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私立中高進学通信

2015年8月号

Teacher’s Lounge 先生たちの座談会

聖学院中学校

学ぶ楽しさを体感する聖学院の21世紀型教育
「思考力を育てる」プロジェクトで生徒に芽生える新しい学力

――「思考力を育てる」プロジェクトを行っていらっしゃるそうですが、どのような取り組みなのでしょうか?

本橋先生
一つには、3年前から入学試験に「思考力テスト」という新しい試験科目を導入しています。学校全体でも思考力を育てることに力を入れるようにしてきました。

伊藤先生
「思考力テスト」は、本校独自の入学試験科目なので、学校説明会で「思考力セミナー」という1時間ほどのワークショップ型授業を毎回実施し、事前に受験希望者に体験してもらえるようにしています。

児浦先生
「思考力を育てる」プロジェクトは、私たちを含めた教師が主なメンバーとなって進めています。きっかけは、当時の先生方が「より良い教科指導とは何なのか」を突き詰め、言語化する作業に取り組んだことが根本にあります。そうした中で「思考力テスト」を導入することになりました。

伊藤先生
受験学力とこれからの社会で求められている学力にはギャップがありますよね。社会に出て求められるのは、みんなでアイディアを出し合って、チームワークを作りながら困難を克服していく力やスキルです。そのギャップを思考力を育てることで埋めたいのです。もともとポテンシャルはあるのに、中学受験では力を発揮しきれず、でもその後どんどん学力が伸びる生徒もいます。そうした生徒にもチャンスを作りたいというのも受験科目に「思考力テスト」を導入した狙いの一つです。

本橋先生
普段の授業でも、思考力の育成を念頭に置いて指導を行っています。そのほか、学校行事でもチームワークやグループワーク、プレゼンなどを行う場面を意識的に増やし、生徒に考えさせるようにしています。

伊藤 豊 先生 高等部長。国語科教諭。テニス部顧問。変化を恐れずにチャレンジする「問いかけ」のプロ。伊藤 豊 先生
高等部長。国語科教諭。テニス部顧問。変化を恐れずにチャレンジする「問いかけ」のプロ。

――「思考力テスト」の導入に至るまでにはいろいろな試行錯誤があったのではないでしょうか?

伊藤先生
そうですね。どのような学校教育をしていくのかを模索していた時に、先生方の間でどんな教育をしたいのか、理想を話し合う機会を重ねるところからスタートしました。

児浦先生
教科担当者ごとの話し合いに加え、各教科の主任が集まっての討議も行ったのですよね。

本橋先生
その頃はいろいろなプロジェクトが同時に進行していました。担任主導だった進路指導を、もっと生徒一人ひとりを細かく指導するシステムに変える試みなどもそうですね。こうした取り組みが絡み合って、2013年に「学力伸長度ランキング」(週刊東洋経済)で全国男子校の第1位になりました。

本橋真紀子 先生 入試広報副部長。帰国生入試担当。数学科主任。テニス部顧問。中1生担任。生徒といっしょに楽しむことを信条とする。本橋真紀子 先生
入試広報副部長。帰国生入試担当。数学科主任。テニス部顧問。中1生担任。生徒といっしょに楽しむことを信条とする。

――先生方の普段の授業や学校活動などでの「思考力を育てる」取り組みについて教えてください。

本橋先生
心がけているのは、「問いかけ」の内容についてですね。ただ解き方、答えを教えるというのではなく、その問題に隠されている意図に気づいてほしいので、気づきを喚起するための問いかけを多くしています。良い問いかけをすれば、生徒たちは考えて発信してくれるので、それに対してまた問いかけをしてというように進めています。

 中1レベルの問題でグループワークをするのはなかなか難しいのですが、いろいろな問いかけをすることによって自分たちで解き方を探したり、調べたりすることが思考力育成の訓練になっていると思います。例えば、「直線って何?」「点って何?」というような、知っているけど厳密には考えたことがないことについて、考えるきっかけになるよう、よく問いかけています。

伊藤先生
私は、「思考力を育てる」プロジェクトが始まってから、授業のやり方をガラッと変えました。それまでは授業中の生徒のことをすべて管理しようとしていましたが、それを少し緩くして、生徒が思いついたことを発言できる雰囲気をつくるようにしました。その発言に私が答えたり、他の生徒が発言したり、そのうち生徒同士でのやり取りが展開していくというようになっていきました。これは非常に面白く、生徒たちの理解も深まりました。

児浦先生
問いかけは大事だと思います。私も数学を教えていますが、高校生を担当していますので、例えば数列だったら、おこづかいのもらい方などを例として、毎月もらえるのがいいか、お得だけど2カ月ごとがいいかというように生徒が興味を持って考えられるような発問をするようにしています。

本橋先生
私は自分が“楽しい”と思って授業に臨むようにしています。教員が楽しむと生徒たちにも伝わると思うのです。教師によってアプローチや発問のし方が違うのが当たり前で、問いかけや発問のやり方に絶対的なものはないと思っています。

伊藤先生
夏休みの宿題として、小説『羅生門』を題材に「悪に対して行われる悪は正当なのか?」という哲学的な問題を出したことがあるのですが、そういう面白い問題を出すと、生徒は夢中で考えてくれます。そういう時はやはり素直にうれしいですね。

児浦良裕 先生 入試広報部。21世紀国際教育部。数学科教諭。ゴルフ部、写真部顧問。同校の取り組みに感銘し、民間企業から教員に転職。児浦良裕 先生
入試広報部。21世紀国際教育部。数学科教諭。ゴルフ部、写真部顧問。同校の取り組みに感銘し、民間企業から教員に転職。

――先生方ご自身が楽しんで授業に臨まれているご様子が、ひしひしと伝わってきます。では、これからの「思考力を育てる」取り組みへの思いやお考えをお聞かせください。

児浦先生
先ほどの話にもありましたが、「問いかけ」は教師の中にあると思います。私は本校に来てまだ1年あまりですが、本校には興味関心のアンテナが高く、学びが好きで、何でも吸収してやろうという気概を持つ先生が多いと感じています。だからこそ、良い「問いかけ」ができるのだと思います。

伊藤先生
国語を教えるにあたって、いちばん良い問いかけは、私がわからないこと、疑問に思ったことをそのまま問いかけることですね(笑)。「思考力を育てる」ことを意識してからは、自分がわからない問題こそが最高の問題であると思っています。もちろん難しい問題にはなるのですが、試しにドキドキしながら生徒たちに問いかけてみると、驚いたことに私でも納得する答えを返してくれたりするのです。

児浦先生
本校は、生徒同士の付き合い方もオープンで、コミュニケーションを苦にしない生徒が多いですね。本校の教育はキリスト教がベースにあり、毎日の礼拝で言葉を聞いているのが素養になっているのではないでしょうか。このため、グループワークなどもうまくいきやすいのだと思います。そうした“聖学院らしさ”をこれからも活かし、伸ばしていきたいですね。

本橋先生
私が思う21世紀型の教育は、教師も一緒に考え、楽しみながら生徒が個性を発揮できるよう、生徒それぞれの良さを教師が積極的に引き出していくことだと考えています。

 今まで求められてきた学力は、教えられたことをどれだけ早くフィードバックできるかが重要でした。しかしこれからは、そういったことは少し苦手だけど、得意なこと、好きなことなら何時間でも話し続けられる、没頭できる、そんな生徒が社会で活躍する時代だと思います。生徒たちから学ぶことがとても多く、「なるほどね」と思わせてもらえることが日々楽しいです。

(この記事は『私立中高進学通信2015年8月号』に掲載しました。)

聖学院中学校  

〒114-8502 東京都北区中里3-12-1
TEL:03-3917-1121

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