私立中高進学通信
2016年7月号
アクティブラーニングで伸ばす新しい学力
日本学園中学校
林業・漁業・農業体験は
好奇心を刺激する貴重な時間
学びのアンテナが敏感になる体験型フィールドワーク

中2の漁業体験後に制作したパネル。古賀くん(右)と大竹くん(左)。にちがく祭で展示発表した力作です。
純粋な経験から得る心動かされる瞬間
『人は得意な道で成長すればよい』という伸び伸びとした校風の同校は、芸術の分野や政官財界にユニークな人材を輩出してきました。校門を入ると、豊かな緑がその自由闊達な風を運んでくるようです。
中高一貫コースでは、『個性豊かで逞しい人間力』を育む『創発学』に6年間で取り組みます。調査や研究、取材、まとめを通して身につける創造力、それらを表現する発信力を校外学習とキャリア教育の2つの柱で伸ばします。
中学の校外学習は毎年、林業、漁業、農業を体験するフィールドワークに臨みます。自然の恵みと厳しさに向き合って暮らす人たちから話を聞き、自分たちも体験することでさまざまな刺激を受け取るのです。
中1の夏休みに行った沼津校外学習では、漁業を体験しました。魚市場や沖合の鯛の養殖いけすを見学し、漁や網の修理にも挑戦したのです。学校に戻ってからは各班で学んだことをまとめて10月の文化祭『にちがく祭』で発表もしました。
「体験してまとめをすることを通して、次の興味へとふくらませていくのが創発学の面白さです」
と話すのは担任の小飯塚祐也先生です。鯛の養殖を見学して帰ってきたあと、生徒たちは、マグロの養殖はなぜ難しいと言われるのかと疑問を広げていったそうです。
校外学習当日の様子を中2生の古賀くんに聞いてみると、自動餌やり機についてや、鯛が日焼けをしないように日よけカバーをしていたことなどを詳しく説明してくれました。
中1から始まる『創発学』
集大成は研究論文

堂々と発表し、関心を広げられるようになるにはフィールドに出て取材し、考えをまとめて発表する体験の積み重ねが必要です。最初のフィールドワークは、入学直後に行く山梨県でのオリエンテーション合宿から始まります。そこでの林業体験をレポートしたB4判の『林業新聞』を見せてもらいました。
「話を聞きながらメモに書き留めるのは難しかった」
と振り返る大竹くんは得意のイラストで新聞を作りました。チェーンソーの仕組みや木を切るときの動かし方、刃の当て方などを解説しました。
担任の小飯塚先生が
「良く覚えているなあ」
と褒めると、
「あの時、僕たちより先生がいろいろ質問をしていましたよね」
と古賀くんたち。生徒の得意なことを伸ばすには、心を動かす体験をさせること。そのためには先生自身が何かに「心動かされるさま」を、ありのままに生徒に見せること――。同校の師弟のあり方が垣間見えた瞬間でした。
中2の夏は栃木県へ農業体験に出かけ、農家に泊まる初めての「民泊」を予定しています。冬には中3から始まる『研究論文制作』のガイダンスがスタートします。個人でテーマを設定し、一人で書き上げなければなりません。中1~2で培った力をばねに、生徒たちは知的好奇心をふくらませながら挑んでいきます。
Off-Campus Learning
1
漁業体験で魚を捌いてみました

魚を三枚におろすのはほとんどの生徒が初体験。
漁協の方がていねいに捌き方を教えてくださいました。
2
漁業体験で魚の保存について学習

市場でマグロの保存や良いマグロの見分け方などの説明を受けています。
普段目にすることがない光景で一生懸命にメモを取っていました。
3
木を伐採する林業体験

これから木を切るところですが、どのように切るかを考えます。
仲間と一緒にさまざまな考えを出し合うことも大切です。
4
魚市場で水揚げを見学

早朝から水揚げやセリの場面などを見学。発表のための材料がたくさん得られたようです。
ココも注目!
先生と生徒が一体になる体験授業

担任の小飯塚祐也先生と中1オリエンテーション合宿・林業体験の思い出話に花が咲きます。このときは木材を活用する『バイオマス発電』の話を林業家の方にしてもらったそうです。さまざまな社会的課題に気付くきっかけを体験活動にどう織り込むか。プログラムは毎年工夫を重ねています。
(この記事は『私立中高進学通信2016年7月号』に掲載しました。)
日本学園中学校
〒156-0043 東京都世田谷区松原2-7-34
TEL:03-3322-6331
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