私立中高進学通信
2016年8月号
その先に備えるキャリア教育
獨協中学校
成長
職業を絞り込むより方向性を探るキャリア教育
「社会貢献できる人材」の育成をめざし、
中1から緩やかに始まる同校独自のキャリア教育。
男子の成長曲線を考慮した、きめ細かな指導が行われています。

ОB講演会。各界で活躍するОBの話を、自分の生き方と重ねていきます。

男子の中高一貫校として、女子とは異なる男子の成長曲線を考慮した教育プログラムが定着している同校。中1の生徒たちが『自分史』の作成に取り組むところからキャリア教育が始まります。
「中1で“なぜ自分史を?”と思う方も多いと思いますが、中学生なりに今の自分にできることを模索することは重要です。これまでの12年間を一度振り返りながら、未来の目標へとつながる可能性の糸口が見つかることを期待しています」
(副校長/笠井淳三先生)
少しずつ自分の生き方と向き合い始めた中1生が次に取り組むのが、家族や親せきなど、身近にいる大人たちを通して働くことの意義を学ぶ『職業調べ』です。職業を知ることで社会を知り、働くことの意義を考えることが目的です。
「世の中の窓口となるさまざまな仕事を通して、いずれは社会貢献につながる職業観を意識してもらっています」
同校には30年以上もの歴史を重ねる伝統の『研究論文』があります。中3生の論理性の育成を図るためのものとして定着していますが、実はキャリア教育とも密接な関係があるようです。
「研究論文をきっかけに生徒一人ひとりの知的関心事項が具体的になり、おぼろげながら描き始めた自身の職業観と結び付き、結果として将来の職業とつながった例も少なくありません。しかし、必ずしもその時点で職業を決めるというものではなく、広い意味での知的関心の方向性を探ってもらうことに意味があります。研究論文を通して、社会福祉について考えるようになったり、環境教育に興味を持つようになったり、生徒の数だけ多様な選択肢がありますので、その一つひとつが大学進学を考える際の学部・学科選択につながるきっかけになればと考えています」
こうして大人になり始めた中3から高2の生徒を対象に実施されているのが、笠井先生が「最も獨協らしい」と強調する『ОB体験談』です。
「例えば、大手旅行代理店のトップや、ベルリンの壁崩壊の現場に立ち会った元新聞記者などにご来校いただき、失敗談も交えて中高時代を等身大で語ってもらいます。年齢は大きく離れていても“獨協”という同じ空気を吸った人の言葉に共感する生徒は多く、終了後の質問会も盛り上がります」
男子の成長曲線を最もよく知る先生方の細かな仕掛けが、各自のキャリア意識を徐々に顕在化していきます。


Report
キャリア教育の要は高1の『職場体験』
企業側から提案された職場体験ではなく、先生方が自ら足を運び、何度も打ち合わせを重ねて行われているのが高1の『職場体験』。笠井先生も「キャリア教育の要」と強調するほどです。
「なるべくОBに声をかけ、できるだけ“一流の仕事に隠された本物の仕事”にこだわって行き先を選択しています。抽象的にキャリアを捉えるのではなく、具体的に仕事を見せ、職場の空気に触れさせながら、高2から始まる文理選択や学部・学科絞り込みにつなげています」


普段は入ることが難しい“特別な場所”が用意されているこだわりの職場体験。
成田国際空港株式会社(写真1)も、横浜税関(写真2)も、“裏側”まで体験して職業の本質を体感します。
海外で活躍する日本人に触れる
夏休みに行われるシアトルの海外ホームステイを利用して、同地に本社機能を置くグローバル企業(マイクロソフト社、ボーイング社など)での職場体験を行っています。
「移動先のサンフランシスコでは、スタンフォード大学やカリフォルニア大学バークレー校に出かけ、日本人研究者として活躍する方々の話を聴く機会も設けています。それぞれの研究内容を説明してもらうと同時に、中高生の時代にどんなことをしたのかといった質問も用意して臨みます。研究者の話を聴き、“自分にも案外できるかもしれない”と口走る生徒もいますが(笑)、そこは絶対に否定せず、むしろこの年齢の男子特有の素直な気持ちの表れとして、全力で応援しています」



(この記事は『私立中高進学通信2016年8月号』に掲載しました。)
獨協中学校
〒112-0014 東京都文京区関口3-8-1
TEL:03-3943-3651
進学通信掲載情報

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