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私立中高進学通信

2014年12月号

憧れ校のこだわり教育

成蹊中学校

成蹊の国際理解教育

明治末から大正期に「個性を大切にする教育」への情熱によって創立された学園では、帰国生をはじめ多様な生徒が集い、学んでいます。
創立者の思いを背景とする国際理解教育を取材しました。
同年代の帰国生や留学生が集い、ケンブリッジ大の学生も来日

同年代の帰国生や留学生が集い、ケンブリッジ大の学生も来日するなど独特のアカデミックな校風です。

帰国生教育から始まった国際理解教育

 東京帝国大学在学中から教育の現場に立った青年・中村春二。当時の生徒の個性を無視した知識詰め込み型の画一的な教育に疑問を抱き、自由な立場で真の人間教育を行いたいと考えるようになった中村は、親友の岩崎小弥太(三菱4代目社長)、今村繁三(今村銀行2代目頭取)両氏の賛助を受け、1912(明治45)年、成蹊実務学校を開校しました。これが成蹊学園創立の年です。入試部長の和田一誠先生は、その100年もの歴史と、学園の今を次のように話します。

「成蹊学園には100年余の間、受け継がれる建学の精神が3つあり、その一つが『個性の尊重』です。個性の尊重というと今では普通ですが、当時としては型破りの発想でした。しかし、子どもたちの個性を尊重する学校を創りたいという思いが親友たちの心を動かし、ここに『個性の尊重』『品性の陶冶』『勤労の実践』の3本柱を建学の精神とした"成蹊教育"の礎が整ったというわけです」

 岩崎も今村も、共にイギリスのケンブリッジ大学の出身でした。当時、最先端と謳われていたヨーロッパのリベラルな教育を、身をもって体験している2人は、中村の学校設立にかける熱い想いに共鳴しました。

「世界各国・地域から、多様・多彩な経験を持つ帰国生を受け入れる教育活動は、創立者が第一に掲げた『個性の尊重』という建学の精神に非常にマッチしたものでした。したがって、本校の国際理解教育は世の中の流れに迎合した"時代の先取り"ではなく、"多様な子どもたちを受け入れるべき"との観点から始まった、純粋な帰国生教育に端を発しているといえます。現在も中学生・高校生の約2割に当たる人数の帰国生が、一般の生徒と共に、充実した学園生活を送っています」

異文化交流の日常が育む主体性と協調性
入試部長 和田一誠先生お話をうかがった、入試部長の和田一誠先生。

 同校には建学の精神にもとづいた3つの教育ビジョンがあります。その一つが、『グローバルに認知される教養と個性』というものです。グローバル化が進む現代において、国際社会で活躍する人材は、英語力のみならず、相手の異なった背景や文化を理解したうえで、自らの考えを表現しながらコミュニケーションができる人材と、同校では考えています。「そういう意味で本校は入学の間口を広く保っている」と和田先生は強調します。

「本校には一般の受験生や帰国生だけでなく、毎年、成蹊小学校から入学してくる生徒も含め、実にさまざまなバックボーンを持った生徒たちが混在しています。成蹊小から来た生徒たちは受験勉強に時間を費やすことがなかった分、大らかで、趣味やお稽古事の経験も豊富という傾向があります。また、帰国生が海外で培ってきた積極的で伸びやかな発想は、授業や部活動の中でも、他の生徒たちにとても良い影響を与えています。時には生徒同士がぶつかり合うこともあります。だからといってそれはマイナスではなく、生徒からすると、"学校に行くと自分とは全くタイプの違う人が大勢いる"という状況で、"こんな子が自分の周りにいるんだ"という発見が刺激になり、そういった好奇心がやがて相互理解につながります。それこそが生徒一人ひとり、相手の個性を尊重する本校らしさです。生徒たちがそれぞれの進むべき方向を考えながら成長していく場所でもあると考えています」

 創立時より、自分で考えて行動し自分自身を見つめる〈自立〉と、自らをコントロールする〈自律〉の2つの力を大切に育んできた同校。学習面でも生活面でも厳しい鍛錬を通じ、主体性を養うと同時に協調性を身につけることで、誇りを持って実社会に貢献できる人材の育成にも努めてきました。創立から100年を超えた今も、そのスタイルは変わっていません。

「たとえば、学校から率先して"きみたちはこうでなければならない"という価値観を、生徒に強要することはありません。ただし、いろいろなキャラクターを持った生徒が学び合う本校の環境では、常に予想もつかないような変化が起きることは確実ですので、その時にちゃんと対応できる生徒として育てていくことが大切です。どんなときでも自分から主体的にアクションを起こし、社会への責任を果たしていこうという人格を養うのが、本校の国際理解教育の一つのコンセプトなのです。大学進学からその先の、わりと近距離の世界を想定した教育ではなく、幅広い教養を身につけることで、国際社会から信頼されるような人物に成長してもらえることを目標にしています」

海外転勤家庭への手厚い配慮

今から半世紀前に成蹊中学校は、国に先駆けて帰国生教育を行う『国際特別学級』を設置(1964年)。日本経済の発展とともに海外勤務者が増えたことを受けての取り組みでした。その後、国際特別学級は『国際学級』と改称され、現在に至っています。

「国際学級の受け入れ対象を、現地校またはインターナショナル校の出身者に限定し、日本への適応教育を最優先して行っています。最初の1年間は15名程度の国際学級クラスで学び、中2から2~3名ずつ一般クラスに加わるクラス編成となります。なお、保護者の海外転勤により、再び生徒が海外へ渡ることは決して珍しいことではありませんので、そのような理由で本校を退学した場合には、一定期間のうちに帰国する際に再入学できる制度を用意しており、多くのご家庭が利用しています」
(和田先生)


創立者の情熱が切り拓いた真の個性尊重に基づく
国際理解・相互理解教育

国際感覚を肌で感じる学園横断型の国際教育
同校の国際教育の歩みは、長きにわたり信頼関係を築いている協定校と共にあります。

 国際社会で活躍する人材を育む同校の国際理解教育のプログラムは、単に外国語教育にスポットを当てたものではありません。2004年4月に開設された『国際教育センター』を拠点に、小学校から大学まで、発達段階に応じた学園縦断型の国際理解教育を体系的に進めているのも、将来どのような仕事に携わっても、国際社会に対する深い理解が重要になるとの理由があるからです。中学・高校の授業では、倫理・政治経済・日本史・世界史などの科目を通じて、国際社会を理解するために必要になる近現代史の教育にも力を注いでいます。

「1週間程度のホームステイを全員一律に経験するようなプログラムは、本校では導入していません。中学・高校ともすでに外国生活経験のある帰国生徒が約2割を占めている、というのがその理由の一つです。また、日本で暮らしている生徒とは、明らかに異なる生活様式や文化を身につけている帰国生たちと接することで、自ずと"モノの見方が複線的になる"という効果があるからです。さらに、一般的な語学研修の留学プログラムであれば、あえて行う必要はなく、本校で希望すれば、TOEFL講座、ドイツ語、フランス語、中国語、朝鮮・韓国語などの授業も受講できる環境が校内に整っているのです。したがって、国際理解教育のプログラムに大切なのは、どうすれば世界に目を向け、積極的に海外を体験してもらえるかという1点だけです。本校では、教養と個性を備え、協調性を持ちながら自己開拓できる人材を育成するため、早い段階から世界に目を向けた教育を実施してきました。すでに60年以上の歴史があるアメリカのセントポールズ校への長期留学をはじめ、オーストラリアのカウラ高校とも40年以上の長きにわたる留学協定を結んでおり、両校の間には交換留学制度も整備されています。海外の歴史や文化を肌で体験したことが自身のキャリア形成に大きな影響を与え、活躍の場を世界に求めるように成長していった卒業生も少なくありません」

 独自の留学プログラムの一つに、高1~高3を対象としたケンブリッジ大学ペンブルックカレッジへの短期留学制度があります。 「世界屈指の名門大学を構成する31のカレッジの中でも、3番目に古いペンブルックが運営する約3週間の特別なサマースクールです。英語の学習だけでなく、英国文化・社会・芸術・芸術史の学習を通じて、ケンブリッジ大学での正真正銘のカレッジライフを体感できます。同カレッジの大学生と大学院生が生徒と同じ寮に泊まり、宿題などの面倒も見てくれるのも、本校生徒ならではの特権といえるでしょう。ちなみに、本校の留学プログラムはすべて必修ではなく、生徒自身が自ら希望し、保護者にその思いを伝え、やっと実現するものばかりで、それはまた、自立と自律がバランスよく備わった求道心のある生徒に与えられる権利ともいえるでしょう」

 ケンブリッジ大学の施設を利用した短期留学制度は他校にもありますが、同校の制度はペンブルックカレッジのスタッフが直接運営するプログラムとしては唯一無二の存在です。これは成蹊学園とケンブリッジ大学との深い信頼関係がその背景にあることはいうまでもありません。

受け入れから留学まで全面的に質の高い教育を提供
桂正人先生桂正人先生は世界史の教諭でもあります。

国際教育センターでは、「国際化に即した教育の充実」を学園全体・各学校共通の目標として掲げ、小・中・高・大が一緒になったキャンパスで、早期から国際性を養う取り組みを行っています。

「さまざまな文化を背負って帰国してきた生徒を受け入れている本校ですが、その一方、協定校から受け入れる留学生の存在もまた、海外に出たことのない生徒たちには有形無形の異文化体験となっています。2014年度から導入した校内留学型のエンパワーメントプログラムも好評で、主にカリフォルニア大学の大学生・大学院生が力を貸してくれています。また、留学制度が充実しているのも本校の大きな特徴で、特にアメリカの全寮制の名門校セントポールズ校に留学する生徒は、そのままハーバード大学、イエール大学などの名門大学に進学し、世界的に活躍しています」
(中高国際教育委員会委員長/桂正人先生)

中学・高校生向けの主な留学プログラム
長期留学(1年間または1年間以上)

1.アメリカ・セントポールズ校

アメリカ・セントポールズ校

アメリカ・ニューハンプシャー州にある全寮制のセントポールズ校(SPS)は、全米テンスクールズの一つに数えられている名門校です。2009年に成蹊との交流60周年を迎えました。留学を希望する生徒は校内での選抜後、成蹊を退学して留学し多くの場合は同校を卒業しますが、成蹊への復学希望があればそれも可能です。基本は1年間のプログラムですが、SPSの卒業資格を得るには2年間以上の在籍が必要です。なお、留学1年目の学費・寮費などは奨学金としてSPSが負担します。中3から応募できます。


2.オーストラリア・カウラ高校

記念式典で「カウラ事件」の犠牲者の墓に献花する吉崎純二校長(カウラ市にて)。

オーストラリア連邦の南東部、ニューサウスウェールズ州カウラ市にある公立校です。第2次世界大戦中、カウラ郊外には捕虜収容所があり、痛ましい日本兵捕虜の集団脱走事件が起こりました(カウラ事件)。戦後、カウラ市長の提案を受け、成蹊高校との間に日豪友好交換留学プログラムが発足し、2010年に40周年を迎えました。期間は1年間で、成蹊高校に復学します。留学中の費用はカウラ側が負担。中3から応募できます。


短期留学(2週間~1カ月間)

1.ケンブリッジ大学夏期短期留学(毎年)

ケンブリッジ大学夏期短期留学

国際教育センターとの連携で2006年から始まった約3週間の成蹊高校生用のプログラムです。英語学習のほか、英国の社会と文化、建築を中心とした視覚芸術などをケンブリッジ大学のペンブルックカレッジで学習します。同カレッジの大学院生・大学生がPA(Program Assistant)として同宿し、日常生活をサポートしてくれます。


2.カウラ高校夏期短期留学(隔年/西暦奇数年に実施)

カウラ高校夏期短期留学

交換留学制度を通じて、日豪友好親善関係の一翼を担ってきたカウラ高校との間に、2003年夏から始まった約20日間の短期留学制度です。ホームステイで同校と縁の深いカウラ市民と交流しながら学びます。同校からは隔年で生徒が派遣されています。


3.カリフォルニア大学デービス校春期短期留学(毎年)

2014年春から始まった約2週間の短期留学プログラムです。原則として2人1組でホームステイをしながらカリフォルニア大学デービス校に通い、「英語とキャリア教育」を中心に学び、プレゼンテーション力を鍛えます。

(この記事は『私立中高進学通信2014年12月号』に掲載しました。)

成蹊中学校  

〒180-8633 東京都武蔵野市吉祥寺北町3-10-13
TEL:0422-37-3818

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