私立中高進学通信
2015年4・5月合併号
母校にエール!OGOB interview
十文字中学校
昨年日本一に輝いたマンドリン部
その部での経験、友達や先生との絆が
社会人になって気づいた私達の宝物です
平成26年度全国高等学校ギター・マンドリン音楽コンクールでは、
全国1位の文部科学大臣賞を受賞しました。

マンドリン部の話になると、
今でもつい真剣な眼差しになります。
鈴木さん
大手通信系企業勤務
樽井さん
食品商社勤務
当時は先輩、後輩、顧問 今はみんな同じ楽団の仲間

同校の図書館に集まった鈴木さんと樽井さん、そして恩師の杉山孝一先生の3名。久しぶりの再会にも関わらず、まるでついこの間まで授業で顔を合わせていたかのような様子です。
「実は、先日私達3人が所属している社会人楽団の演奏会があって、毎週顔を合わせていたのです」(杉山先生)
鈴木さんと樽井さんは同校で6年間、杉山先生が顧問をされているマンドリン部に所属していました。樽井さんは入学前の学校見学でマンドリン部の演奏を聴き「この部に入りたい」と同校への志望を強くしたそうです。樽井さんが憧れたその舞台には、3学年上の鈴木さんが立っていました。社会人の今では楽団仲間となった杉山先生を交え、2人の中高時代を振り返りました。
当時の2人の目標は共に「全国高等学校ギター・マンドリン音楽コンクールでの入賞」。鈴木さんは指揮者、樽井さんは副部長と部を率いる立場を任され「部活動のために学校に来ていた」というくらいに、マンドリン部中心の毎日。
そんな日々でも学習の機会を上手につくっていた樽井さん。特に図書館にはよく入り浸っていたとのことで、とても懐かしそうに館内を見渡し、机に置かれた図書委員手作りの「書籍案内」を目にすると、印象に残っている学校の取り組みであった「読書指導」について教えてくれました。
「図書委員や司書の先生が選んだ本が月に数回プリントで紹介されます。私は、それを参考に本を選んでいました。さまざまなジャンルの本に触れる機会になり、受験にも社会に出てからも役に立っていると感じています」(樽井さん)
「今は『読書への誘い』という冊子を発行しています。理科や数学、小論文など全教科で推薦する図書を選び紹介しているのです」(杉山先生)
強く印象に残っていることには、学習や部活動などの指導以外に、先生からの励ましの言葉もありました。
「数学がとても苦手だったのですが、教科の先生から『わからないことがわかるようになると一生忘れない。だからわからないことは大きな財産なのだ』という言葉を掛けていただき、わからないことが恥ずかしいと思っていた考え方が大きく変わりました」(鈴木さん)
尊敬と感謝がつないだ45年を越える伝統
マンドリン部での経験も大きな財産になっています。
「オーケストラは会社の構成にとても似ています。例えば指揮者は社長。いろいろなパートがあるように、会社にもさまざまな部署や役割があります。異なった考えを持つ人達が集まり、同じゴールへ向かっていく日々と、音楽をつくり上げた部活動での日々がとても似ていると気がついたのです。社会人として大切なコミュニケーション能力とは何か、自然と学校生活の中で学んでいたのだと知りました」(鈴木さん)
「体育会系音楽部」「先輩は絶対的存在」と言い合いながらも3学年差を感じさせないほど、とても仲良く笑い合う2人。楽団でも、顔を合わせるとついマンドリン部の話が出てしまうそうです。
長年顧問をされている杉山先生に、部の指導方針をうかがいました。
「自分達で悩まないと舞台はつくれないと思うのです。何か問題が起こったときに教師が解決するのではなく、生徒が主体となって考え、答えを自らが導き出せるようにしています。部活動指導でも学習指導でも同じで、教師はあくまでそのサポートをするというのが本校らしさです。そうすることで、例えば部活動においては、最高学年になったときに自分達がこのマンドリン部を背負って立つという覚悟が生まれ、それが大きなエネルギーとなり、その学年ならではの演奏や活動を生み出してくれるのです」(杉山先生)
その先生の言葉を聞いて大きくうなずく2人は「部を背負って立つ先輩の姿は偉大。だからこそ先輩を尊敬する気持ちが、自然とわき起こるのです」と言葉をつないでくれました。
最後に同校の生徒、そしてマンドリン部員へのメッセージをお願いしました。
「友達も経験も6年間で得たものが一生を通じての財産になります。この学校は生徒がやりたいことをフォローしてくれる先生ばかり。だからどんな出来事も前向きに捉えてほしいです。すべてが素敵な思い出と、そして何よりも人生の糧になります」(樽井さん)
「毎年のように大きな賞を獲れるようになるまで演奏を高め、昨年は日本一を獲得してくれました。また、老人ホームでの演奏活動を行うなどの新しい挑戦をずっとし続けてくれていることに、OGとして部の後輩みんなに感謝したいです。先生を信じ、仲間と共に自分達の音楽を追求し、伸びやかに学校生活を送ってほしいと思います」
(鈴木さん)
自らの手でつくり上げる。その背中を見て後輩は先輩を自然と尊敬し、先輩は伝統をつないでくれる後輩に感謝をする。そして、それを支えてくれた先生にも感謝をし、あらゆる人々を尊重し合う心を6年間でしっかりと養っていく。だからこそ同校の生徒同士や先生と生徒の絆は、卒業後何年経っても色褪せないのかもしれません。
主な大学合格実績と近年の傾向
学習習慣の確立と計画性や集中力を育むために、中学生には「タスクノート」を作成させ、セルフマネジメント力を身につけさせる。高校生には「スタディレコード」を作成させ、自身の学習に対しての分析力を高めさせ、学習を通じ自己管理力の向上を図る。近年、難関国立大学現役合格をめざしたスーパー選抜クラスから東大合格者を輩出している。
東京外国語大1名、筑波大1名、東京藝術大1名、横浜国立大1名、早稲田大9名、慶應義塾大3名、
東京理科大14名、上智大5名、東京女子大21名、日本女子大35名、青山学院大15名、立教大21名ほか
(2014年春)
学校沿革

建学の精神は「身をきたへ 心きたへて 世の中に たちてかひある 人と生きなむ」の校歌に象徴される「社会に貢献できる女性」の育成です。大正11年(1922年)に、十文字こと先生らによって創立。「学校生活は自分の意志で、自分の力で作り上げていくもの」とし、未来を切り拓く力を持つ女性の育成を方針としている。
(この記事は『私立中高進学通信2015年4・5月合併号』に掲載しました。)
十文字中学校
〒170-0004 東京都豊島区北大塚1-10-33
TEL:03-3918-0511
進学通信掲載情報

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