私立中高進学通信
2016年7月号
グローバル時代の学び方
昌平中学校
世界を意識した学びを実践
全教科に国際バカロレアの手法を導入

グローバルな人材育成をさらに強化するIB
世界をテーマにした調べ学習や発表、大使館の訪問など校外で体験型学習を行う『スペシャル・ウェンズデイ』、英語力を強化する『パワー・イングリッシュ・プロジェクト』など、『世界を理解する力』の育成をめざし、独自の『グローバル人材育成プログラム』を展開している同校。2015年には埼玉県で初めて国際バカロレア(以下IB)のミドル・イヤーズ・プログラム(以下MYP)候補校となりました。
IBは海外の大学への入学資格を得ることができる教育プログラムですが、中等教育向けのMYPは、授業内容と実社会とのつながりを考えさせ、そこからグローバルな視点を養うことを目的にしています。「探求する人」、「知識のある人」、「振り返りができる人」など、めざす学習者像が同校の教育方針に一致すると考えて、導入を決めたそうです。
IBを取り入れたことで、全教科で問題解決型の授業が行われるようになりました。教科で学ぶ事柄と社会的な問題を結び付けて生徒たちに考えさせることで、知識の定着もより良くなり、多角的な物の見方も身についてきたそうです。
思考力と表現力を磨き「振り返り」も重視
IBの特色の一つである「振り返り」も大切にしています。プレゼンテーションの内容を振り返り、もっとうまく伝えるにはどうすればよかったか、うまくできたならその成功の秘訣は何だったのかなどを振り返って考え、文章にしたり発表する機会を設けています。
入学時からIBの手法を導入した授業を受けている中2の生徒たちは
「難しい内容でも自然と頭に残った」
「伝わりやすさを考えて文章を書くようになった」
「相手との考え方の違いを比べるようになった」
など、学びの効果に手応えを感じていました。
学力を確保しながら思考力や表現力も磨き、さらに「振り返り」で必要な課題に自分で気付けるようになる。これこそがIB導入の効果なのです。
Action Report File001
オールイングリッシュの英語の授業
地理や時事問題にも関連付けて視野を広げる
英語の教科書の内容を社会的な視点で考察
IBの手法を導入した中2の英語の授業は、オールイングリッシュです。この日の授業では、かつて炭鉱で栄えたイギリスの街の今と昔について書かれたテキストを学習しました。音読で全体の内容をつかんだら、炭鉱の街が抱える今と昔の問題点や現状を改善するには何をすればよいかを班ごとに考える時間に移ります。英語の授業ではありますが、テキストの内容をより深く考える時間をつくることで、自分なりの意見を考え、友だちの意見を聞いて思考を広げる学びへと発展させているのです。
グローバルな視点で英語を使うIB授業のほか、しっかりと正しい英語を使えるようになるための知識を学ぶ授業もあります。
それぞれの授業が良い作用をもたらしています。


自分の意見を英語で発表
班の中でのディスカッションは日本語で行いますが、1人ずつ発表するときには英語で意見をまとめて発表します。先生は「自分の意見を持ち、問題の解決策を考えるのが大事」だと話し、北海道・夕張市の事例も出して生徒たちの考えの幅を広げていきます。地理や時事問題とも関連付け、生徒の考える力や発表する力をさらに高める授業内容でした。


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教科書の内容にとどまらない社会科の授業
社会的な問題をロールプレイングで発表

中2の社会科の授業では世界の人口やエネルギー、産業の現状と課題について、生徒たちが班に分かれてロールプレイング(劇)形式で発表を行いました。どの班もプレゼンテーション用の資料をパソコンで作成し、電子黒板を効果的に使用します。事前に自分たちで考えたシナリオに基づき、役割分担をして発表を進めました。


主体的に学ぶから自然と頭に残る!
先生から一言
「社会科の授業では、発表型の授業が多いのですが、生徒が作る発表資料は凝った内容が多くて驚かされます。社会科は暗記重視の学問だと思われがちですが、IBの手法を取り入れれば自然と頭に残り、グローバルな視点で幅広い視野も身につくと考えています」(国際教育部長・社会科・英語科/前田紘平先生)
(この記事は『私立中高進学通信2016年7月号』に掲載しました。)
昌平中学校
〒345-0044 埼玉県北葛飾郡杉戸町下野851
TEL:0480-34-3381
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