私立中高進学通信
2015年11月号
未来を生き抜く学力のつけかた
神田女学園中学校
生徒自身で考え
一人ひとりに適した進度で学ぶ
『KANDAラーニング』

脳を活性化して視野を広げ、グローバルに活躍できる人物を育てたい。
そんな思いから、同校では英語教育にも力を入れています。
形式にとらわれず脳を活性化させる授業を
近年、2020年度以降の大学入試改革を見据え、アクティブ・ラーニングに力を入れる学校が増えています。しかし、グループ学習を行うだけで生徒の考える力は伸びるのでしょうか。そんな疑問を抱き、アクティブ・ラーニングを再定義したのが同校の『KANDAラーニング』です。
「アクティブ・ラーニングの本質は、生徒の脳をアクティブな状態にすることです。本校でも『プロジェクト学習』というグループワークは行っていますが、通常の授業でも生徒の脳を活性化し、主体的に考える力を養えるはずです。そう考え、新たな授業スタイルへの挑戦を始めました」
(入試広報室長・外国語科主任・グローバル教育担当/伊守勇治先生)
入試に強い学力重視のアクティブ・ラーニング
こうした考えのもと、同校では新たに二つの授業スタイルに取り組んでいます。一つは、教員が説明する前に生徒自身で問題に取り組み、わからないことを洗い出してから説明を聞くという授業形式です。
「先にわからないことや課題を見つけ、そのうえで授業を進めると、生徒は疑問点が解決され『わかった!』と理解できます。さらに演習を行うと、よく理解してから解くので『できた!』となります。『自分は何がわからないか』を客観的に知ることが、考える力を育てるのに重要なのです」(教務部長・国語科主任/小堀美和先生)
「理科も同様です。今までは実験器具を教員がそろえ、手順を説明してから実験に臨みましたが、それでは教師の手順を真似して終わりです。そこで必要な器具や手順も、グループごとに考えさせる授業にシフトしました。また、高3の授業では問題を解いてみてわからない項目は、生徒が自分で調べて解説を書くよう指導しています。みんな黙々と机に向かっていますが、脳は活発に動いているのでこれもアクティブ・ラーニングです。『アクティブ・ラーニングを取り入れると授業が進まないのでは』と危惧する保護者もいらっしゃいますが、『KANDAラーニング』なら学力を落とさないと自負しています」(理科・グローバル教育担当/池田幸代先生)
もう一つは、演習の時間を増やし、一人ひとりの進度に合わせて学習を進める授業形式です。
「わからない生徒をせかさず、わかっている生徒を待たせない演習を心がけています。授業では、以前の復習にあたる演習、通常の授業、授業内容の演習という流れで学習を進めます。理解の早い生徒はどんどんプリントを進め、理解に時間のかかる生徒は教師や周りの生徒がサポートすることで、習熟度に合った演習を行うことができます」
(伊守先生)
二つの授業スタイルを通して社会で必要とされるグローバルな視点も養いつつ、まずは大学受験に必要な力を育てたいと伊守先生は語ります。
「保護者のみなさんが安心できるよう、大学入試改革を見据えた授業を行うことも本校の大事な役割だと考えています。大学入試がどのように変化しても、それに対応できるよう、確かな学力を養っていきます」
未来を生き抜く
問題発見力
教師の説明を聞くと、わかった気にはなるものの、問題は解けない……。そんなことのないよう、『KANDAラーニング』では「自分は何がわからないのか」という課題の発見を重視しています。説明を受ける前に、まず問題を解き、わからないポイント、つまずいた問題を認識するのが第一歩。そのうえで解説を聞くので、常に自分自身で考える状態が持続し、理解度が深まります。
グループワークによる『プロジェクト学習』でも、問題発見力を養っています。
「最近ではグループで各国の大使館を訪れ、生徒たちが抱く疑問について取材しました。対象となる国について学ぶのはもちろん、大使館への行き方を調べたり、質問したいことを挙げたりするのも、すべて生徒が自発的に行いました。生徒の主体性に任せると、自ら問題を発見し、新しいことにどんどんチャレンジするので驚かされます」(池田先生)


未来を生き抜く
聴く力
視野を広げるには、自分の意見を一方的に発信するだけでなく、相手の意見を受け止めることも大切です。同校では、聴く力を重視し、他の生徒の発表を聴く際は、途中で意見を挟むことなく静かに傾聴するよう指導しているそうです。
「人の話を聴くことは、多様性への寛容にもつながります。話し合いをするには、『そういう意見もあるのか』と相手の言葉を聴く姿勢が大事。これがグローバル社会で生き抜く力の育成につながると信じ、生徒に対して日常的に指導しています」(伊守先生)


未来を生き抜く
実行力
日々の予定を自分で管理するため、中学生は『生活記録ノート』、高校生は『ライフノート』を持ち歩いています。その日なすべきこと、宿題をメモするほか、検定試験に向けてどのように勉強に取り組むかなど長期的な計画も記します。中学では、生徒一人ひとりに対して継続して学習指導を行う『学習コーチ』の担当教員がつくため、指導を受ける際に必ず持って行き、勉強計画を立てるのに役立てます。
「このノートを活用して、計画、実行、チェック、対策というサイクルをつくり、自己管理能力、実行力を育てることが狙いです」(小堀先生)


高校生が使う『ライフノート』。自分で学習計画を立て、実行します。
未来を生き抜く
諦めない力
今後の人生では、大きな問題に直面することもあるでしょう。そんな時、必要となるのが諦めない力です。
「例えば国語のテストでは、記述問題に苦手意識を抱き、最初から諦めてしまう生徒もいます。こうした苦手を克服させるため、高2ではグループに分かれて評論を図式化して解説する授業に取り組みました。意見の発表や討論を繰り返したことで、記述問題の解答率もアップ。こうした積み重ねの結果、『こう話せば相手に伝わるのだ、とわかるようになりました』と語る生徒もいました。壁にぶつかった時には、まっすぐ進むだけではうまくいきません。多角的な視点を持ち、視点をずらすことで、諦めずに困難を乗り越えてほしいですね」
(小堀先生)
(この記事は『私立中高進学通信2015年11月号』に掲載しました。)
神田女学園中学校
〒101-0064 東京都千代田区神田猿楽町2-3-6
TEL:03-6383-3751
進学通信掲載情報

PICK UP!!
紹介する学校
- 学校の歴史を彩る 4校合同の姉妹校親睦球技大会聖ヨゼフ学園中学校
- 徹底したマンツーマンの英語研修で豊かな国際感覚を身につける関東学院中学校
- しなやかな感性を育み人間力を養う芸術鑑賞会星野学園中学校
- 自分たちで作り上げるからこそ最高の思い出になる 昌平ならではの「祭」昌平中学校
- 哲学対話 正解のない対話を通じて自ら問いかけ考える力を養う開智日本橋学園中学校
- ISAプログラム 留学生との交流で英語力を徹底強化専修大学松戸中学校
- 未来に生きる子どもを育てる 伝統の大妻教育とグローバル教育の融合大妻中野中学校
- 土曜プログラム(コアプログラム) 発達に応じた多彩なテーマで「21世紀型スキル」を磨く田園調布学園中等部
- 未来への船出!生徒たちを明るく包む新校舎文教大学付属中学校
- 世界標準の英語教育 オックスフォード大学が称賛「西武台式英語」の実力西武台新座中学校
- 英語教育 「アウトプット活動」を重視し思考力と表現力を鍛える啓明学園中学校
- 中・高ブロックフレーテアンサンブル部/剣道部学習院女子中等科
- スポーツに芸術に充実の施設でクラブ活動に打ち込む!城北中学校
- もっともっとうまくなって日本中の人に音楽を届けたい!日本学園中学校
- 多様化する社会を生き抜く力を育むゆったりと開放的な校舎十文字中学校
- 蔵書数8万冊を誇る自慢の図書館は好奇心を満たす知的空間佐野日本大学中等教育学校
- 中学3年間のスクールランチで食の大切さと知識がしっかり身につく東京家政大学附属女子中学校
- スペインから伝わる歴史と伝統 建学の精神が込められた気品あふれるクラシカルな制服光塩女子学院中等科
- 自分を表現し考えて判断する力を養う伝統の自由服恵泉女学園中学校
- 生徒の可能性を広げる 進化する未来型教育と変わらない温かく見守る目佼成学園中学校
- 理数教育に力を入れグローバルに活躍する人材を養うMGSクラスを新設明星中学校
- 男子の知的好奇心を刺激し学習意欲を高めながら未来へと導く授業改革足立学園中学校
- きめ細かなプログラムで確かな学力と語学力を育み自ら考えて判断し発信できる能力を養う淑徳中学校
- フィールドスタディに重点をおき自ら考え行動するための「発信力」を養う藤村女子中学校
- 生徒のやる気を高め理解を促すタブレットの活用京華女子中学校
- 生徒自身で考え一人ひとりに適した進度で学ぶ『KANDAラーニング』神田女学園中学校
- 日々の生活と連動した実学の学びが社会で生きる力を育む自由学園(男子部・女子部)中等科
- 次世代に先駆ける先進的な教育活動 ニュージーランド語学研修を終えた中3生が語る実践学園実践学園中学校
- 1年生の3人が希望するコースの授業内容や学校の魅力を紹介文京学院大学女子中学校
- グローバルイングリッシュプログラムなど魅力あるカリキュラムを通じて生徒の自主性を尊重春日部共栄中学校
- ネイティブ講師による英語力アッププログラム三輪田学園中学校
- グローバルな社会への貢献を考え自らのキャリアデザインを描ける人へかえつ有明中学校
- 人間の尊厳のために「英語の純心」のユニバーサル教育東京純心女子中学校
- 理工系教育と中高大連携強化で科学技術の最前線をめざす芝浦工業大学附属中学校
- イングリッシュ・キャンプで 「コミュニケーションをとりたい」という気持ちを成長の源に日本大学第一中学校
- スモールステップで経験を積みながらグローバル社会に必要とされるコミュニケーション力と発信力を養う京華中学校
- “生きる力” を引き出すイギリス語学研修帝京大学系属帝京中学校
- 苦労を糧に、凛とした強さを育む 国際社会を生き抜く国際理解教育千代田国際中学校
- 「使える英語」を駆使し多様な人々と協働できる女性に麴町学園女子(麹町学園女子)中学校
- 創造性と起業家精神を育む企業との商品企画プロジェクト瀧野川女子学園中学校
- 25年後の生き方にフォーカス 『人間力』の育成で学力が向上実践女子学園中学校
- 「自立と共生」をキーワードに未来を生き抜く力を育てる国学院大学久我山中学校
- 面倒見の良い教育で高度な専門性を持った自立を育む大宮開成中学校
- 「THINK & CHALLENGE!」の精神で難関大学合格も夢も叶える横浜翠陵中学校
- 大学付属校ならではの伸びやかな空気が思いを実行に移す行動力を育んだ明治大学付属中野八王子中学校


