私立中高進学通信
2016年9月号
アクティブラーニングで伸ばす新しい学力
芝浦工業大学附属中学校
ロボット入門講座で伸ばす
課題解決の力
ものづくり教育が主体的かつ能動的に学ぶ力を育てる

完成したロボットで障害物競走大会を行います。
5人1チームになりトーナメント形式で優勝を決定します。声援にも熱が入ります。
新天地・豊洲でひと足早い中・高・大連携講座
2017年4月に現在の板橋区から、江東区・豊洲に建設中の新キャンパスへの移転を控えた同校。豊洲には併設大学である芝浦工業大学の豊洲キャンパスがあり、都内では数少ない理工系私立大学の附属校としてさらなる飛躍が期待されています。大学との連携教育は入学直後から始まり、中高6年間を通じてレベルや希望に合わせた多彩なプログラムが用意されています。
中2生全員が取り組む夏の行事『ロボット入門講座』は7月10日、芝浦工業大学豊洲キャンパスで行われました。生徒たちは朝、キャンパスに集合後、システム理工学部の長谷川浩志教授の講義を受けたのち、製作に入ります。このロボットは災害救助用ロボットの原型で、リモコンで4本足を操作して走らせるもの。ギアボックスから組み立てる本格派です。複雑な作業ですが、生徒たちは設計図を見ながら、熱中して組み立てていきます。
完成後はトーナメント形式の障害物競走を開催して、チームで優勝を競います。大盛り上がりの決勝戦を終え、生徒たちはものづくりの楽しさと達成感をぞんぶんに味わいました。
ものづくりがアクティブラーニングになる
ものづくりとアクティブラーニングは馴染みやすいと指摘するのは、大坪隆明校長先生です。
「ロボットがうまく動かなければ、どこに問題があるのかを自分で探さなくてはなりません。1人1台を作るので課題も人それぞれです。解決方法を探すには、自力で設計図を読み、組み立ての手順を追って問題となりそうな可能性を一つひとつ検証していく必要があります。ものづくりの過程そのものが課題解決型のアクティブラーニングなのです」
教科の授業におけるアクティブラーニングでは前提となる知識を学び、抽象的な概念も扱うことが多くなります。それに比べてものづくりは目の前に具体的な「もの」が存在するので、課題が見つけやすいのです。
「問題が解決したときの達成感や自己肯定感も得やすく、特に中学生には適しています。ものづくりの経験を積み重ねると、最適な手順や失敗しやすい部分がわかるようになります。これが課題解決力=“生きる力”につながっていくと考えています。本校は大学のリソースを活用できる附属校のメリットを活かして、独自の“ものづくり教育”を続けていきます」
ものづくり = アクティブラーニング
1日かけてロボットを製作
Robot Production 001
設計図とにらめっこ 自力で組み立てるぞ!

芝浦工業大学が教育用に開発したロボット『ビートル』を中2生全員が1人1台作ります。芝浦工業大学地域連携・生涯学習センターの職員が7名、大学院生・学生が7名(全員、同校の卒業生)、同校の有志の高校生15名がサポート。生徒がわからない時だけ手伝います。
Robot Production 002
夢中でやるから学びがある
複数のアルミ板が交互に動いて足のような動きをします。なめらかに動くようにするには板を本体に取り付けるときにネジを締めすぎないこと。微調整しながらモーターを動かしてみます。この繰り返しは問題解決の過程そのもの。能動的に学ぼうとする姿勢を育みます。



Robot Production 003
試合中にも改善を重ねる

障害物競走の試合の合間、次のチームと対戦するまでにロボットの微調整をする生徒たち。誰に言われなくても自分から課題を見つけ、仲間と協力しながら解決しようとしていました。
Robot Production 004
製作と競技で学んだこと

障害物競走の上位チームの表彰。勝ち残った秘訣を質問されて生徒たちは「試合前に動作を点検した」「しっかり組み立てることが大事だとわかった」「ミリ単位の調整の違いがあることを知った」などと答えていました。1日で大きな収穫があったようです。
ココも注目!
ものづくりの伝統を継承する芝浦ファミリーが全面支援
黒のTシャツで生徒をサポートする芝浦工業大学大学院生・学生は全員が同校の卒業生です。そのうち2人は大学1年生で、昨年まで同校に通っていました。ロボット入門講座を体験した当時をよく覚えているそうです。
「みんな一生懸命なところは変わらないですね。中高6年間で興味のあることを見つけて実際にやってみるところまで体験できるのが芝浦工大のいいところだと思います」(澤虹之介さん・右)
「ものづくりは“慣れ”の部分が大きいんです。僕は中高と理科部に所属して電気系の回路を作っていました。6年間、部活動で研究に没頭できたのは本当に魅力的でした」(林田拓巳さん・左)
指導にあたる芝浦工業大学システム理工学部教授の長谷川浩志先生も同校のご出身です。「ドライバーも持ったことがない、ものづくり未経験のまま大きくなる子どもたちがいます。そんな中、この講座は失敗しても次に生かせるよい経験が得られます。うまくいかずにもう一度ロボットを分解してみると、その構造や、人とメカの組み合わせについて理解が深まるのです」


(この記事は『私立中高進学通信2016年9月号』に掲載しました。)
芝浦工業大学附属中学校
〒135-8139 東京都江東区豊洲6-2-7
TEL:03-3520-8501
進学通信掲載情報

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