私立中高進学通信
2014年12月号
Teacher's Lounge 先生たちの座談会
富士見中学校
自慢は生徒達の “行動力”
教員はそれを見守り支えるよう努めています

参加の先生方(左から)
渡辺潤先生
●高1副担任、理科(生物)。生徒会主任。生徒達の希望がどうしたら実現可能かを一緒になって考える日々。
杉原誠先生
●中1担任、美術科。生徒会副主任。公立学校の勤務後に富士見の教員に。部活動は高校バスケ部顧問。中高美術部副顧問。
三浦佳奈先生
●高3担任、社会科。高校バスケ部、中学剣道部の副顧問。被災地支援では生徒とともに現地を視察。
年に一度の生徒会役員選挙
複数の中1生が立候補
生徒会役員会では、活発な意見交換が行われています。2学期の後半からは、いよいよ中1生も加わります。

❷同校オリジナルのゆるキャラ
『ふじじか』
生徒からの公募で作られたゆるキャラの『ふじじか』(写真中央)は、生徒達にも大人気。学校生活のさまざまな場面で見かけます。

渡辺先生
いよいよ中1が❶生徒会に立候補できる時期がきましたね。
三浦先生
文化祭や体育祭を経験した後なだけに、毎年中1の立候補者って多いですよね。「私もあんなことやってみたい!」と感じる積極性の高い生徒が本校には本当にたくさんいます。
杉原先生
文化祭では、生徒会とは別に文化祭の実行委員が組織されますが、それでも生徒会は主体的に動いていますし、何事も自分達で自主的に取り組んでいくところが素晴らしいと感じています。
渡辺先生
文化祭の看板や自作のチラシなどにも使われている❷学校のゆるキャラ『ふじじか』も、生徒の発案でしたよね。
杉原先生
学校のゆるキャラを作ったらどうだろうという話が生徒会で盛り上がり、中高全体でイメージイラストを公募して、全校で投票して決まりました。愛らしくて、簡単に描けるから、最近ではいろいろなものに『ふじじか』が描かれています。教員があれこれ言う前に、生徒達から次々とアイデアが出て、決まっていった印象です。
三浦先生
富士山をデザインした服を着ている鹿なのですが、なんで鹿なのかは、誰もわからないですよね(笑)。十数案の公募作品から、生徒と教員が一緒に投票して決まりました。こうした点は、教員と生徒の距離が近いのだなと感じます。
渡辺先生
教員は口を出すというよりも、生徒から出たアイデアがどうしたら実現するかを陰でサポートするという感じですね。校長先生や保護者の方々とも連絡を取りながら、そうした手助けをする役割を担っています。
杉原先生
ある親御さんから、「うちの子は小学校ではリーダー的存在だったけど、中学になったらそういう生徒さんが大勢いるので、実は少し萎縮した時期もありました。でも、今は同じような仲間と出会えて、励みになっているようです」と言われたことがあります。それだけ何事も前向きに取り組む生徒が多いのだろうと感じました。
生徒主導で被災地支援をスタート
被災地を訪問するツアーのしおりもすべて生徒会役員の手作りです。スケジュールや訪問地についてのデータが詳しくまとめられています。

❹被災地訪問
岩手県の陸前高田市を訪問。現地の方から話を聴き、これから必要なことは何なのかについて一緒に考えました。

渡辺先生
東日本大震災後に始まった岩手県陸前高田市の支援活動も、生徒主導で始まりましたね。
三浦先生
これについては、教員はほとんど手出しをしていません。生徒が自分達で考え、関係機関と連絡を取りながら進めています。震災直後は、がれきの処理など現地での力仕事的なボランティア活動も行いましたが、時間の経過とともに支援のしかたが変わってきました。それも、生徒達自身が現地のNPOの方々とコンタクトを取り、変化させていったことです。
渡辺先生
そうやってネットワークを広げ、震災の様子や現在の状況を全校生徒に聞いてもらう講演会も、生徒会主催で開きました。活動を学校全体に広げていくプロセスも考えながら企画しているところが素晴らしいと思います。
三浦先生
私自身、❸現地を訪問するツアーに参加したのですが、引率というよりも、私が引率されているという状態でした(笑)。
旅行代理店や現地NPOとの打ち合わせも、基本的には生徒達に任せました。でも、外部の方との交渉は、生徒達にとって初めてのことが多く、戸惑いもあったようです。また、授業の合間や放課後しか活動できないので、時間的な制約もあります。生徒会のメンバー同士でも、ボランティアについての認識、意識の違いがあり、意見が衝突することもありました。メンタル面で疲れているときは教員の出番と思って、励ましてきました。
渡辺先生
そういう苦しい時期を乗り越えて、最終的には綿密で中身の濃い計画案ができましたね。
杉原先生
生徒会のメンバーは、ツアーの企画を説明するDVDを作り、なぜこのツアーを企画したのかを全学年に見せて回っていました。ツアーに参加するには保護者の了承が必要になるため、保護者会にも出向き、アピールしていました。
三浦先生
ツアー中は点呼もすべて生徒達で行い、私達は付き添いとして後ろに控えているだけでした。震災から時間は経ちましたが、現地の復興は未だ手つかずの部分も多いことを知り、今、必要な支援は何なのかを考えさせられるツアーでした。生徒達が感じたのは、風化の怖さだったようです。まだまだ支援が必要なのに、忘れ去られてしまうことの怖さを、彼女達なりに感じてきたようでした。
杉原先生
❹被災地の方の話をうかがう中で、古本を集めてお金に換え、学校へ通うための奨学金にする『ブック募金』の活動に参加することにしました。ここでもやはり、全校生徒に呼びかけて、本を集めていました。企画して、全校生徒に持ちかけ、呼びかけ、計画を実行する力が、本校の生徒にはあると思います。
渡辺先生
ゆるキャラも、被災地支援も、発端は生徒会役員の発想です。生徒会は、中学と高校で別々に組織されていますが、大きなことに関しては、中高で知恵を出し合って取り組んでいます。中学生は高校生から良い刺激を受けていますし、高校生は良き先輩になろうと努力しています。役員以外の生徒達も、前向きに自らができることに取り組んでくれています。生徒会役員は、毎年入れ替わります。役員を経験した生徒が、翌年は文化祭の実行委員に挑戦するなど、次へと進んでいくのも本校生の特徴ではないでしょうか。
三浦先生
もともと、やる気の高い生徒が多いので、生徒会役員が「何かやろう」となったときには、個々の生徒が「自分には何ができるのか」を真剣に考えてくれます。いろいろな生徒が生徒会役員に立候補するのも、ベースにある一人ひとりの生徒のモチベーションが高いからではないでしょうか。
杉原先生
教員の仕事は、そのやる気やモチベーションを保てるように、環境を整えて見守ること、これに尽きると思います。
(この記事は『私立中高進学通信2014年12月号』に掲載しました。)
富士見中学校
〒176-0023 東京都練馬区中村北4-8-26
TEL:03-3999-2136
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