私立中高進学通信
2016年4・5月合併号
Teacher's Lounge 先生たちの座談会
日本工業大学駒場中学校
難関校への合格率が大幅UP
楽しんで学ぶ「体験学習」が学力向上の秘密
生徒と学校が飛躍し続ける注目校!

――貴校が、生徒一人ひとりの大学卒業後も見据えて取り組んでいるキャリア教育について、お聞かせください。

中学入試広報/社会科担当「勉強以外にも生徒が輝ける場所をたくさん提供したい。通うことが楽しくなる学校づくりを心がけています」
増田先生
本校のキャリア教育は、変化の激しい現代社会において、自分の中での「ぶれない軸」を見出し価値観を作り上げることや、社会に出るにあたり必要不可欠であるコミュニケーション能力を身につけ、問題解決力を育むことに注力しています。特に中1から高1までは、内容も「演劇コミュニケーション*」や「デザイン・シンキング*」など、楽しんで取り組めるものが多いと思います。自主性を引き出し、自己肯定感を醸成することを大切にしています。
溝田先生
生徒を導くために、私たち教員は一人ひとりの日々の成長をしっかりと把握しなければなりません。中1・中2で取り組む『ファイトノート』はその時に効果を発揮します。このノートは、家庭学習を習慣づけるための本校オリジナルの教材ですが、一日の振り返りのページもあり、生徒と教員の交換日記の役割も果たしてくれます。
宮久保先生
生徒と一対一の時間をとるようにも心がけています。とにかくよく話をします。

中2担任/英語科担当「英語で自分を表現する力を身につけてほしいと思い、レシテーション(暗誦)コンテストを開催しました」
溝田先生
あとになって生徒から「先生にあの時かけてもらった言葉が、心に残っている」と言われることがあります。
藤森先生
誰かに気にかけてもらえているという事実は、生徒にとって「自己肯定感」につながっていきます。
堀口先生
日々のコミュニケーションを通じ、教員と生徒の間で信頼関係をしっかりと結んでいきます。生徒がより力を発揮できるように、私たち教員も生徒に対し強い信頼感を持って、常にポジティブに、期待をかけながら接しています。
藤森先生
勉強して大学合格を勝ち取る以外にも、日々の学習で得ることはたくさんあります。特に大学受験を終えた生徒には本校の生徒である最後の日の3月31日まで、それらにたくさん気付いてもらえるように、伝え続けることを心がけています。
――「自主性」というキーワードも出ましたが、自主性を高めるため、各教科では具体的にどのような取り組みをされていますか。

高3担任/理科担当「少しの機会やヒントを与えるだけで、創造する力を発揮できる。生徒の力にはいつも驚かされます」
宮久保先生
理科の授業では、実験の頻度が高くなるようにしています。原理を学び知識を集め、正解を知ることは大事です。けれどもそれ以上に、実験を通じ「自分なりの答え」を導き出すことこそが大きな学びになります。なぜその答えに到ったのかをまとめ、みんなに対して発表する。45分間という短い時間でそれらを行うことはとても大変ですが、がんばってみんな取り組んでいますよ。
堀口先生
実際に体験することは、生徒たちにとっては「楽しいこと」なんですよね。ICT教育も積極的に取り入れ、例えば社会科であれば、世界地図や資料をプロジェクターで投影し、そこに情報を書き込みながら授業を進めます。視覚から飛び込んだ情報はインパクトがあり、ダイレクトに記憶に残ります。
溝田先生
英語科では、この1月に英語特別教室「Communication Lab」が完成しました。グループワークがしやすい「アクティブ・ルーム」と、海外のリビングをイメージし暖炉やソファーを配置した「リラックス・ルーム」で構成されています。
――学校内であることを忘れてしまうような、素敵な教室ですね。
増田先生
リラックス・ルームは、本校のカナダ留学プログラムでのステイ先をイメージし、その疑似体験ができるようにと設置しました。楽しみながら英語に触れる空間にしようと、英語科の教員が中心になって考えたのです。さっそく生徒がネイティブ講師のリチャード先生とゲームを楽しんでいましたよ。
溝田先生
カナダ留学の引率では、現地で生徒が問題に直面した際に、手を差し延べたい気持ちをこらえ「それを伝えるべき人に、英語で伝えなさい」と指導します。グローバル社会では、自己主張が大切なスキルの一つです。留学中にぜひ、そのスキルも身につけてほしいと思いました。
宮久保先生
実地で行う体験学習といえば、新潟県の赤倉で実施するサマーキャンプもあります。2015年はキャンプ体験に加えて、近くの池の『水生生物調査』と、裏山の土の『土壌生物調査』を取り入れました。
増田先生
キャンプ中にそれらについてレポートをまとめ、発表します。
溝田先生
質疑応答が盛り上がりましたね。みんなプレゼンテーションが得意になってきているなと感じました。
宮久保先生
最初は「虫が気持ち悪い」と怖がっていた女子生徒たちも、最後は楽しそうでした。夜の星空観測会も思い出に残っているようです。

中3担任/社会科担当「本校の『面倒見の良さ』とは、生徒が自分の力で羽ばたいていけるように導くことです」
堀口先生
社会科では「生きる力」を身につけてほしいという思いでカリキュラムを策定しています。学習で終わらせるのではなく、それを糧に実際の生活に活かしていけるように、模擬裁判をしたり、模擬投票をしたり……。キャリア教育でも、東京証券取引所と連携し『ブルサ』という株式投資のシミュレーションゲームも行いました。
溝田先生
本校には産学連携の取り組みがほかにもあります。
宮久保先生
2010年から鹿島建設株式会社の協力を得て、校内でミツバチの飼育をする『日駒ニホンミツバチプロジェクト』が始まりました。昨年は敷島製パン株式会社主催の「『ゆめちから』栽培研究プログラム校」に任命され、小麦粉の栽培にもチャレンジしています。ハチミツとパンで商品開発を考えています。
――机に向かって学ぶだけではなく、体験を通じて、そこから答えを導き出す取り組みが多いのですね。

大学進学支援室長/社会科担当「個性を尊重した指導はしますが、社会生活の基本や人として大切なことは誰にでも厳しく指導し、身につけさせるようにしています」
藤森先生
中学では特に、学んだことを生徒にアウトプットまでさせる内容が多くなっています。
増田先生
ものづくり精神を育んできた100年以上の歴史がありますので、「体験を大切にする」という校風が根付いているのだと思います。
堀口先生
生徒たちは体験を通じ、自分の興味・関心を発見します。そして、進路を選択する際には、生徒と教師が議論します。
藤森先生
生徒をよく見る。生徒とよく話す。生徒の良いところを見つけるのは、本校が得意とする教育です。生徒にはその良いところをしっかりと伝え、そこがさらに伸びるように導いていきます。
増田先生
2008年に共学普通科を新設して8年が過ぎました。近年の取り組みにおける成果も着実に表れていますので、本校も次の段階に入ります。今までの伝統をベースに、新しいチャレンジを続ける本校で、多くの生徒に自分が輝ける何かを見つけてほしいと願っています。
※1 演劇コミュニケーション…演劇を通じ、自己表現や自己発見を促し、コミュニケーション・スキルを磨くプログラム。
※2 デザイン・シンキング…既存の概念を疑い、新しい発想で物事を生み出す思考方法。同校では、発想力を鍛える訓練プログラムとして取り入れている。


英語特別教室「Communication Lab」。
(この記事は『私立中高進学通信2016年4・5月合併号』に掲載しました。)
日本工業大学駒場中学校
〒153-8508 東京都目黒区駒場1-35-32
TEL:03-3467-2130
進学通信掲載情報

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