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私立中高進学通信

2015年8月号

校長が語る 思春期の伸ばし方

女子聖学院中学校

子どもに対する信頼は待つことで築かれます

6学年縦割りで行われる伝統の運動会。下級生は先輩たちの背中を見ながら成長していきます。

6学年縦割りで行われる伝統の運動会。下級生は先輩たちの背中を見ながら成長していきます。

“ワガママ”ではなく“我がまま”であってほしい
田部井道子(たべい・みちこ)校長先生田部井道子(たべい・みちこ)校長先生

獨協大学外国語学部英語学科卒業後、女子聖学院中学高等学校英語科教諭。2012年から校長補佐、国際教育委員長の重責を兼務し、数々の学校改革を推進。2014年4月、校長に就任し、現在に至る。

――貴校の先生方は、思春期の子どもたちと、どのように関わっていらっしゃるのでしょうか。

 本校では「生徒一人ひとりが神様からかけがえのない賜物を与えられている」というキリスト教の考え方が教育の基本となります。その賜物を最大限に尊重し、「あなたはあなたらしくていい」という自己肯定感を、6年間の学校生活の中でどれだけ強く、しかもなるべく自然に育てていくかを非常に大切にしています。

 一人ひとりに与えられた賜物を具体化する機会が、学校行事であり、クラブ活動であり、学校生活そのものなのです。

 居心地の良い学校というのは、生徒たちが「ありのままの自分でいいのだ」と気づく機会が、日常の中にちりばめられている場所であると思います。今年で110周年を迎えた本校には、上級生が下級生をサポートしながら、成長へと導く学校行事がいくつもあります。ぜひその機会を通して、ありのままの自分の成長を確かめてもらいたいと思います。

――すべてを女子生徒だけで運営する、女子校だからこそ、個々の役割も明確になっている部分がある、ということもあるのでしょうか。

 そうですね。皆でそれぞれの賜物を出し合って、良い学年ができていくという考え方です。100人いれば100通りの多様な考え方があり、それが見事に結集したときの力は、それは素晴らしいものです。ただし、「人と違っていて当たり前」と主張しても、それが独りよがりになれば『ワガママ』です。『我がまま(ありのままの自分)』は神様から与えられた大切なものですが、 『ワガママ』には気をつけなければなりません。私たちはすべて人と人とのつながりの中で生きています。生徒たちには常に、「自分はどうあるべきか」ということを考えられる人になってほしいと願っています。

思春期の小さな爆発に蓋をしてはならない
創立110周年記念事業として開催された『オルセースクールミュージアム』。オルセー美術館所蔵の名作32点(実物大レプリカ)の解説ツアーを生徒たちが担当しました。創立110周年記念事業として開催された『オルセースクールミュージアム』。オルセー美術館所蔵の名作32点(実物大レプリカ)の解説ツアーを生徒たちが担当しました。

――思春期には迷うことも多くあると思います。そのような場面で、保護者を含めた大人たちはどのように接したらよいとお考えですか。

 思春期はそれこそ揺れて、迷っての連続だと思います。特に女の子の場合は、中学2年の時期になると自己主張が強くなる傾向がありますので、注意して見守ることが必要です。新しく中2の担任になる先生方に必ず、「覚悟してやってください」と一言伝えるのも、私が中2の担任をしていた当時の経験があるからです。

 しかし、蓋をしてくださいと言っているわけでは決してありません。むしろ私は小さな爆発であれば、どんどんさせるべきだと思っています。そこで無理やり蓋をしてしまうと、いったんはうまく収まるかもしれませんが、後で大きな爆発に発展することがあるからです。

 私は在校生のお母さま方との懇談の折に、「思春期の子どもたちの小爆発は当然のことなのだから、ちゃんと爆発させないとあとでとんでもないことになりますよ」と脅かします(笑)。身近な大人への反発は、自分が大人になるうえで必要な行動なのです。私たち教師も含めたすべての大人たちが、生徒たちの理解者になれるのかが問われているということでもあります。

子どもの成長のため待つことに徹する
思春期の子どもに大切なこと
  1. ありのままの自分でいいことに気がつく機会を与える
  2. 思春期にありがちな小さな爆発に蓋をしてはいけない
  3. 子どもを信頼して待つことを心がける

――生徒に向けられる先生方の眼差しが、一人ひとりの成長を支えているのですね。

 例えば入学式で、中学3年生には新入生のお手伝いをする役目が与えられています。中1生を連れて教室に行くときの中3生の誇らしげな表情が、その一つの答えではないでしょうか。入学したばかりの時は騒がしく、反発ばかりしていた生徒たちが、下級生の面倒を見ているのです。その姿に成長を感じずにはいられません。自分が信頼されて、その役目を与えられたことに応えようとする純粋な気持ちというのは素晴らしいものです。

 そのように成長した姿を見て、子どもを信頼するということは待つことに他ならないと私は思っています。昔から「這えば立て、立てば歩けの親心」と言うように、どうしても親は子どもに対して過剰な期待をしてしまうものです。しかし、そこはあえて待つ必要があるのです。仮に、親の期待に応えようと子どもが無理をすると、多くの場合が良い子を演じてしまい、それが自己矛盾につながり、出口が見えない環境の中でもがき、爆発してしまうからです。親としては辛抱のしどころですが、それはその子どもの成長の時を待つために乗り越えなければならない試練と捉えていただきたいと思っています。

自らの成長・経験を通して「語ることばをもつ人」に成長
祈りで始まる毎日の学校生活によってキリスト教の考え方が生徒に浸透していきます。祈りで始まる毎日の学校生活によってキリスト教の考え方が生徒に浸透していきます。

今年度のスローガンは『Be a Messenger』です。田部井先生は「語ることばをもつ人を育てます」という副題を付けました。

「神様から託されたものを、自らの成長や経験を通して外に発信していくことが、ミッションスクールとしての使命です。そのためにも子どもたちには守られているという安心感を与えることが大切で、神様はもちろん、親や教師も守ってくれているという環境の中で過ごす6年間は、非常に有意義な時間だと思っています」

(この記事は『私立中高進学通信2015年8月号』に掲載しました。)

女子聖学院中学校  

〒114-8574 東京都北区中里3-12-2
TEL:03-3917-2277

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