校
- 強く 正しく 大らかに 懐の大きな人間へと成長させる日本大学豊山中学校
- 「生活即教育」の揺るがぬ理念が理想論ではない本物の人間力を育成自由学園(男子部・女子部)中等科
- キーワードは”英語力×人間力” 中高6カ年一貫『グローバルチャレンジクラス』横浜翠陵中学校
- 「強い心」でこれまで以上の確かな進学力を育成文教大学付属中学校
- 他者理解と自己表現力が広がるICT教育芝国際中学校
- 『英検まつり』~楽しくレベルアップ~佼成学園女子中学校
- 第1希望の生徒に門戸が広がった総合型試験品川女子学院中等部
- 建学の精神「品格 高雅 自立 自営」 「キャリア教育」「感性表現教育」「グローバル教育」「学力改革」を融合した人間教育実践女子学園中学校
- 「自ら学び考える力」「コミュニケーション能力」「心身健康力」の3つの力を掲げ生徒を伸び伸びと育てる藤村女子中学校
- 「手をかけ 鍛えて 送り出す」がモットー 主体的に「学び」、自ら「考え」、自己を「主張できる」生徒を育てる教育を実践昌平中学校
- 未来を幸せに生き抜くために 部活と勉強を両立し、志望校合格へ横浜富士見丘学園中学校
- 「全寮制」と「到達度別指導」で個々の能力を徹底的に磨く秀明中学校
- 医療とは別の立場で患者をサポートしたい 夢に向かって次の一歩へ東京家政学院中学校
- 英語力を養いながら、海外セミナーを機に異なる文化や価値観への理解を深める千代田国際中学校


