私立中高進学通信
2016年4・5月合併号
授業見聞録
共立女子第二中学校
理科・家庭科
約300㎡の校内ファームで土に触れ
収穫の喜び、食の楽しみを体験する

大学・短大も併設された広大な校地。
自然に恵まれた広々としたファームでの野菜の栽培や収穫の体験は、生徒たちの心も豊かに育てます。

母体である共立女子学園の「女性の社会的自立」という理念を土台に、同校では「人間としての価値」を身につけさせるため、情操教育に力を入れています。その取り組みの一つが、中1生を対象にした『ファーム教育プログラム』です。校内の旧校舎跡地に設けられた約300㎡の農園を活用し、理科と家庭科の時間を使って、さまざまな野菜を栽培します。
「食べることはごく当たり前のことですが、食卓に料理が並ぶまでには多くの苦労がともないます。特に野菜の栽培に関する苦労を経験することで、収穫の喜び、食べる喜びを感じてほしいと思っています。自分たちで野菜を栽培し、食べるという経験は、自立して調理に携わっていく生徒たちにとって、非常に重要であると考えています」(教頭/晴山誠也先生)
ファームでは春から夏にかけてキュウリやトマト、ナス、ピーマン、パプリカなどの夏野菜を、秋から冬はダイコン、サツマイモ、ホウレンソウなどを育てています。
「栽培や収穫の体験によって、『匂いが嫌いで食べなかった野菜でも、自分で育てたものを食べたら意外とおいしい』と好き嫌いを克服する生徒もいます。土の中にいる虫を平気で触る生徒を見て、苦手意識を持っていた生徒が興味を持ち始めることもあります。実地の体験だからこそ、生徒たちはさまざまな刺激を受けるのです」
ふだんは中1生の飼育栽培委員が中心となってファームの管理を手伝っていますが、夏休みには保護者がボランティアで草むしりを手伝うほか、JAや近隣農家の手も借りています。
「ファームを通して保護者や地域との結びつきが強くなったことも、ファームをやって良かった点です」
と、晴山先生は言います。
収穫した野菜は、生徒が持ち帰るほか、家庭科の調理実習や食育の材料として使われます。同校の食育は毎日2クラスずつ交代でランチルームにおいて実施されており、担当の管理栄養士からメニューや食材などについて詳しい説明を受けています。配膳やマナー、日本の文化としての食事のメニュー、季節の料理、世界の料理についても学びます。冬には、ファームでとれたダイコンを使った「なます」が正月料理として出されました。
「電子黒板など最先端の技術を取り入れながら、ファーム教育プログラムに代表される実際の体験も大切にし、知識と体験を結びつけて、生徒たちの学びをさらに深めていきたいです」



授業レポート
野菜の旬や種類などを学びながら種から手をかけて育てた野菜を収穫

11月末は、栽培してきた野菜の収穫期です。11月26日のこの日、理科の授業時間を活用して、ダイコン、サツマイモ、ホウレンソウ、シュンギクを収穫しました。ダイコンは、9月の中旬に生徒たちが植えました。種を5粒ずつ植え、芽が出たあとに間引きを行い、飼育栽培委員が水やりや雑草抜きをして大切に育ててきました。
同校の卒業生であり、農業指導をしてくださる平久保真紀子さんから、
「大根の首が太く、土から出た部分が長いものが大きく成長しています」
という説明を受け、収穫をスタート。ダイコンの次はホウレンソウとシュンギク、サツマイモを収穫します。
「サツマイモは、収穫してすぐは甘くないけれど、40日ほど熟成させると甘みが出てきます。この紅はるかという品種は、安納芋のようにねっとりとした甘みが出てきます」
最初はうまく抜けなかった生徒も、コツを聞いて、次々と収穫していきます。同じように葉が成長していても、大きな芋をつけたものもあれば、芋がついていないものもあります。生徒たちは土に触れ、野菜の成長を目の当たりにしました。
「女性はいずれ妻となり、母となり、家族の健康を守ります。野菜の旬を理解し、無農薬で育てた野菜には虫食いがあるのが普通であることなども知ってもらいたいと思っています」
この日、収穫したダイコンは各自2本ずつ持ち帰り、サツマイモは後日、焼き芋にして学年全員で食べました。青菜と残りのダイコンは食育の授業で使われます。自分たちが栽培した野菜を味わえるのも、ファーム体験ならではの醍醐味です。
(この記事は『私立中高進学通信2016年4・5月合併号』に掲載しました。)
共立女子第二中学校
〒193-8666 東京都八王子市元八王子町1-710
TEL:042-661-9952
進学通信掲載情報

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