私立中高進学通信
2016年9月号
アクティブラーニングで伸ばす新しい学力
二松学舎大学附属柏中学校
自問自答で未来を切り拓く力をつける
調べ、まとめ、発表する体験で思考力育成

現代の教育ニーズに重なる
創立者・三島中洲 の想い
現在、文部科学省で進行中の高大接続改革の審議会では、高校までの学びと大学以降の高等教育との接続をより良くすること。そして主体的に考え、行動できる人を育てる教育の必要性が議論されています。
「歴史をたどってみると、二松學舍の創立者である三島中洲は、現在の日本の教育界と同様に、『己を修め人を修め一世に有用なる人物を養成するに在り』と主張しています。自国の文化を正しく理解し、母国語を正しく表現できる真の国際人の養成をめざしたのです。また中洲は断片的な知識だけでなく、物事を深く考える力を身につける大切さも説いています。本校はそういった139年にわたって引き継いできた伝統をぶれずに貫いています」
(副校長/島田達彦先生)
明治と現代では子どもを取り巻く環境は異なりますが、自ら課題を見つけ解決する力が有用なことに変わりはありません。同校では、『自問自答』を合言葉に、総合学習の中で多彩な体験学習と調べ学習を組み合わせ、グループや各個人で研究テーマに挑むアクティブラーニングを展開しています。
テーマの設定は学年ごとに異なり、中1は「地域」、中2は「日本」、集大成は中3で自由なテーマに取り組む「探究論文」です。約1年間をかけてきめ細かに指導していくため、生徒たちは学年が上がるごとに考察力を深め、この学びを通して自立的な学習態度を身につけています。
日々の積み重ねが気づきを生む
このほかにも、日々行われている『自問自答』の取り組みが3つあります。1つは新聞のコラムの読み比べです。社会で起きていることを知り、自分の生活に置き換えて考える練習をします。同じ事件でも各紙で書き方が異なると気づくように、先生方が導きます。2つめは『365ノート』。1日1ページ、30分間以上机に向かうことを奨励する家庭学習帳です。家庭学習の習慣が身につくだけでなく、自分で自分の課題を探す力がつきます。3つめは毎日のHRで行われる日直の『1分間スピーチ』です。「クラスの良いところ」「将来の夢」など自分の考えを披露し、クラス全員で共有することで自問自答の力を高めます。
「さまざまなものの見方を知り、自分で考え、本屋さんで本を探したり、それを読んで悩んだりと、自ら問いを追い求める学び方をする生徒は、希望する大学への合格をつかんでいます。与えられたものだけをこなすのではなく、自分から問題を探す力をつけてほしいと願っています」(中学学年主任/森寿直先生)
大きなテーマに基づいた総合学習、小さな気づきを共有する日々の活動。7月の総合学習中間発表会で活動する生徒の姿から、2つの相乗効果をはっきりと見て取ることができました。
毎週土曜は総合学習の日 7月の中間発表会で成果を披露
中1『沼の教室』
手賀沼を舞台に体験活動

自問[Ask Oneself]
『沼の教室』は同校の伝統の学びの一つ。近くの手賀沼の環境や歴史について学び、水質調査も行います。「なぜ手賀沼の水は汚れたのか?」「どのような生き物がいるのか」などの問題意識がわき上がってきます。
自答[Answer]
北千葉導水ビジターセンターや手賀沼親水広場・水の館を訪問し、調べたこと、わかったことを『校外学習新聞』にまとめて発表します。中間報告では作成した新聞をもとに、3分間のプレゼンテーションを行います。普段の『1分間スピーチ』で話すことに慣れているので、手順よく、堂々とした発表ができました。
中2『古都の教室』
奈良・京都についてテーマ探究
自問[Ask Oneself]
グループでテーマを決めて、調べ学習をします。奈良を紹介するグループは『法隆寺新聞』を作成。法隆寺建立までの歴史や、理由が解明されていない「七不思議」など情報満載のポスターを作りました。作成後は9月に行われる文化祭『松陵祭』の発表に備えてプレゼンテーションの練習です。タブレットで発表の様子を撮影してみます。
自答1[Answer1]
発表の様子を撮影した動画をグループで再生します。「もうちょっと原稿をゆっくり読んで」「声が小さいかも」と、みんなでワイワイ相談。「より良く伝わる方法」を考えたり、ポスターの内容を吟味したりします。先生はあくまでサポート役。生徒が質問に来ない限りアドバイスはしません。
自答2[Answer2]
11月の奈良・京都への研修旅行は班別に見学先を計画します。ポスター発表できるほど事前研究をしているため、歴史的建造物などを訪ねた際に実際はどうなのか自分の目で検証できます。「本当だ」「そうだったのか」と、学習と体験とが結びつき、自分なりの解答が得られる瞬間です。




中3『探究論文』の作成
自力で問い・答えを探す旅

自問[Ask Oneself]
5月から始まるテーマ調査。翌年の1月に論文を提出します。すべて個人の研究になるためテーマ設定はとても大事です。「正しいテーマというものはありません。中学生の今の自分が持つ興味や関心を大切にしています」と森先生は話します。「人類が他の星に移住することはできるのか」「黄金比、白銀比をなぜ美しいと思うのか」「なぜ正夢や予知夢を見る人がいるのか」など多彩なテーマが並びます。
自答[Answer]
下調べを行って6月には研究内容を決定し、まずはテーマ発表を行います。どのような内容の研究をするのか。また、なぜそれを研究したいかを、各自がクラス全員の前でプレゼンテーションするのです。大切なのは、なぜそれが知りたいのかという動機や、仮説に基づき調査・研究を経て結論を導き出す過程です。テーマ発表の後、本格的な調べ、探究作業に入ります。3年間のさまざまな学びから得たことを総動員して論文執筆に挑む経験は、将来、大学や社会で大いに役立つはずです。
(この記事は『私立中高進学通信2016年9月号』に掲載しました。)
二松学舎大学附属柏中学校
〒277-0902 千葉県柏市大井2590
TEL:04-7191-3180
進学通信掲載情報

紹介する学校
- 強歩大会 「強歩」で心身ともにたくましく成長足立学園中学校
- 第46回体育大会 広々としたグラウンドで先輩と後輩の絆を深める共立女子第二中学校
- 美術大学付属校ならではの個性あふれる運動会は感動の嵐女子美術大学付属中学校
- 若いエネルギーが思いきり弾ける グラウンド上での熱戦、感動、絆桐朋女子中学校
- 日本文化をより深く知る 国際人としての学習昭和女子大学附属昭和中学校
- 学びも行事も一生懸命に取り組む それが春日部共栄のスタイル春日部共栄中学校
- 2年後に創立130周年を迎える 歴史と伝統を持つ女子校東京女学館中学校
- 「過去・現在・未来をつなぐ」をコンセプトとする新しい制服跡見学園中学校
- 勉強も部活動もiPadでより楽しく 「女子力の向上」をめざす伝統的教育光英VERITAS中学校(現校名 聖徳大学附属女子中学校)
- KANDAラーニング&DEタイム 毎日の25分間で基礎学力を向上させる神田女学園中学校
- イングリッシュアイランド/サイエンスアイランド 国際社会で活躍する力を育む新しい設備での最高水準の教育山脇学園中学校
- ギター部(軽音楽部)日本大学第一中学校
- 鉄道研究部/バドミントン部聖学院中学校
- 陸上競技部/吹奏楽部日本大学第二中学校
- 日常的に異文化に触れ多様性への理解を深める東邦大学付属東邦中学校
- 自分の意見を英語で語り未来を拓くコンテスト明治大学付属明治中学校
- 英語で「心を伝える」スピーチコンテスト女子聖学院中学校
- 国際理解力を磨く『開成文化週間』大宮開成中学校
- 「一生使える英語」を体得 進化する「西武台式英語」西武台新座中学校
- ロボット入門講座で伸ばす課題解決の力芝浦工業大学附属中学校
- 自問自答で未来を切り拓く力をつける二松学舎大学附属柏中学校
- 「聞く」「話す」「伝え合う」を鍛える『言語力ウィーク』目黒星美学園中学校
- 自発的に学ぶ力を引き出す中1の英会話レッスン大妻嵐山中学校
- “気づき”や“驚き”を共有できる協働型の授業京華女子中学校
- 貢献 「なりたい自分」を見出す そのための貴重な90時間安田学園中学校
- 時には不調になる子もいるかもしれない そういうときこそ信頼することが大事!!学習院女子中等科
- これからの時代をたくましく生きる人間力の高い男子を育成成城中学校
- 男子校ならではの環境で秘めたる英才を磨き上げる面倒見の良い教育京華中学校
- 小さな積み重ねから自信と良い習慣をつけるのが自立と自律を促す近道実践学園中学校
- 強く 正しく 大らかに 懐の大きな人間へと成長させる日本大学豊山中学校
- 「生活即教育」の揺るがぬ理念が理想論ではない本物の人間力を育成自由学園(男子部・女子部)中等科
- キーワードは”英語力×人間力” 中高6カ年一貫『グローバルチャレンジクラス』横浜翠陵中学校
- 「強い心」でこれまで以上の確かな進学力を育成文教大学付属中学校
- 他者理解と自己表現力が広がるICT教育東京女子学園中学校
- 『英検まつり』~楽しくレベルアップ~佼成学園女子中学校
- 第1希望の生徒に門戸が広がった総合型試験品川女子学院中等部
- 建学の精神「品格 高雅 自立 自営」 「キャリア教育」「感性表現教育」「グローバル教育」「学力改革」を融合した人間教育実践女子学園中学校
- 「自ら学び考える力」「コミュニケーション能力」「心身健康力」の3つの力を掲げ生徒を伸び伸びと育てる藤村女子中学校
- 「手をかけ 鍛えて 送り出す」がモットー 主体的に「学び」、自ら「考え」、自己を「主張できる」生徒を育てる教育を実践昌平中学校
- 未来を幸せに生き抜くために 部活と勉強を両立し、志望校合格へ横浜富士見丘学園中学校
- 「全寮制」と「到達度別指導」で個々の能力を徹底的に磨く秀明中学校
- 医療とは別の立場で患者をサポートしたい 夢に向かって次の一歩へ東京家政学院中学校


