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スクールポット中学受験版 - 首都圏学校情報検索サイト

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私立中高進学通信

2016年特別号

校長インタビュー

鷗友学園女子中学校

校長先生が語る思春期の伸ばし方

女の子ならではの成長段階を見極めながら
時期に合った能力を伸ばす未来志向の女子教育
吉野 明 校長先生

吉野 明 校長先生

“私もできる” という発見が女子の成長を促していく

貴校の先生方が日々、思春期を迎えた生徒たちと向き合うなかで、最も大切にされているものとは何でしょうか。

 例えば「9歳の壁」という言葉がありますが、9歳以降になると、男の子と女の子の発達段階には大きな差が生じます。その典型が抽象化能力です。男の子は比較的早くこの抽象化能力が発達するため、比例や割合といった抽象概念である数そのものを扱えるようになります。一方、女の子の “9歳” はコミュニケーション能力が急成長する時期であり、抽象化能力が伸びるのはまだもう少し先のことなのです。一般的に「男の子は算数が得意」と言われる一方、「女子には理系は難しい」などという理不尽なレッテルを貼られることがある要因は、この辺りにもあるでしょう。しかし、女子の発達段階に合わせて学習を組み立てることにより、「私もできる」という気づきを与えてあげることができます。これが女子校の最大のメリットで、結果として本校では大学進学者の文系・理系の割合がほぼ半々となっています。

“私もできる” という発見は、その後の成長に大きな影響を与えそうですね。

 私は毎月、その月に誕生日を迎える中1生を招いてお誕生日会を開催していますが、4月の段階で集まった15人中12人が「鷗友学園に入って数学がおもしろくなった」と言いました。その理由を聞くと「わかるから」と。中には自分の感情そのままに「 “わかる” ということはこういうことなんだということがわかった」と嬉しそうに説明してくれた生徒もいて、それがとても新鮮な言葉として私の心に響きました。ちなみに本校では、中1の理科は生物だけを行うカリキュラムになっており、身近な動植物の観察や解剖を通して理科が楽しくなる気持ちを育んでいます。物理や化学は、その後の抽象化能力が伸びる時期に取り組むことで、理科の奥深い世界に感動できるようになるのです。やがて湧き上がってくる「どうして?」という疑問も、「おもしろい」という素直な感想も、「もっとやりたい」という知的欲求もすべて「理科が大好き」という前向きなエネルギーになり、ひいてはそれが思春期に大切な自己肯定感の伸長や、自尊感情の向上にもつながっていきます。

3日に1度の席替えで自己肯定感が育まれる
吉野 明 校長先生

貴校で実施している女子教育の特徴の一つに、中1で行われている「3日に1回の席替え」と「1クラス30名の少人数制」があります。

 3日に1回の席替えをすると、3日に1回は隣の席に座った子から「こんにちは」と言ってもらえます。自己紹介もし合います。すると、「私はこのクラスの中で一人の生徒として認められている」という意識を持てるようになっていきます。これが自己肯定感につながる第一歩で、それまでの親子関係の中で「こうしなさい」と言われ続けてきた自分が、初めて自発的に “横の関係” を築いていく入り口に立ったと言ってもいいでしょう。小さなグループが固定化する前にいろいろなクラスメイトと話しをする機会を増やすことで、2~3週間もすると、誰もがどこかで必ず話をしたことがある、仲の良い30名の集団になっていきます。皆の前で発言しても、クラスのあちらこちらから「そうだよね」という共感を得ることができ、自信を持ってパブリックスピーキングができるようにもなります。こうしてクラスの誰からも「あなたは大切な仲間」と受け入れられている実感を持つことで、自己肯定感を高めながら、相手の存在も尊重できる思いやりの心が養われていくのです。

相手も自分も尊重できる思いやりの心は、貴校の教育の基盤にあるキリスト教による慈愛の精神から発せられる自然の行為でもあるようですね。

 そうですね。創立当時の校長であった市川源三先生が取り入れた「学習者中心主義」による教育は、それまでの教師中心主義からの大きな転換を図るものです。それはまた、市川の後を継いだ石川志づが、師である内村鑑三から受け継いだ、神の下に平等である子どもたちの能力を伸ばしていくという考えに立つものでもあると思います。本校では新しい時代を見据えながら一歩先を行く教育を展開する一方、『慈愛と誠実と創造』の校訓に基づいた一人ひとりの可能性を広げていく生活指導を行っており、その手厚さは昔も今も変わっていません。

最後に、未来を生きる子どもたちへのメッセージをお願いします。

 鷗友では最近「やるべきこと、やれることの先に、やりたいことがある」と生徒たちに言っています。「やりたいこと」ばかり捜すのではなく、まず「やるべきことをやろう」と一歩足を踏み出した時に、今のあなたが持っている価値観の枠が大きく広がっていくということです。自分には神から与えられた無限の能力があることを疑わず、自分の枠を超え、クラスの枠を超え、学年の枠を超え、学校の枠を超え、国境の枠を超え、「世界に飛び出そう」という意思を持った自立した女性に成長してほしいと思っています。

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