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私立中高進学通信

2015年2・3月合併号

授業発見伝

武蔵野大学中学校

宗教
生きることの意味を問い
未来を切り拓く力を養う

ソフトな語り口で、わかりやすく話す艸香(くさか)先生。受験が近い高3生も、集中力を切らせません。

ソフトな語り口で、わかりやすく話す艸香(くさか)先生。受験が近い高3生も、集中力を切らせません。

 仏教を教育の基盤に置く同校では、各学年とも週に1回、宗教の時間があります。宗教と聞くと、「難しそう」と思う人もいますが、同校の宗教はそんなイメージを一新するほどわかりやすく、生徒達にも人気があります。卒業生の中にも、印象に残っている授業として「宗教」をあげる人が多いそうです。

 とはいえ、その内容はとても本格的かつ密度の濃いものとなっています。中学段階では、仏教だけでなく、世界のさまざまな宗教について、その成り立ちや基本思想を学びます。高校では、1年生で宗教全般についてさらに理解を深めた後、2年生では釈尊(釈迦)の生涯、仏教の根本思想を学びます。そして、3年生では浄土真宗の宗祖・親鸞聖人の教えを学びつつ、前期は “生と死” 、後期は “善と悪” というテーマで、約800字の小論文を作成します。

 これだけ密度が濃く、本格的な授業が中高生達に人気があるのは、その内容が宗教的な教えにとどまらず、日常生活と結びついているからです。

「生徒の身近なことに結びつけて話すこと、一方的に与えるのではなく考えさせることを常に意識しています」

 と、話す艸香くさか秀昭先生の授業は、時に教室が笑いに包まれるなど、いつも和やかな雰囲気で進められます。

 宗教の時間では、映画を見ることもあります。今年度は、原爆投下後の広島を描いた『夕凪の街 桜の国』や80年代の名作『スタンド・バイ・ミー』を視聴し、これまで宗教の時間で学んできたことと結びつけながら、人が “生きる” ことの意味を考えました。また、“臓器移植” や “差別” など、時事的な話題も取り上げました。

「現代人は、たくさんの情報を得る一方で、己と向き合い、『自分とは何か』を思索する時間が不足しています。生徒達には、宗教の時間を通じて “生きることの意味” を己に問い続けてほしいと考えています。これを問うことは、自らの進路を考えるうえでも有効で、その手がかりをつかんでほしいのです」(艸香先生)

 宗教の時間では、仏教の “縁起論” などを通じ、すべての存在が自分につながっていること、だからこそ自分の命も他人の命も尊いことなども学びます。

 また、日本人特有の宗教観を知ることで、国際社会における日本の位置付けなども理解します。同校がめざす “明るい知性” と “豊かな情操” を備えた “聡明にして実行力のある近代的な女性” を育成するうえでも、宗教の時間は大きな役割を担っているのです。

授業レポート
先人の教えを身近な話題と結びつけて考える
誰もが思い当たるような話題が、仏教の教えに結びついていく先生のお話。耳を傾けるうちに自然と引き込まれて、理解が深まる充実感のある授業です。誰もが思い当たるような話題が、仏教の教えに結びついていく先生のお話。耳を傾けるうちに自然と引き込まれて、理解が深まる充実感のある授業です。

 3年黄組で行われた宗教の時間。この日のテーマは “悪人正機説” 。「悪人こそが救われるべき」という、親鸞聖人の思想についてです。

「みんなの中で、『さとうきび畑の唄』っていうドラマを見たことがある人はいる?」

 冒頭、艸香先生の問いかけに、何人かの生徒が手を挙げます。戦時下の沖縄で、ドラマの主人公が無抵抗の米兵を殺せと上官に命令されるシーンを引き合いに、先生は善悪の基準が時代や国・民族によって異なることを説明します。

 “善” と “悪” について考えた後は、テキスト『仏教と人生』の音読。そこには、親鸞聖人が自身の心を蛇やサソリにたとえ“醜いもの”とし、人間は根源的に悪であることが書かれています。

「こう言われると、え?と思う人もいるよね。確かに悪いところもあるけれど、そこまで絶対的な悪じゃないって」

 艸香先生の問いかけに、うなずく生徒達。 “人間は根源的に悪” という聖人の言葉に、少し納得がいかない様子です。

「それじゃあ聞くけど、小さい頃にアリの巣をつぶして遊んだことのある人はいるよね。先生も子どもの頃、女王アリを見たくて友達とやりました。でも、なかなか見つからなくて最後は嫌になって、巣穴に水を注ぎました」

 艸香先生が、幼少期の “悪行” について話をすると、教室が笑いに包まれます。

「でも、なぜ子どもは残虐なことをすると思う?それは『楽しい』と思うから。つまり、人間は先天的に “悪” であって、これを止めるには後天的に ”善” を身につけていくことが必要なんだ。だからこそ、親鸞聖人のように自らの内面にある悪を自覚することが大切なんですね」

 ここまで来て、「悪人こそが救われるべき」という親鸞聖人の思想に納得した様子の生徒達。仏教の教えについて理解を深め、人生をより良く生きていくうえで大切なことを学んだ一日でした。

(この記事は『私立中高進学通信2015年2・3月合併号』に掲載しました。)

武蔵野大学中学校  

〒202-8585 東京都西東京市新町1-1-20
TEL:042-468-3256

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