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私立中高進学通信

2016年7月号

思春期の伸ばし方

恵泉女学園中学校

芽ばえ、花開く時期は一人ひとり異なります
環境・聞く・待つことが大切です

「中高6年間の中で目標や自分を見失った子が1人いたら、みんなで探しにいくのが恵泉の教師です。神様の前ではたとえ失敗しても、いつでも再スタートできます」と加藤先生。

「中高6年間の中で目標や自分を見失った子が1人いたら、みんなで探しにいくのが恵泉の教師です。
神様の前ではたとえ失敗しても、いつでも再スタートできます」と加藤先生。

外からの力でなく
内なる力で動き始める
加藤英明(かとう・ひであき)
校長先生

1952年生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、民間企業に4年勤務。在職中に、キリスト教の信仰を持ち受洗。その後、共学のキリスト教学校に18年間、恵泉女学園中学高等学校で19年目を迎える。数学の美しさを知ってもらいたいため中学1年生の幾何の授業を担当。生徒の発想力の豊かさにいつも驚かされている。

――一般的に“難しい時期”と言われる思春期。加藤英明校長先生はこの時期をどのように捉えているのでしょうか。

「私たちは思春期を『第2の誕生』と捉えています。自分で考え、自分で判断する“個”の人間性が育っていく時期です。
 行動の基軸が変わる時期なので、心も不安定になりがちです。その中で内側からあふれ出す力をうまく発揮できるようにするのが、私たち教師の役目です」

――この時、保護者はどのような位置に立てば良いのでしょうか。

「中高生になったら、保護者からは見えるけれども子どもからは見えない“斜め後ろの位置”からお子さんを見守ってくださいとお伝えしています。また、家庭の倫理観はきちんと伝え続けてください、ともお願いしています」

――子どもでもなく、大人でもない思春期という時代。
この時期に、先生や保護者だけでなく、さまざまな視点や価値観で見守られることが理想的だと加藤先生は言います。

「本校は、キリスト教の教えに基づく教育をしており、聖書の価値観を子どもたちに示します。
 入学式では『あなた方が恵泉女学園を選んだのではなく、神様があなた方を選んだのです』と伝えます。そこには『あなたは愛されている』『あなたはこの世の中に1人しかいない』『あなたには使命がある』という3つの思いが込められています」

自分自身を見つめ
言葉で表現する大切さ
加藤校長が植えたロウバイの木の苗。芽が出る前の時期は、土の中でじっと力を蓄えている時期なのかもしれません。加藤校長が植えたロウバイの木の苗。芽が出る前の時期は、土の中でじっと力を蓄えている時期なのかもしれません。

――多くのまなざしに見守られる中“個”として育っていくためには、どのような体験が大切なのでしょうか。

「私たちは、生徒が中1の頃から、『Who am I?(私は誰?)』と問いかけ、自分の心をきちんと見つめるように指導しています。
 その一例として、毎朝の礼拝時に日頃感じていることを原稿用紙にまとめ、みんなの前で読む『感話』を行っています。中1では原稿用紙2枚半ぐらいしか書けないのですが、高3ともなると10枚ぐらい書くようになります。
 今日は高3の生徒が、父親の転勤で中3の時に家族で海外に住んだ体験を話しました。自分にもたくさんの葛藤があったけれど、家族も悩んでいたことがわかり、家族の大切さを考えるようになったという気づきを述べてくれました。自分だけでなく、他人の言動や気持ちを振り返ることもとても大切です。
 また、書くという行為は、聞くことや話すことよりも、圧倒的に知的エネルギーが必要です。『感話』も成長とともに内容が奥深くなり、自然と思考力、判断力、表現力が身についていきます」

大人に求められるのは
変わることを『待つ』力
思春期の子どもに大切なこと
  1. 自然に心を開ける環境を作るために
    大人も心を開いて接する
  2. 揺れ動く気持ちに寄り添って話を聞く
  3. 結論を急がず、子どもが様々に変わる可能性を信じて待つ

――自分を探す旅の始まりである思春期、先生方はどんなことを心がけて子どもたちに接しているかをうかがいました。

「第一に、生徒たちが『自然に心を開ける環境づくり』です。そのためには、私たちも子どもたちに対して自分の心を開かなければいけません。第二に、子どもの気持ちに寄り添って『聞く』ことです。第三に、その子が変わることを信じて『待つ』ことです。
『待つ』ことに関して、こんな体験があります。数年前、学校の敷地内にあるロウバイの木の種を自宅の庭に蒔いたら次々と芽を出しました。そこで、卒業生へのプレゼントにと200個の種を植えました。ですが、その年は2つしか芽が出ず、2年目、3年目になってやっと出てきたものもありました。芽が出る時期は、植物も人もそれぞれなのだと改めて学びました」

――中高一貫の6年間。だからこそじっくり見守れる―それも私学教育の魅力のひとつ。最後に、グローバル教育について話をうかがいました。

「昨今、グローバル人材を育てる教育の必要性が叫ばれています。本校は、第一次大戦後、『女性が世界情勢に関心を持ち、主体となって平和を訴えないと戦争はなくならない』と考えた河井道によって創立されました。
 戦争だけでなく、差別や貧困、抑圧された状態のない平和をめざす女性を育てることが、学園の変わらぬ理念であり、グローバル化に対する取り組みです。教育する=エデュケイトという言葉には、引き出すという意味があります。聞くことや待つことで、子どもたちの可能性は引き出されます。人生という旅において、あなたたちは常に神様に守られており、自信を持って目標に進んでいきなさいと伝えていきたいですね」

「待つこと」「変わること」を生きた経験として学ぶ
都会育ちの生徒たちにとって、牛舎での作業は貴重な体験。五感を刺激された経験は大人になっても残ります。都会育ちの生徒たちにとって、牛舎での作業は貴重な体験。五感を刺激された経験は大人になっても残ります。

中2で清里に2泊3日でファームワークへ。朝5時に起きて牛を放牧させ、牛舎の掃除をした際に出た牛のふんが、後に無臭のたい肥となって3トントラックで学校に届き、生徒たちの畑を活性化させます。そしてそのたい肥が、中1と高1で必修の園芸の授業に生かされます。「待つこと、変わることを生きた経験で学ぶ園芸は、とても良い教材です」

(この記事は『私立中高進学通信2016年7月号』に掲載しました。)

恵泉女学園中学校  

〒156-0055 東京都世田谷区船橋5-8-1
TEL:03-3303-2115

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