私立中高進学通信
2014年11月号
Teacher's Lounge 先生たちの座談会
京華中学校
気持ちの伝達ベタは心配ご無用!
"大人で子ども"な中学男子を見守る

参加の先生方(左から)
鍋島亜希先生
●相談室カウンセラー、看護師
柳橋千明先生
●保健室、看護師
山田道行先生
●社会科教諭、相談室担当、バレーボール部顧問
本音を言える第二の居場所
清潔感と安心感が漂う保健室。急な体調不良も、しっかりとケアしてくれます。


❷相談室
和室を改造した相談室。今では生徒達のいやしの場となっています。ここで気持ちを整理して教室へ戻る生徒も少なくありません。相談室から発行される「相談室だより」は、家庭との懸け橋になっています。



山田先生
中学1年生が入学して半年になりますが、❶保健室にやって来る新入生はいますか?
柳橋先生
そうですね。ちょっとしたケガか頭痛くらいでしょうか。
山田先生
年度によって保健室に来る人数に差はありますか?。
柳橋先生
極端な差はないですが、やはり、中1生が多いですね。本校では、保健室に行く前に担任の先生に症状を話して、連絡カードをもらってからということになっていますから、担任の先生の判断で済むときは保健室までは来ません。
山田先生
❷相談室はどうですか。
鍋島先生
相談室は、どちらかというと、憩いの場になっている感じがしますね。そうした場で、本当に相談したいことがある場合にはシグナルを出してきますから、生徒の些細な変化も見逃さないように気をつけています。1年生はだいたい、「相談室ってどんな部屋だろう?」と放課後に友達と見に来て、ここで過ごして帰って行くというパターンです。
柳橋先生
年によって、相談室派と保健室派に分かれるような感じもありますよね。
鍋島先生
確かにそれはありますね。
山田先生
私の印象では、保健室や相談室は、教室とは違うもう一つの居場所という役割を果たしている気がします。例えば、教室でうまくいかないことがあり気分が晴れないときなどに、保健室や相談室に行くわけです。柳橋先生や鍋島先生のように、教員ではない"お姉さん"的な存在がそこにいて、教室とは違う安心感があるわけです。イライラした気持ちを発散して戻れるというか……(笑)。
鍋島先生
たしかに勉強への不安や思春期特有の不満をブツブツ言う生徒もいますね。でも、ここでブツブツ言うことで気持ちがすっきりして教室に戻れるのなら、いくらでもブツブツ言いに来たらいいと思っています。
「自分を見てほしい」と話しかける男子
柳橋先生
中学生男子の特徴は、言葉でうまく説明できないところです。ケガの症状や経緯を聞いても、多くの場合、単語しか戻ってきません。恐らく、話すまでの間にいろいろなことを考えるのでしょうが、自分の内側で自問自答するがゆえに言葉が簡略化され、最小限の単語しか出てこないのだと思います。それでも、本校の生徒は聞けば素直に答えてくれますから助かります。
鍋島先生
本校には素直な生徒が多いですよね。私は女子校のカウンセラーもしているのでよくわかるのですが、女子は思ったことをどんどん口にします。例えば私がいても、私に話すというより友達同士で話をしてスッキリして帰っていきます。一方で男子の場合、友達と来たとしても、友達と話すというより、それぞれが私に語りかけてきます。『自分を見てほしい』という意識を持って話しかけてくるのです。言葉は短いですが、その裏側にある思いや考えに注目しながら、できるだけ彼らが気持ちを表現できるよう心がけています。
柳橋先生
正直なところ、中には「さぼりたい」という気持ちで保健室に来る生徒もいると思います。担任という関門をくぐり抜けて保健室へたどり着いたわけですから、『ただでは帰らないぞ!』という気迫も漂っています(笑)。そうした生徒に対しても、「昨日は何時に寝たの?」「朝食は食べたの?」など簡単な言葉をかけると、「昨日は宿題が終わらなくて寝るのが遅くなった」とか、「なかなか起きられなくて、朝食を食べずに来た」などの答えが返ってきます。必ず、不調の原因を本人と共有してから教室に帰すようにしています。最初から「戻りなさい」と否定的に言われるよりも、一度受け止められてからのほうが、前向きな気持ちで教室へ戻れると思います。
段階的に手を放す子離れ、親離れ
生徒達が本気でぶつかり合う体育祭。小さなケガを怖れず、全力で取り組めるひたむきさが同校らしさの表れです。

山田先生
本校の生徒は家庭で大切に育てられてきた子どもが多く、本人達もそれを自覚しています。そのため生徒を包んで育てる方向性も保護者の方から高評価をいただきます。勉強面も生活面も、ていねいな指導を心がけています。
鍋島先生
相談室では、保護者の方から相談を受けることもあります。学校のことを話してくれないので心配しているといったことや、親離れ、子離れについてなどが主な相談内容です。そこで感じるのは、中学生になったからといって、急に手を放す必要はないということです。その子に合ったペースで段階的に手放せばいいと思います。例えば、学校でのできごとなどが気になるようでしたら、直接聞くのが一番だと思います。自分から話してこないので、聞いていいのか悩まれてしまう親御さんもいますが、聞かれないから話さないという子も多いので、ちょっと言葉を投げかけてみると、案外話してくれるものです。
柳橋先生
少しの傷で保健室に来る子もいて、そうした姿を見ると、ケガをしたらすぐに親御さんが手を差し伸べて、手当をされていたのだなと、ほほえましく感じます。そして、まだまだ、自分を気にかけてほしいと感じている子が多いということも発見します。小学生と中学生の親子関係の違いは、ほどよい距離かもしれません。親御さんが先を読み過ぎて、手を出し過ぎるのも、自立を促す上では妨げになります。何かあった場合もやさしく話を聞いて、ヒントを出しつつ解決策は本人に考えさせて、その子なりの自立をゆっくり見守ってあげてください。
山田先生
ところで、秋には❸体育祭が開催されますが、保健室は特に忙しくなるのではないですか? 男子校だから、全力で競技をする分、ケガも多いですよね。
柳橋先生
ころんだり、すりむいたりと、小さなケガは多いですね。でも、そうしたケガを怖れず、全力で楽しめる力って、素晴らしいと思います。今年も楽しみですね。
(この記事は『私立中高進学通信2014年11月号』に掲載しました。)
京華中学校
〒112-8612 東京都文京区白山5-6-6
TEL:03-3946-4451
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