私立中高進学通信
2016年6月号
アクティブラーニングで伸ばす新しい学力
八王子学園八王子中学校
新始動の『探究ゼミ』
能動的な学びが当たり前の授業に
多様な個性を尊重できる人物の育成のために

「ディベートなどで意見を述べ合うことが、“言い合い”になってしまうこともあります。
そういった経験を通じて他者の多様性を受け入れ、調整能力やコミュニケーション能力が磨かれていくのだと考えています」
と吉村先生。
調べ学習の積み重ねを『探究ゼミ』へと発展

2016年度から『八王子中学校イノベーション』と銘打った教育改革に取り組んでいる同校。実践的な英語力や創造力、コミュニケーション能力の育成、異文化理解などをその目的として掲げ、新時代へと一歩踏み出す内容となっています。
なかでも注目すべきは『探究ゼミ』です。大学のゼミのようなスタイルで、1学年を5〜6つのゼミに分け、生徒自らが課題を見つけ、調べ、学び取り、発信する力を養うプログラムです。
同校は、長らく調べ学習や、プレゼンテーション、ディベートといった「能動的な学び方」に取り組んできました。これまではロングホームルームや放課後で行っていましたが、2016年度からはこれをさらに発展させ、『探究ゼミ』として正規の時間割に組み込んだのです。
『探究ゼミ』がユニークなのは、各学年の教員がゼミごとに1人ずつ担当に就き、専門分野を活かす点です。探究する課題の「大テーマ」は、「八王子」「オーストラリア」など学年ごとに設定しますが、探究の切り口となる「中テーマ」は「産業」や「歴史」など担当教員の専門によって割り振ります。生徒はそれぞれ異なる「小テーマ」を自由に決め、生徒同士で情報交換したり、意見をぶつけ合いながら探究を深めていきます。
「例えば私は日本史が専門なので、歴史を中テーマにする予定です。教科書では学べない内容まで踏み込んで、社会科以外の教科の歴史的な部分を取り上げても良いと思っています。ほかにも、生物の教師が担当する生命倫理がテーマの『探究ゼミ』もあります。このゼミは生と死について深く、広く学ぶ機会となるでしょう。将来、医療の道を志す『東大・医進クラス』(2016年度新設)の生徒たちにはぜひ受けてもらいたいです」
(募集広報部長/吉村昌輝先生)

また、『探究ゼミ』では、中1は「調べる」、中2は「話す」、中3は「書く」と学年ごとに育てたい力を明確に定め、細かなフォローでじっくりと指導していきます(表組参照)。
「社会に出てからも自分の考えを相手に伝える手段として話したり、書類にまとめたりという能力が求められるでしょう。そのためにも“調べる・話す・書く”を中学校時代からしっかりと身につけられるように万全の体制で指導していきます。少人数制なので、きめ細かな対応ができるのもゼミの利点です」
能動的な学びのすべては学園モットーにつながる
同校は創立以来、一貫して『人格を尊重しよう 平和を心につちかおう』を学園モットーに、人間教育の伝統を重んじてきました。『探究ゼミ』をはじめとした教育改革の目的もそこに通じていきます。
「『探究ゼミ』は、多様な個性の尊重と答えのない問いを考えることを大きな目的としています。この社会には多様な個性や国が存在することを知らなければ、他者を認め、尊重することはできません。また、世の中には答えの出ない問題、一通りでは解決できない問題がたくさんあります。学びを通じて多様な個性を認め、本校がめざす主体的に考え行動する人間を育むのが私たちの願いです」
2016年始動 八王子中学校イノベーション
Column001探究ゼミ

調べる・話す・書くための高度なスキルを習得する
クラスに関係なく、興味あるテーマを選んで参加するゼミ講義型のプログラム。自ら課題を見つけ、自分なりに調べ、答えを出していきます。担当教員の細かなフォローで基本的な調べ方や共感される話し方、書き方を習得。生徒同士で意見を戦わせる体験もしながら、多様な価値観を学びます。
Column002ICTツールの導入で時間を捻出

タブレットや電子黒板で授業が効率的に
同校では新中1生から生徒全員がタブレットを所有。電子黒板との共用により授業の効率化を図っています。これは『探究ゼミ』で培った「能動的な学び方」をほかの授業でも当たり前にするため。無駄を省いて、通常授業でもプレゼンテーションやディベートなどを積極的に行っていきます。
Column003実践的な英語力を獲得

ネイティブの外国人の先生と日常的に会話
英会話の授業は1クラスを3分割して少人数で実施。授業以外でもネイティブの先生と日常的に英語でコミュニケーションを取り、英語を使うことに対する抵抗感を取り除いています。将来的には英語で他の教科の授業を行うことも計画されています。
Column004中3でのオーストラリア語学研修

英語でプレゼンテーションするのが目標
『探究ゼミ』で地元の八王子や修学旅行で訪れる京都・奈良・広島について深く学んだ生徒たち。この学びを活かしてオーストラリア語学研修で、日本について現地の学生にプレゼンテーションするのが目標です。語学研修は価値観の違いなど世界の人たちの多様性を知るきっかけになります。
(この記事は『私立中高進学通信2016年6月号』に掲載しました。)
八王子学園八王子中学校
〒193-0931 東京都八王子市台町4-35-1
TEL:042-623-3461
進学通信掲載情報

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