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私立中高進学通信

2016年6月号

The Voice 新校長インタビュー

本郷中学校

育てたいのは「自分で決められる男」
リーダーとして、先を見通す力を養成

佐久間 昭浩 (さくま・あきひろ)

佐久間 昭浩 (さくま・あきひろ)
上智大学を卒業後、1990年4月に本郷中学校・高等学校へ教諭として着任。
教科主任、学年主任などを経て2008年本郷中学校教頭、2013年本郷中学校・高等学校入試広報部長を歴任。
2016年度より本郷中学校・高等学校校長に就任。

自分で選択するから失敗しても次に進める
本郷の3つの教育方針

 本校が目指す教育は「知育と徳育と体育の調和」です。学校ですので勉強(知育)はもちろん大事です。しかし、徳育と体育のバランスもきちんととることが大切という感覚は、創立以来変わらず持っているものです。

 そのバランス感覚を維持するために必要なのが、学習を含めた様々な活動です。何事にも積極的に参加することで、自分のやりたいことが見えてきます。生徒達には6年間という時間をかけて、「自分がすべきことを自分で決められる力」を育んでもらいたいと思っています。

 本校はクラブ活動が非常に盛んです。高3になっても部活動を続ける生徒が多くいます。ありがたいことに本校では「生徒に恵まれている」と実感することが多々あります。例えば教員の生徒への思いを、先輩が後輩に伝えてくれています。先輩・後輩という縦のつながりが特にクラブで伝統的に強いのです。

 あるクラブのOBが、日本でトップといわれる大学に入りました。彼はその大学で学ぶことが目標だったので、自分で決めてクラブを途中で引退しました。

「この大学に入るために自分で目標を立てて合格したけれど、実は達成感がないんだ。その引っかかりは何かと考えたら、それは途中でクラブをやめたこと。これほどすっきりしないものなのか」と、その生徒が受験後、後輩に語ったのです。

 私達が感心したのは、「だから、君達には最後までクラブを続けてほしい」という結論ではなかったことです。「決断は自分ですること。そのために、何をどうしたらいいのか、しっかりと自分自身で考えること」と、自分の体験や気持ちを一例として、メッセージを後輩に送ってくれました。教師や親が言うより説得力がありますし、生徒も本当に自分が考えて悩んだ結論です。自分で選択したことなら、結果として後悔することがあっても、それは一歩進むための前向きなものです。

 私達も生徒それぞれに希望進路を叶えてほしいと思っていますし、保護者の方は、大学受験が不安だと思いますが、高3になってクラブ活動を続けていても「自分で選んだことを一所懸命やっている」ということを認めてくださっています。

 その不安の解決ではありませんが、本校では親御さん同士のつながりも大切にしています。年に1回、卒業生と在校生の保護者の方が触れ合える機会を中3以上で作っています。息子との付き合い方での成功例・失敗例などを伝えていただき、とても好評です。保護者の不安を和らげることは、結果的に生徒達のためにもなることです。こういうつながりは、これからも意図的に作っていきたいと思います。

 実際に部活も最後まできちんと続けながら、希望の進路を達成するというのは、正直なところ大変なことです。本校では近年、高3の最後の大会までクラブ活動を続けた生徒が、現役で国公立のトップクラスの大学に入るということが増えてきています。それはやっぱり、彼らの頑張り以外の何物でもありません。自分で決めたことを最後までやり通す決断力、忍耐力を持つ生徒は社会で通用します。本校では生徒一人ひとりを「自分で決められる男」に育てたいのです。

生徒同士のぶつかり合いもすべて成長のチャンス

 これからの社会では、思考力や表現力、判断力、自主性や多様性、協働性が求められます。自主性は自分で選び動くことであり、本校の目指す教育そのものです。

 入学前、保護者の方から「うちの子は変わっているんです」という相談を受けることがあります。そのとき、「大丈夫です。240人、全員違いますから。この集団で目立つのはむしろ大変ですよ」と言うと、みなさん安心されます。

 中1の副担任をしていた時、ある生徒から相談を持ちかけられました。私のクラスの生徒とこの生徒は、同じクラブに所属しており、当初から小競り合いをしていたようです。こういう時は、二人に話し合いをさせるとたいていの場合はお互い認め合うのですが、この二人はとても頑固。最終的には謝罪しましたが、そこにたどりつくまでにかなりの時間がかかりました。しかし、本当に大事なのはその後です。教員が間に入って、表面上だけ取り繕うことは意味がありません。仲が悪くてもいいのです。互いを排除するのではなく、同じ空間の中でどう接するかを、この生徒達は身につけなければなりません。その点で、このぶつかり合う時間はとても良い経験となります。

 その後もその生徒達を見守ってきましたが、二人ともきちんとクラブを続けているのでホッとしました。この生徒達は、もう大丈夫。次に同じことがあっても、自分達で対応できるだろうと思いました。生徒達の成長は経験の積み重ねです。

 年齢が上がると「いろんな奴がいる」という多様性を肌で感じられるようになり、人は人、自分は自分ということを学びます。他者を排除するのではなく、次第にちょうどいい距離感を見つけることができるようになるのです。いろいろな個性を持つ生徒がいる多様性のなかで、どうやって自分の生活を作り上げていくのか。学校生活のすべてが、現在求められている多様性に対応できるものだと感じています。

生徒の自主性に任せたら教師も知らない発見があった

 現在、生徒会の生徒達は本当にいい流れをもって活動してくれています。他の生徒達には「自分達のためにやってくれている」という雰囲気があり、温かな協力態勢ができています。

 例えば本校には、「応援委員会」がありますが、これは10年ほど前、当時の生徒会会長の「応援団を復活させたい」という熱意が現在につながったものです。

 この生徒が当時、自分達の代で応援団を復活させましたが、自分達の代で終わっては意味がないと考え、ある活動を始めました。応援団の演技ができるまでのDVDを作り、「人の応援をすることの楽しさ」を全校生徒に見せて伝えたのです。その結果、先輩の意志を受け継ぐ後輩達が現れ、この応援団の演技は現在、体育祭の目玉の一つになっています。

 次世代へバトンを渡していくという発想は今の生徒達にも継承されていて、中長期的な視点を持つ力を身につけてきています。

 現在の生徒会の生徒達に「学校紹介DVD」の制作を依頼したら、「わかりました!」と二つ返事で引き受けてくれました。でき上がったものは本当に傑作で、25分間もある力作なのですが、実は最初は50分間もの大作でした。保護者にも大評判だったので、次回作もお願いすると、生徒達はすでに次の手を打っていました。講習会を開き、後輩に自分達が作ったVTRを見せて、撮影時の苦労や工夫、さらには動画の編集方法などを伝えていたのです。このDVDは学校説明会などでご覧いただけるので、ぜひ楽しみになさってください。

 生徒達が自分自身で動いていくというこの伝統は、今後も引き継いでいきたいですね。本校には「クラブも勉強もがんばる」という生徒達が多勢を占めており、この雰囲気が今の本郷を支えています。

佐久間 昭浩 (さくま・あきひろ)

[沿革]
1922年、「個性を尊重した教育を通して国家有為の人材を育成する」を建学の精神として中学校を開校。1948年の学制改革にともない、中学校を高等学校と改称。1988年に中学校を再開し、「文武両道」教育を促進する。2008年に人工芝のグラウンドが完成。2012年の多目的ホールなどを擁する4号館に続き、2014年にはラーニングコモンズや図書館、講堂のある2号館が竣工し、90周年記念行事の一環としての新校舎事業がすべて終了した。

(この記事は『私立中高進学通信2016年6月号』に掲載しました。)

本郷中学校  

〒170-0003 東京都豊島区駒込4-11-1
TEL:03-3917-1456

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