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私立中高進学通信

2015年12月号

校長が語る 思春期の伸ばし方

世田谷学園中学校

知性に慈悲と勇気を加えて
「智慧」を生む

海外を肌で感じる経験は貴重であり、カナダ英語研修旅行も「全員参加」にこだわって実施しています。行く前は不安に感じていた生徒も、現地でさまざまな刺激・体験を得ることで、満足感・充実感を覚えることができます。

海外を肌で感じる経験は貴重であり、カナダ英語研修旅行も「全員参加」にこだわって実施しています。行く前は不安に感じていた生徒も、現地でさまざまな刺激・体験を得ることで、満足感・充実感を覚えることができます。

挑戦する体験と感謝される体験が重要
山本 慈訓 校長先生山本慈訓(やまもと・じくん)校長先生

1965年、東京都に生まれる。中央大学理工学部物理学科卒業後、同大学大学院修士課程で学びながら、世田谷学園中学校高等学校にて非常勤講師として理科の授業を受け持つ。大学院修了後、桐蔭学園中学校高等学校教諭を経て、1993年より世田谷学園中学校高等学校教諭。2010年校長補佐、2011年副校長、同年8月に校長就任。

――子どもの成長過程において、「思春期」とはどのような時期ですか。

 親の庇護のもとで安心と安全が確保されていた状態から抜け出し、自分の力で生きようという欲求が芽生えてくる時期です。しかし、まだ発展途上の段階ですから、親に反抗したり、自信を失ったりすることもあります。そうした困難を一つひとつ乗り越えながら、自信を獲得していく大切な時期です。

――思春期の子どもにどのような働きかけを行うことが望ましいでしょうか。

 思春期の子どもは多感で、さまざまな葛藤も経験します。それだけに、豊かな感性を育む絶好の時期とも言えるでしょう。彼らの感性に働きかけるような、「健全な刺激」を与えることが重要です。

 本学園では、知識を積み上げるだけでなく、感性を磨く体験を重ねることを大切にしています。生徒たちが自分でハードルを設定し、目標に向けて果敢に挑戦できる経験や、感謝の心を自覚する体験をさせることが大切だと考えており、そうした機会を数多く用意しています。

――「感謝の心を自覚する」体験とは、どのようなものですか。

 ボランティア体験学習もその一つです。本学園では、中学2年で、高齢者や障がい者の福祉施設などに行ってボランティア活動を行います。そこで彼らは、たとえば施設の方々から「ありがとう」と言われる経験をします。それは、自分も人の役に立てるのだということに気づき、自分の存在価値を自覚することができる貴重な機会となるのです。

 人から「ありがとう」と言ってもらえると、そのことに自分自身も「ありがたい」と思えるものです。謙虚な気持ちになり、家族や先生、友人などに知らず知らずのうちに助けられていることに気付くようになります。感謝は、慈悲や勇気の「種」であると私は考えています。知性に、こうした慈悲や勇気が加わることで、生きる力、人間力のもととなる「智慧」が生まれるのです。

十代のうちに五感で海外を感じ取る

――生徒の人間力を向上させるために、どのような取り組みをされていますか。

 ボランティア体験学習、広島への修学旅行を軸とした平和学習、カナダ英語研修などの活動に加え、日頃から行っている「生き方」の授業も、本学園の大きな特徴だと言えます。

 仏教・禅を「生き方」教育のベースとしている本学園では、日頃から、坐禅や写経に取り組んでいます。迷いや悩みの多い思春期の真っ只中にいる彼らにとって、我欲のとらわれから自分を解き放ち、心身ともにスッキリすることができる坐禅や写経は、非常に意義深い時間になっていると感じています。こうした時間を通して、生徒は自己を見つめ直すとともに、他者を思いやる感性を育むことができているのだと思います。

――異文化体験プログラムにも力を入れていると聞きました。

 最近は、内向き志向の若者が増えていると聞きますが、グローバル化が進む社会において、国際的な視野と感性を育み、国際人としての意識を持つことが重要です。

 本学園では、4年生の夏休みに12日間のカナダ英語研修を、全員参加で行っています。希望者だけにすることも可能ですが、多感な十代のうちに、五感で海外を感じて、その楽しさや充実感を体験することは極めて重要だと考えています。多様な人々と互いに違いを認め合い、理解し合うというグローバル社会の原点を、頭だけでなく、からだと心で学ぶこの体験は、将来、海外留学や世界で働くことのハードルを下げてくれることになるでしょう。生徒たちには、臆さず、積極的に海外に進出し、活躍してほしいと願っています。

愛情に満ちた言葉で励まし続けてほしい
思春期の成長に必要な体験
  1. 自分で目標を定めて挑戦する体験
  2. 感謝の心を自覚する体験
  3. 五感で異文化を感じ取る体験

――思春期のお子さんを持つ保護者に、子育てのアドバイスをいただけますか。

 しつけの3原則は「あいさつの励行」「元気な返事」「履き物をそろえる」だと言います。気持ちの良いあいさつは、お互いの魂を開くカギとなりますし、元気な返事は活力を生みます。そして、履き物に気配りすることは、心を調えることにつながります。どれもごく当たり前のことですが、そうしたことを一つひとつきちんとこなすことで、自分を律することができ、苦境において踏ん張りが利き、いざというときに底力を発揮できる人間に成長できるのだと思います。

 子どもは生まれてきてくれただけで百点満点です。子育てで最も大切なことは、親が子に「愛している」というメッセージをしっかりと送ることです。成績が思うように伸びず、子どもが悶々としていれば親もつらくなります。しかしそれは子どもの成長にとって大切な時間です。だから、親はどんと構えて、子どもがその時間と向き合い、乗り越えられるように、たとえ厳しくても愛情に満ちた言葉で励ましていただきたいと思います。親から愛情深く励まされた子どもは、苦難に粘り強く立ち向かい、高い目標にも果敢に挑戦できる人間になるはずです。

坐禅を通して心身の調和を図る
12月1〜8日の「臘八摂心」(ろうはつせっしん)では、例年600人もの有志の生徒・教員が参加して早朝坐禅会が行われます。

“ZEN”は世界でも注目されています。週1回の早朝坐禅会(希望者)をはじめ、坐禅が体験できる同学園。姿勢と呼吸を調え、何事にも執着せず、ただひたすら坐り続けることで、おのずと心も調います。坐禅の後、生徒の多くが、「身も心もスッキリした感じがする」と言い、清々しい表情を見せます。入学後初めて坐禅を経験する生徒も回を重ねるうちに、坐禅によって心静かに集中することの意義を実感するようになります。

(この記事は『私立中高進学通信2015年12月号』に掲載しました。)

世田谷学園中学校  

〒154-0005 東京都世田谷区三宿1-16-31
TEL:03-3411-8661

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