私立中高進学通信
2015年7月号
中1の始め方
品川翔英中学校
聞いて 話して 体を動かして
週4時間の「英語耳」をつくる授業

教員の発音した単語を聞いてスペルの穴埋めをする小テスト。
単語のスペルをやみくもに覚えさせるのではなく、初めは音と文字をしっかり結びつけます。
コース制の導入で個々の学力、特性を見守る
都市緑化復元計画「中学生が作る大井町自然再生観察園」が「緑の環境デザイン賞」で国土交通大臣賞を受賞するなど、特色ある理科教育で知られる同校は、2012年に創立80周年を迎えた女子教育の伝統校です。
2015年からはこれまでの習熟度別授業をやめ、難関大学合格を想定したPコースと基礎学習から始めるMコース、2つのコース制を導入。生徒個々の学力、特性に対応できる体制づくりを進めています。
先取りをしない完熟主義
きちんと積み上げ、授業で完結
同校の入試では「ものごとに対する興味や関心、意欲があるか」という点を重視し、入学後は感じたことを表現できる力を養い、生徒の学力を完熟させることをめざしています。
「勉強はとにかくきちんと積み重ねることが大切です。だから、一般的なシラバスにはとらわれません。小学校の勉強に戻ることが必要ならば、戻ってきちんとわからせます。わかってから次へ進めば良いのです。ちゃんとわかっていなければ考えることができませんから、考える力も身につかないのです。『今わからなくても、先に進めばわかるようになる』などということはありません。先取り授業よりも “生徒の学力を完熟させる授業” を行います。学習のサイクルとして予習・復習はもちろん大切ですが、やはり授業が勝負です。授業でわからせることが肝心だと考えています」(教頭/田中好一先生)
英語の授業で身につくのは英語だけではない
個々の生徒への対応を可能にするコース制とともに、言語特性と年齢(成長)に着目して英語耳をつくる、独自の英語教育もスタートしました。
あらゆる学問において将来的に英語力は必要になってきますが、同校が英語教育に力を入れる理由はそれだけではありません。
「日本語は表意文字ですが、英語は表音文字。音なくして成り立たない英語は五感に訴えるので、生徒の積極性を養うのにとても適しています」
田中先生は「おとなしくてシャイな生徒が多い」と言いますが、見学させていただいた英語の授業では受け身な生徒は見られず、みな積極的に参加していて楽しそうな姿が印象的でした。
週4時間のネイティブ授業
聞く・話すを重視し英語耳をつくる
同校の中1の英語の授業は週7時間。そのうち4時間が、15名以下の少人数クラスでのネイティブ教員による言語実践練習です。
10〜12歳は日本語の体系が身につき、日本語力が成熟し始めるころで、語学の習得に適しています。中学生の早い時期に集中的に耳と口の訓練を積むことが大切と考える同校の授業では、英語を聞き取る「耳」をつくるために「聞く、話す、聞く、話す」を繰り返し、ゲームを取り入れたり、芝居のようにやや大げさに会話をさせたり、生徒が飽きずに取り組めるように工夫を凝らしています。
週3時間の日本人教員の英語の授業では、音と文字を結びつけることや、英語のルールを学びます。スペリング指導をあまり急がず、基礎を固めることに重点を置いています。
中学生の間に、聞き取って発言ができるレベルに達することをめざし、ランチの時間にもネイティブ教員が同席し、英会話を楽しみながら食事をする機会も設けられています。
「英語を聞いてわかる」ようになったら、次は「テキストを読んで理解」できるように。そして、いずれは「英語のテキストを読み、自分の考えを発信する」ことができるようにする。こうして無理なくしっかり身につけた英語力は生徒たちにとってかけがえのない財産になります。
ネイティブ教員による中1の英語の授業
5月のある日の授業は単語探しゲームでスタート。黒板には英単語がたくさん書かれており、先生が発音したら、教室の後ろからダッシュしてきてタッチします。2チームの対抗戦に盛り上がりながらも、集中して先生の発音に耳を傾けていました。
続いて、ネイティブの先生も含め、相手を替えて繰り返し会話の練習。会話練習が苦手なクラスメートにはやさしく声をかける思いやりも見られました。ちょっとしたお芝居気分でみんな一斉にどんどん練習するので恥ずかしがっている暇はありません。
授業の締めくくりは、立ったり、座ったり、手を上げたり、下げたり……先生の指示に間違えずに従う勝ち残りゲーム。今日のチャンピオンは誰でしょう? 最後まで笑顔の絶えない明るい授業でした。



(この記事は『私立中高進学通信2015年7月号』に掲載しました。)
品川翔英中学校
〒140-0015 東京都品川区西大井1-6-13
TEL:03-3774-1151
進学通信掲載情報

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