私立中高進学通信
2015年8月号
Teacher’s Lounge 先生たちの座談会
城北中学校
満足度の高い6年間の入口
必ず自分の居場所を見つけられる男子伝統校ならではの中1の取り組み


数学科教諭。勤続2年目、中1生の担任は初めて。課外活動ではバスケットボール部の顧問を務めている。

理科教諭。講師経験を含め勤続6年目、中1生の担任は初めて。中学では生物部、高校では自転車競技部の顧問。
――中高一貫校では中1の序盤で学校になじめるかどうかが、その後の成長にも大きく影響すると思います。貴校は3分の1以上の生徒が6カ年皆勤賞を受賞するなど、たいへん満足度の高い学校として知られていますね。
東先生
入学式を終えた段階では、まだクラスによそよそしい雰囲気があります。ターニングポイントとなるのは、4月後半から5月にかけての『大町オリエンテーション』という行事ですね。
竹野内先生
学年を4班に分けて行う長野県の山荘での3泊4日の合宿行事です。ハイキング、班対抗の校歌コンクールなどを通じて、共同生活への意識、仲間意識を芽生えさせる。ここでクラスの結束力が一気に高まります。
海老原先生
これは“第2の入学式”とも呼ばれていますよね。
直井先生
まさに黄金の3日間ですよ。ここで学んでほしいのは“思いやり”の心。私は入学直後から、「城北の6年間でいちばん大切なものは“友達”だ」と生徒に話しますが、それも『大町オリエンテーション』を意識しての指導ですね。
竹野内先生
『大町オリエンテーション』を終えると、クラスのノリもかなり変わりますよね?
海老原先生
たしかに、だいぶリラックスしてきますね。オリエンテーションが終わる5月のゴールデンウィーク明けには、すっかりクラスのカラーが出てきます。
東先生
これは男子校ならではの特徴ではないでしょうか。小さなきっかけで、ものすごく打ち解けますね。
竹野内先生
私のクラスは、はしゃぎすぎる生徒もいますが、ハメを外しがちになるところをまとめ、抑える生徒も出はじめる。お互いの個性を尊重した役割分担が生まれるのも、中1前半の学園生活にとって、とてもいいことだと思います。
直井先生
入学してすぐの次なる大きな行事は、6月23日の合唱祭でしょうか。
海老原先生
こちらはクラス対抗の合唱コンクールなので、担任である私たちも、すごく力が入るのですよ。歌唱指導に当たってくれる音楽教師を、担任同士で奪い合うこともあるくらいです。
竹野内先生
合唱を通じて、パートごとの協力、クラス全員の協力、協力することでの思いやりの心が、ますます育ちます。
東先生
私は、校歌コンクールの後、合唱祭の練習でそれまでライバル同士だった生徒たちが一致団結して歌っていることに感動して、まだ本番ではないのに、恥ずかしながら泣いてしまったこともあります(笑)。
竹野内先生
さらに、中学特有の大きな行事としては、11月の『中学理科自由研究発表会』も重要ですね。これは、夏休みの自由研究で素晴らしい成果を挙げた生徒を各学年から選び、講堂で全中学生の前で発表させるもの。本校ならではの取り組みです。
行事が多い2学期は、体育祭があっても体育は得意じゃない、文化祭があっても中1では活躍の場が少ない……でも「勉強なら負けない!」という生徒にとって、自由研究をがんばることは、とても良い刺激になっています。
東先生
その発表を見る生徒のほうにも、刺激と新たな発見があります。中学生全員にとって、視野を広げるいい機会なのではないでしょうか。

英語教諭。勤続9年目、中1生の担任は2回目となる。ソフトテニス部と演劇部の顧問を務めている。
――クラブ活動も非常に盛んとうかがっています。そこで中1生が得られるものも多いことでしょうね。
東先生
それはありますね。中学生は全員、課外活動が義務づけられていますが、クラス単位での人間関係だけでなく、課外活動を通じての友人関係を築くことで、どこにでも自分の居場所があると感じられるのは、学園生活を充実させるための大きなメリットだと思います。
竹野内先生
それは、先ほどお話しした『中学理科自由研究発表会』の役割にも通じるものがありますね。
東先生
とくに本校は、中1の段階では、全てのクラブ活動の名前を言える生徒はいないかも知れないなと思ってしまうくらい、とても種類が多いので、何かしら興味を深めたいもの、自分にフィットするものを見つけられるのが良い。
直井先生
成績も優秀で、運動部だと水球、弓道、少林寺拳法部は全国大会の常連。中1から始めても高2、高3で国体出場レベルまで到達するので、高い目標に向けて一生懸命打ち込むことができるようです。
竹野内先生
文化部もラジオ部、化学部は全国レベルの賞を獲っています。私の担当している生物部もフィールドワークや標本作り、生物の飼育を通じて、自分の得意分野を発見していく生徒が多いです。
海老原先生
課外活動は、自分のことを心からわかってくれる教師、先輩、同輩と出会える自己表現の場。ただ、私が顧問を務めているソフトテニス部の生徒にもよく言いますが、課外活動で意識すべきは勉強とのバランスとメリハリ。限られた時間を有効活用し、最大の成果を得られる自分自身の体勢を作るようにと話しています。
東先生
私が指導するバスケットボール部のように高校でも継続する生徒が多いところは、中学時代から高校の先輩に対する礼儀や作法も磨かれますし、先輩から教わることは教員からよりもダイレクトに心に残る。素晴らしい経験ができています。

社会科教諭。勤続10年目、中1生の担任を担当するのは2回目。高校軟式野球部の顧問を務めている。
――その意味でも、中1は学園生活の基礎を形作る大切な時期。勉学面においても6年間を2年ずつに分けた「3期体制」により、中1は「基礎期」と位置づけられているそうですね。
東先生
はい。まず中1、中2の2年間で中学校の学習内容を全て終了させます。従って授業の進度も速く、自ずとレベルも高くなりますが、最も大事な英・数・国を中心に私たちも強化ポイントを設けてしっかりと指導することを意識しています。
海老原先生
私が担当する英語ならCDを聴きながらの音読と聞き取り、書き取りの小テストを繰り返し、さらにネイティブの教師による授業で生きた英語に触れさせる。英語に限らずどの教科も、生徒の体に学習習慣を身に染みこませる工夫を行っていますね。
竹野内先生
さらに理科では実験とレポートをメインに授業を組み立て、自分で考える力、それを人に伝える力を伸ばす学習を重視。実験は楽しみながらできますし、そこで得た結果を身の回りの出来事と結びつけることで、より生きた知識、深い知識を身につけられていると思います。
直井先生
社会科もそうですね。教科書の丸暗記ではなく実社会の時事問題にも踏み込んで、得た知識同士を結びつけて思考する力、体系的に学ぶ力を伸ばす授業を心掛けています。本校の中1は時事問題に関心のある生徒がとても多い。クラスでも時事問題に対する活発な質問や意見の交換が行われています。
海老原先生
中1の指導で私たちが最も重視しているのは、基本的な生活習慣と学習習慣を徹底的に身につけてもらうこと。クラス担任同士、教科担当同士の連携も、大事なポイントになっていますね。
直井先生
また、OBとのつながりが非常に強いのも本校の誇りです。教育実習生もそうですが、積極的にOBの声を聞くことで、6年間の学園生活への意欲向上にもいい効果が与えられている。「城北に来て良かった」と生徒が心から思える指導を、2学期、3学期と心掛けていきたいですね。
(この記事は『私立中高進学通信2015年8月号』に掲載しました。)
城北中学校
〒174-8711 東京都板橋区東新町2-28-1
TEL:03-3956-3157
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